食べものを買う時、賞味期限や産地を見て安全か確かめるかと思います。

注文住宅を建てる際も安全か気になるかと思いますが、それを確かめる構造計算をしないで家を建てる会社が多いです。

その今回は、安全な注文住宅を建てるのに、後悔失敗しないには何に注意して、何をすればよいかというブログです。

安全な建物

 

目次

1,日本の住宅の8割が地震に対しての安全の確認していない。

2,近年に建てられた住宅も被害に

3,住宅の安全は「仕様」と「構造計算」の2つのチェックが必要

4,構造計算を間違えた場合のチェック機能がない

5,安全な注文住宅を建てるには「構造計算して欲しい」と言う。

6,最後に




1,日本の住宅の8割が地震に対しての安全の確認していない。

 

家を建てる際、構造計算をして安全か確かめるよう法律ではなっています。

ただ、木造住宅の2階建ては、確認申請の際、構造計算書は提出する必要がありません。

つまり、審査が無く家が建てられるのです。

調査によると日本の木造住宅の8割は構造計算されておらず、そのうち3割が安全基準を満たしていないそうです。

それは工務店に限ったことでなく、大手ハウスメーカーでも同じ傾向だったそうです。

 

 

,近年に建てられた住宅も被害に

 

・熊本地震では長期優良住宅の耐震住宅が被災

 

熊本地震では、厳しい審査のはずの長期優良住宅が被災しました。

この建物は構造計算の審査がないのでされていませんでした。

 

安全な家

2年前の9月6日に北海道で胆振東部地震が発生しました。

被災されました方々に心よりのお見舞いと、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

3,住宅の安全は「仕様」と「構造計算」の2つのチェック

 

(1)建物の構造の安全にするには「仕様規定」と「構造計算」のダブルチェックが必要。

 

建物の安全を確かめるには「仕様規定」を守ることと、「構造計算による安全チェック」の2つが重要と言われています。

仕様規定とは、基礎に決められた以上の鉄筋が入っているとか、土台、壁などの品質や取り付けのルールです。

 

一方、構造計算は、住宅の大きさに必要な壁の量があるとか、バランス良く壁が配置されているかなど実際に計算してで安全チェックをします。

国の法律の建築基準法では、この両方をチェックしてくださいとされています。

 

・住宅メーカーのCMは仕様規定の安全性のみ

 

ちなみにハウスメーカーや工務店のCMで、「うちはこれくらい太い柱を使っている」「こういう優れた建築金物を使っている」とかやっていますね。

これは「仕様規定」のことだけですので、これだけでは安全かどうかは分かりません

ちなみに、実物大実験でこれくらい揺らしても倒れませんというのもありますが、家の大きさに対してどれくらい壁が入っているのかは分かりません。

大きな吹き抜けがあったり、大きな窓のある家など間取りによって条件が違うので、そのCMだけでそのハウスメーカーが安全などうかは判断するのは早い気がします。

 




 

 

(2)構造チェックのある「仕様規定」。チェック機能のない「構造計算」

 

2階建ての木造住宅は、構造計算の審査がない

 

建物を建てる際に、確認申請という安全確認の書類の審査があります。

ただ、この時、木造住宅の一般的な2階建ては「4号特例」といって構造計算の審査が免除されています。

同じ住宅でも鉄筋コンクリート構造や鉄骨造には、確認申請時に構造計算の審査がありますが、木造住宅にはないのです。

建築基準法の構造計算のルール

国土交通省の構造別のルール

国土交通省ホームページより https://www.mlit.go.jp/common/000134703.pdf

 

 

・確認申請の許可が下りても、安全が確かめられているわけではない。

 

一般の人には、確認申請で「構造チェック」もされていると思われていますが、そうではありません。

行政の方は、あくまでハウスメーカーや工務店の設計士が構造計算している前提で、審査の対象にしていないだけなのでチェックはしていません

倒れた建物

 

 

・構造計算の審査が免除されているので、しなくても良いと誤解が。

 

阪神淡路大震災を受けて、2000年に木造建築物の仕様規定が改正され、「壁量計算」「四分割法」「N値計算」など簡易的ではありますが、構造計算が義務付けされました。

ただ、残念ながら「公的機関での構造計算のチェックはしなくてもよいという」部分は変わりませんでした。

構造計算書を出さなくてよいということは、しなくても良いという住宅メーカーの誤解がいまだにあります。

その為、2006年に1000棟以上建ててる住宅メーカーで、簡易的な壁量計算ですらされておらず基準をみたしていなかったことが発覚しました。

 

