間取りのセカンドオピニオンサービスで、電気配線の図面を見せていただくことがあります。
その中でコンセントの数が足りなかったり、照明器具のスイッチの位置が悪いケースを見かけます。
注文住宅を建てるにあたって、失敗後悔しない電気配線をするにはどのようにすればよいでしょうか?
失敗しないコンセント位置(前編)目次
1,生活スタイルに合わせた電気配線が必要
2,間取りのセカンドオピニオンサービスでよくある失敗例
3,コンセントで失敗しないには
4,キッチン、ダイニングのコンセント
5,リビング、テレビ周りなどのコンセント
6,後編のお知らせ
1,生活スタイルに合わせた電気配線が必要
・「プロが書いた電気図面だから安心」ではない。
注文住宅は間取りが固まってきた段階で、電気配線の打ち合わせになります。
まずハウスメーカーの営業マンや工務店の現場監督から、コンセントや照明器具の位置が記入された電気図面が渡され「気になるところがあったら言ってください」と言われます。
図面を見ると「部屋にコンセントが2か所と照明器具の配線もある。まあ住宅メーカーのプロが考えてくれたのだから大丈夫だろう」と「問題ないです」と簡単にOKを出してしまうケースが多くみられます。
また、全く電気配線の図面も説明もないまま進める住宅メーカーもあるので注意が必要です。
・ついていると思った場所にコンセントがない
人はそれぞれ生活スタイルも違いますし、持っている家電製品も違います。
たとえば、料理好きな人はホームベーカリーやハンドミキサーを持っているかもしれません。
そうすると、キッチンのカウンター上にコンセントが必要になります。
でも依頼しないとついてこないケースがあります。
「えっ?」と思われるかもしれませんが、「水がかかりショートしやすいから」という理由でつけてないことのほうが多いかもしれません。
持っている家電やライフスタイルに合わせて、配線もチェックしないと後悔することになります。
・電気配線は間取りの失敗ランキングで3位
SUUMOで調査した間取りの失敗ランキングでも電気配線は第3位になっています。
SUUMO https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_plan/madorinoshippai/
2,間取りのセカンドオピニオンサービスでよくある失敗例
当設計事務所で行っているセカンドオピニオンサービスで、電気図面のチェックも頼まれることがあります。
多く見かけるのは、「コンセント不足」「使いづらい位置にあるスイッチ、コンセント」です。
・数が足りないコンセント
コンセントの数は、家族の生活スタイルに合わせて必要な数を、必要な場所に設置すべきです。
足りない場合は、タコ足配線となり火災の原因にもなります。
多く見かけるのは、リビングやキッチン周り、お子様部屋などです。
・使いづらい、スイッチやコンセントの位置
よく見かける失敗は、コンセントやスイッチが家具の後ろに隠れてしまうケースや人が歩く場所に電源のコードが来てしまうケースです。
引き出しやドアにあたって使用できないコンセントも見かけることがあります。
3,コンセントで失敗しないには
・電気製品の数とコンセントの数は比例する
お持ちの家電製品が多い家庭だと、多めのコンセントにすることをお勧めいたします。
またデジタル化が進んできているので、将来的なことを考えて少し多めでもよいかもしれません。
特にお子様部屋は、学習の教材などがデジタル化されてきているので、コンセントが3か所以上あってもよいかもしれません。
・1か所のコンセントは合計1500Wまで
コンセントは一般住宅の場合、1か所あたり1500Wまでの容量までにしています。
2口でも3口コンセントでも、1か所あたり合計1500Wまでです。
1300W炊飯器と800Wの電子レンジは同じコンセントを同時に使用すると合計2100Wになり、容量が足りないのでブレーカーが落ちるか、最悪は家電から火が出ます。
コード付きの掃除機も1000Wくらいあるので、たくさん電気を使う家電は同じコンセントで同時に使用できません。
電気を多く使う家電は下記の表になります。
千葉県 https://www.pref.chiba.lg.jp/shigen/documents/savingenergy_pamph1-2.pdf
以前、美容師さんが、仕事で使っているドライヤーを家で使ったら、コンセントに火が付いたと聞いたことがあります。(業務用のドライヤーは1200W~1600Wが多い。)
・一つの回路は2000Wまで、電化製品によってはそれ専用の電源回路が必要
コンセント用電線は一つの回路に、木の枝のように複数のコンセントが繋がっています。
住宅の電気は一つの回路は2000Wまでしか流せないことになっています。
大きな容量が必要な家電を使う場合は、単独で配線しなくてなりません。
どのように、すれば失敗しないかというと・・・。
・失敗しないには「レンジ用」「炊飯器用」コンセントと図面に書いてもらうと安心
電気業者もキッチンそばのコンセントは単独配線の回路にしてくれている場合が多いです。
でも心配なら図面に「レンジ用」「炊飯器用」もしくは「単独配線(アース付き)」など記入してもらうとよいです。
電気配線する業者の人は図面を見て「ここは大きな電気が必要」と配線してくれます。
ちなみに電子レンジなどはアース付きコンセントになります。
「電子ジャー用」と書いても、分からないかもしれない(byピッコロ)(笑)
・大きな電気を使う場合は住宅会社に伝えておく
キッチン以外で大きな容量を使う場合も、設計の人などに言って、図面に記入してもらうのが良いかと思います。
海外ブランドの家電は、200v配線が必要なことがあります。
ミーレ https://store.miele.co.jp/laundry/washer-dryer/wtr860-wpm-50hz-60hz-27500-zid11620300/
4,キッチン、ダイニングのコンセント
・料理やお菓子つくりが好きならキッチン周りにコンセントを
家を新築して、子供とお菓子やケーキつくりをしたいと考えているお父さんお母さんも多いかもしれません。
そばにコンセントがあると便利です。
コンセントがキッチンにつけられるものもあります。
パナソニック https://sumai.panasonic.jp/kitchen/
・料理好きでなくてもコンセントは少し多めでもよい
ホームベーカリーやヨーグルトが作れる家電や生ごみ処理機など、家電量販店に行くとキッチン周りの商品がいろいろあります。
炭酸水が作れる家電もあるので、料理にあまり興味のない方もコンセントを付けておいてもよいかもしれませんね。
麦芽が入ったアルコール炭酸水!
