11月の上旬に、北海道札幌市の建築文化の講座「豊平館(ほうへいかん)物語」に参加してきました。
豊平館の沿革や魅力について聞いてきました。
また今では人気のある和洋風の設計が、北海道では普通に受け入れられた考えが、内地(北海道以外)では違和感があったことの話がありました。
今回は、札幌市民になじみ深い「豊平館」から、和洋風の住宅について書いてゆきます。
豊平館のことなど
豊平館のことをお話してくださった方。
今回、講義でお話されていたのが、北海道大学名誉教授であり、札幌市豊平館の指定管理者選定委員長でもある、角幸博さんでした。
昭和45年から豊平館の調査をされて、現在の観光しやすいように、エレベーターを付けた増築など、リニューアルにも大きく関われた方でした。
(重要文化財でもあったことで、「増築の為の許可を得るのに数年かかった」とのご苦労があったそうです)
豊平館の歴史など
このブログを読んでいただいている8割以上の方が、北海道外のようなので、簡単に説明しておきます。
豊平館は、札幌の中心部に近い中島公園の中にあります。(「すすきの」から徒歩10分くらい)
豊平館は、明治13年に政府がホテルとして建築(明治政府機関の唯一のホテル)。
当初は、1階は紳士のみ宿泊でき、2階は主に行幸(皇室関係者の方の視察)などの際に使用されていたとのことでした。
現在の中島公園への移築前は、札幌の現在の市民ホール(大通公園近く)の場所にあり、終戦時の占領下の時は、三越デパートになった歴史があったそうです。
*三越の包装紙の(Mitsukoshi)文字を書いたのは、アンパンマンの「やなせたかし」さんというトリビア
現在の豊平館
現在は、国の重要文化財となり、建物見学が出来るようになっています。
また、今回のように講演会やコンサートなど多目的に活用されています。
(ちなみに、私の妹の結婚式の披露宴は、この豊平館で行いました。)
今の若い札幌の人は、「ほうへいかん」と呼べない人も多いとのお話でした。
「とよひら」の読み方の方が、札幌市民には馴染んでいますね。
豊平館の見どころ
外部
建物の上部に、開拓使のシンボルの北極星の星のマークがあります。
(サッポロと言えば、このマークのビールですね。(笑))
玄関前には、洋風建築の柱があります。
この様式をコリント式オーダーと言います。
(ギリシャの神殿のような感じですよね。学校の試験に何式でしょうと出たことがありました。)
外壁は、「下板見張り(したいたみばり)」という板を1枚1枚はめ込んでいく、隙間風の入りづらい方式を取っています。
外観の色は、白とマリンブルーを基本にしたものです。
これは、建築当時の外観に合わせたもので、塗り重ねられた色をはがすなどして、丹念に調べて復元したとのことです。
このやり方で、旧函館区公会堂を復元したそうですが、当初、函館市民や全国からも、間違いではないかと批判されたそうです。
しかし、当時の全国の建物を同じように調べてゆくと、同じような色の塗料が使われていたことが分かったそうです。
ブルーグレーとイエローの色の外観
内部
内部の大広間の照明は、当時は蝋燭だったそうですが、天井に漆喰彫刻による飾りがあります。
飾りの鳳凰の目は朱色ですが、調査されるまで、塗り潰されてわからなかったそうです。
当時、ペンキをはがしていった際に、朱色が現れ、思わず後ろに飛びのいたそうです。
*「豊平館物語」の資料から写真
暖炉は、天板は大理石であったが、当時、焚口周りは、しっくいに大理石模様を左官職人が墨を入れてたそうです。
6基あった内の1基しか残っておらず、後の5基は、復元されたものだそうですが、墨入れが難しく、不自然に見えてしまっているとの事。
札幌の清華亭も、現存する和洋折衷様式の住まい
今回、ブログを書くにあたって、豊平館と同時期に建てられた、清華亭に行ってきました。
豊平館と同じく星のマークがありますが、こちらは彫り込んであります。
その為、星のマークが太陽の光で陰に映し出されています。
こちらは、豊平館と比べ有名ではありませんが、札幌駅から北海道大学に向かう方向にあり、駅から徒歩10分もかからない場所にありますのでご覧いただければと思います。
このころの、建物はノスタルジックな雰囲気で、とても良いですよ。
玄関ドアは内開き、床は札幌軟石、建材は北海道産材です。
パート2では、内地(本州)で違和感があると言われたものは、北海道では受け入れられて、それは今の設計では普通になっていることや、和洋風の一戸建ての具体的なことを書いてゆきます。
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暖かい本州では考えられない、北海道ならではの間取りのブログ
昭和初期の住宅のお話
大正の日本初の住宅メーカーの家のこと
家族との時間を大切にする欧米の間取り
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
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