札幌のマラソンコースの、近代建築物はオリンピック前に解体されるのか

昨年は、ライフホーム設計のブログをお読みいただき誠にありがとうございました。

色々な縁が出来たり、読んでますよと声をかけていただいたり、少しずつ反響があり嬉しい限りです。

本年も、少しずつですが更新してゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

中島公園から見た札幌パークホテル

 

1,建替え予定の札幌パークホテル

元旦に札幌パークホテルに行ってきました。

 

札幌パークホテルは、解体される

札幌市民は、知ってる人も多いと思いますが、こちらのホテルは建て替えが決まっており、2023年に新しくオープンされる予定です。

 

北海道新聞のパークホテル建て替えの記事

 

パークホテルのある場所は、東京オリンピックの札幌でのマラソンコースの景観スポットにある

こちらのホテルは、2020年の東京オリンピックの、札幌でのマラソンコースにあります。

しかも、道路がクランクしており、建物の表裏が見える位置にあります。

 

 

札幌パークホテルは、コルビジェの3人の弟子のひとり、日本の近代建築家、坂倉準三氏の設計

このホテルは、近代建築の設計士、坂倉準三さんが設計に携わったそうです。

板倉さんは、世界的な建築家、ル・コルビジェの日本の3人の弟子の一人です。

(ルコルビジェのあとの二人は前川國男さん吉阪隆正さんです。)

パークホテルの資料によると、外観とパブリックスペースを手掛けられたそうです。

建築された目的は、1972年の冬季の札幌オリンピックの機運が高まり、札幌グランドホテルに続く、国際ホテルを建てることにあり、1964年にオープンしました。

 

札幌パークホテルの中庭

南9条橋から見た札幌パークホテル

札幌パークホテルのエントランス

 

札幌パークホテルの内部




2,外観の特長は、窓と有田焼のタイル

 

窓がランダムに配置されている

 

通常設計では、窓は縦横、規則性がある方が、すっきりキレイに見えます。

パークホテルの客室の窓は、横はそろっていますが、縦のラインがそろっていません。

これは、中島公園の木々との調和のために行われた、と言われています。

 

窓がランダムな配置の札幌パークホテル

 

外壁は佐賀県の有田焼の青磁タイル

 

外観の大部分は、有田焼の青磁タイルが張られています。

北海道のタイルと言えば、赤レンガの色の印象ですが、少し光沢のある有田焼のタイルは、太陽の光の加減で、大きく表情が変わる面白さがありました。

市民に大評判で、この時期の札幌市内の注文住宅は、この色のタイルをポイントに張っている家が多くありました。

 

札幌パークホテルの有田焼のタイル

ホテルのタイルは、耐寒テストが慎重に行われており、札幌・旭川の2か所で1年屋外放置をし、割れない物を選んだそうです。

 

国際的なイベント施設との併設の為、建て替えられる

 

老朽化が、進んできているようです。

また、札幌市は、国際会議など大きなイベントが出来る施設が、宿泊できるホテルと離れているため、パークホテルの場所に、それを併設できる建物を建てたい、要望があったそうです。

そこで、建て替えされることになったそうです。

ボウリング場

開業時、ホテルには、ボウリング場、室内温水プール、室内スケートリンクもありました。




3,札幌パークホテル以外のオリンピックコース近くの建物は

 

東京オリンピックのマラソンが、急に札幌に決まりました。

マラソンコースも、慌ただしく決まりました。

我が家から近い札幌ドーム発着案は、残念ながら早々にボツになりました。

 

現札幌パークホテルは、新しいホテルが建設されてから解体予定

 

調べたところによると、現在、駐車場の場所に、新しホテルを建てた後、現在のホテルを解体されるようです。
札幌パークホテルと、緑豊かな中島公園の景観は、オリンピックの映像に、美しく見えるのではないかと思います。

 

中島公園からの景観

 

赤レンガ庁舎も、見られる予定

 

スタート地点の大通公園近くには、観光名所の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)があります。

今年から、外壁など改修の予定でしたが、オリンピックの間、工事を休止して外観が見えるようにするそうです。

こちらも映像的に見栄えがするかと思います。

 

赤レンガ

休館になる前、見に行った際の写真。

 

コースにあるすすきののデパートは解体?

 

すすきのの地下鉄の真上にあるデパート「ラフィラ」は今年の5月で、閉店になります。

最初は札幌松坂屋(ヨークマツザカヤに途中で改名)で、そのあと、ロビンソン百貨店になり、近年はラフィラになりました。

老朽化で、設備の更新と耐震工事に多額のお金がかかるので、建て替えを決めたそうです。

こちらもコース上にあります。

「すすきの」のシンボル、ニッカウィスキーの看板の向かいの建物です。

こちらは、このまま解体なのかは不明です。

 

すすきのラフィラ

すすきの交差点、右側がラフィラ

すすきのにある為、土日より平日の方が混んでたようです。





4,建物を大切にする世の中に

 

昨年の厚生年金会館、須貝ビルなど、近年、市内の建物の解体のニュースが多くなってきています。

札幌市民に、長く親しまれた建物が、無くなるのは寂しい限りです。

欧米の街が、何百年と建替えられずに残っていることをみると、日本の建物の設計は、まだまだ遅れているのかもしれませんね。

ちなみに、建物の建て替えサイクルは、日本30年、米国103年、英国141年です。

物(住宅、建物)を大事に使うのは、日本の美徳でもあるかと思います。

私の仕事は、住宅関係が多いので、設計をする際、長く使える住まいが出来るよう、今後も努力してゆきたいと思います。

 

頑丈なタイル


最後までブログお読みいただきありがとうございました。

皆様が、今年一年、楽しく幸せに暮らせますように。

 

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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

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*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。

(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)

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