・調理家電のコンセントは、やや高めのほうが便利
調理器具のコンセントは、抜き差しすることを考えれば、作業するカウンターより高い位置にあったほうが便利です。
屈んで行うより断然に楽です。
また、高い位置にあれば水がかかりずらくなるので安心です。
カウンターより15cm位コンセントを高くするのが目安です。
LIXIL https://www.lixil.co.jp/lineup/kitchen/richelle/parts/parts12.htm
・冷蔵庫のコンセントは高い位置に
冷蔵庫のコンセントは、一度差すとまず抜くことはないかもしれません。
そのため冷蔵庫は低い位置にコンセントがあると、ほこりなどがたまって発火する火災(トラッキング火災とも言う)が起こりやすくなります。
また低い位置にあると、水がかかり漏電火災の可能性もあります。
一般的には180cmから190cm位の高さの位置が良いといわれています。
ただ、それ以上の冷蔵庫も販売されています。
お手持ちの冷蔵庫や購入されたい冷蔵庫の高さを確認してつけてもらうのが良いかと思います。
冷蔵庫より高い位置にあったほうが、買い替えの際も抜き差しはしやすくなります。
大型の冷蔵庫は、搬入が出来るのかも確認も必要です。
ドアの幅や間取りのチェックを設計の方にしてもらうのが最善です。
・パントリーに冷凍庫を置くならコンセントが必要
食品庫(パントリー)のある間取りの方も増えてきました。
意外と多いのは、冷凍庫を置こうと思っていたのに、パントリーにコンセントを付けなかった失敗です。
また、当初、冷凍庫を付ける予定ではなかったが、必要になってつけようと思ったがコンセントがなかったという後悔もあります。
「住み替えて買い物に行くのが不便になった」「新築して家が快適になったので、あまり出かけなくなった」ので冷凍庫が欲しくなったということも聞きます。
少し広めのパントリーの場合は、コンセントがあってもよいかもしれません。
あるある話
食品関係の方や水産関係の方の家には、大型の冷凍ストッカーがあることが多いような思えます。
・食卓テーブル周りにも、ホットプレート用のコンセントが必要
食卓テーブルで、ホットプレートやタコ焼き機などの家電を使って食事をされる方も多いかもしれません。
その際は、近くにコンセントがあると便利です。
また、ダイニングテーブルを家事カウンターや小さい子供の学習机として利用される方も多くいらっしゃいます。
コンセントが近くにあったほうが、家事や勉強の際に役に立ちます。
5,リビング、テレビ周りなどのコンセント
・テレビ周りは少し多めに
リビングのテレビを、家族のコミュニューケーションの道具として利用されている方は多くいらっしゃいます。
「ホームシアターとして利用」「ビデオカメラで映した子供の学習発表会を見る」「家族でテレビゲーム」「皆が好きな番組を録画して見る」などなどで楽しく過ごされているかもしれません。
ゲーム機や録画機などの電源が必要なので、テレビ周りは多めのコンセントにするのが良いかと思います。
考えられるのは、テレビ以外にブルーレイやハードディスクなどの録画機、テレビゲーム機(1台もしくは複数台)、中には、ビデオカメラを接続したり、音楽を楽しむためのアンプ、カラオケの機械、無線LAN、最近ではアマゾンのファイヤーステックなどのディバイス用の電源など欲しい方もいらっしゃいます。
また、新築で意外と多いのがWIFIの電波が弱くて、無線LANの機械がリビングに必要になったケースがあります。
郊外の住宅地だと電波が弱いことがたまにあるので注意が必要です。
(住宅地だと基地局が少ないケースがあります。(わが家がそうです。))
・コンセントは3口や6口など増やすことは可能
テレビ周りは使いたい機器も多く、通常使用されている2口コンセントだけでは足りないかと思います。
最低でも3口コンセントか2口コンセントを2か所は必要になるかもしれません。
増やすには、2口コンセントを2か所にする以外に、2口を3口以上にすることも可能です。
1つのプレートで1口から15口までのコンセントが出来ます。
プレートは、3連、4連、5連の種類があります。
コンセントだけに使おうと思うと、3口*5連で一つのプレートで15口までできますが、回路の容量は決まっているので、全部使うと危険かもしれません。
3連以上のプレートは、テレビ端子(地上波、BS放送など)や電話、インターネット端子と組み合わせて使用しているケースが多く、すべてコンセントにしているケースはないかと思います。
・プラグが大きいケースもあるので、全部差し込めないことも
1つもプレートでコンセントの数を増やしてもプラグの形状がアース付きなど変形しているものもあり、2つ以上差し込むことが難しいことがあります。
つまり3口コンセントであっても2つしか差し込めないことがあります。
またコンセントの間隔が狭いとコードが密集して美観上もよく見えないこともあります。
コンセントの数を増やすには、一つのプレートで数を増やすより、2つ以上にプレートを分けてつけたほうがすっきりしてキレイに見えます。
テレビ周りのコンセントは、ちょっと多めにつけたほうが無難です。
当事務所でセカンドオピニオンサービスなどで、電気の相談を受けた際は、テレビ周りは4口(2口を2か所)から6口(3口を3か所)にしてもらっていることが多いかもしれません。
・壁掛けテレビは壁内配線をするとすっきりする
テレビが大型化してきているので、やや減少傾向にありますが壁掛けテレビをご希望される方も多くいらっしゃいます。
壁掛けテレビとレコーダーなどとの接続は、壁内配線(壁の中に配線を通す方法)にするとコードが見えないのですっきりします。
壁掛けテレビは、壁の下地のこともあるので、工事を行うハウスメーカーや工務店に設置する旨を伝えて、進めてゆくのが良いかと思います。
・リビングはコンセントは少し多めに
リビングのコンセントは、空気清浄機を置くなどの家電もあります。
また、家族がリビングにいるときにスマホを充電したり、リビングでアイロンがけなど家事で利用することもあります。
家族が集まった際、皆がコンセントを利用できないと喧嘩になります。
人の集まるリビングのコンセントは、少し余裕があったほうが良いかと思います。
「リビングのワンポイント」
リビングに神棚を設置する方もいらっしゃいます。
神棚で電気を利用する方は、天井付近にコンセントの設置が必要になります。
・リビングは壁ごとにコンセントがあってもよい。
リビングは壁ごとにコンセントがあると対応がしやすくなります。
ドアの前を横切ってコンセントを這わせると危険です。
そのためドアや通路で区切られた壁ごとにコンセントを付けたほうが安全で、家電も置きやすくなります。
壁ごとにコンセントがあると、なにか電源が欲しくなった際に、制約されることなく設置できます。
模様替えも、壁ごとにコンセントがあるほうがレイアウトの自由性は上がります。
よく聞くのが、子供がすくってきた金魚の水槽用ポンプが急に必要になったケースがあります。
このような場合でも壁ごとにコンセントがあると、遠い場所から延長コードで引っ張ってこなくても良いので、好きな場所に設置できるかと思います。
・広い部屋は中央にフロアコンセント
鉄筋コンクリート構造や鉄骨造などは、間取りでリビングやホールなど30畳以上広い空間が取れます。
部屋の中央付近に電気が必要な場合はフロアコンセントにしたほうが、便利な場合があります。
それは壁コンセントからだと長い電源コードで接続するので、引っ掛かりの要因になるためです。
フロアコンセントは使いたい位置に設置すれば安全です。
パナソニック https://www2.panasonic.biz/jp/densetsu/haisen/switch_concent/floor_outlet/
6,後編のお知らせ
コンセント編が長くなってしまったので、一度ここでやめて後編へと続きます。
次回は、今回の続きとなる「子供部屋や寝室などLDK以外のコンセント」「将来的な備えのコンセント」「失敗しない電気配線の打ち合わせのコツ」など読むと為になるブログになります。
後編もぜひご覧いただければと思います。
・続編パート2
・さらに続編「パート3」
下記に今回の内容に関するブログを掲載しておきます。
ご覧いただければと思います。
・電気の配線が原因で、大規模火災になってしまった映画の話
・大きな冷蔵庫や家具が搬入出来ない間取りにしないには
・ダイニングなどで勉強させるリビング学習の間取りのコツ
・使いやすい家事動線の間取りとは
今回のブログが、みなさまの間取り決めの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの間取りがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
ここから設計事務所のCMです。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
札幌市近郊(江別市、北広島市、恵庭市、千歳市など)は出張交通費無料です。
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