 

・他人任せの構造チェック

 

先のブログでも書きましたが、ハウスメーカーでは設計マンが少ないので、営業マンが間取りを作っていることが多く見受けられます。

営業マンは、自分の書いた間取りは設計が構造チェックしているものと思ってますし、設計は営業は簡易チェック位はしていると思っている部分があります。(又は忙しすぎてチェックできない)

また公的機関は構造計算は審査免除なので、チェックしていません。

他人任せで本当に構造計算されているかはあやふやなところです。

 

3人の建築士





 

 

4,構造計算を間違えた場合のチェック機能がない

 

・構造のスペシャリストが作った計算書でも指摘は受ける

 

鉄筋コンクリート構造の間取りで注文住宅を建てた場合、公的機関で構造計算のチェックがあります。

その場合、一級構造設計建築士の資格がある構造設計事務所に依頼して、行政のチェックを受けます

その際、だいたい指摘を受けます。

一級構造設計建築士は、平成17年に耐震偽造問題を受けて創設されました。

5年以上の実務経験と厳しいテストを通った構造のスペシャリストなのですが、それでも考え方の違いなどで、行政から何か所か指摘を受けます

安全性を確かめるために追加の計算書を提出しなければならないこともあります。

 

 

・計算間違いは起こりうる

 

計算を間違えることは今はパソコンで行うのでないかもしれませんが、地域によって変わる風の強さや雪の重さなどや数字の入力ミスはあるかもしれません。

皆様の職場でも間違いがないように「ダブルチェック」「トリプルチェック」と重要な仕事の際、皆でチェックするかと思います。

でも構造計算はチェックする機能がないどころか、誰がしているかも不明だったりします。

本当は、木造住宅も仕様規定の簡易的な構造計算のチェックだけでもあった方が、安全な建物が増えてゆくと思います。

 

*構造計算の審査をする案が出ても、業界から反対が。

 

実は、チェック機能のないことから2009年に国土交通省が、四号特例の廃止案を発表しましたが、現在まで廃止されていません。

「構造計算が分からない」「お金と時間がかかる」という住宅業界からの反対があったと言われています。

 

でもRC住宅などの場合で、お施主様に「構造の安全の確認する審査に時間と計算の料金がかかる」と言っても、文句を言われたことはありませんので、あまり反対の理由にならないかと思います。

地震など災害が多い日本では、住まわれる側の防災意識が高いのに、建てる側が反対する人が多いのは不思議なことです。

避難訓練

2025年度から改正になります。最後の追記に記載しています。

 

 

本当は許容応力度による構造計算が望ましい。

 

「許容応力度」によるものが本当の構造計算と言われています。

少し難しい言葉ですが、建物に長期にわたる重さや地震時など急な力に対して安全かどうか細かく計算します。

ちなみに3階建て木造住宅は許容応力度による構造計算を行い、公的機関の審査を受けます。

地震に対して安全な住まいが欲しい場合は、2階建てであってもこちらの計算方法での建設がお勧めではあります。




 

 

5,安全な注文住宅を建てるには「構造計算して欲しい」と言う。

 

・「地震に強い家を建てて欲しい」では安全にならない

 

お施主様が「地震に強い安心な家が欲しい」と工務店や住宅メーカーに伝えても、建てる側は「手抜き工事が無いか」とか「変な材料が無いかチェックしよう」という認識でいる事があり、構造計算して確かめようとはあまりなりません。

 

・「構造計算してますか」と聞いてみる

 

安全な注文住宅を建てるなら「構造計算してますか」と聞くのが最適です。

「木造なのでしていない」という会社はアウトかもしれません。

アウトでも、知人の紹介などのハウスメーカーや工務店や住宅会社で建てなければならない場合は「構造計算して欲しい」と言うのが最善です。

仕様規定の簡易的な構造計算でもされないよりは断然良いです。

ちなみに、札幌など積雪地域では壁量の割り増し補正をするとより安全になります。48.6/40.2

 

建築現場

地震に対して、根拠のない自信はダメですね。

 

 

6,最後に

 

構造計算にはこのほか、超大手住宅メーカーの型式認定の場合の対応方法や、住宅性能の耐震等級など書けることはいろいろあるのですが、長くなってしまったので今回はここで終了したいと思います。(また何かの機会に書こうかと思います。)

・最後にエピソードとまとめ

ちょうど1年前に北海道胆振東部地震のセミナーのことをブログで書きました。

その際に倒壊した建物に、ある共通の特長がありました。

「全体に壁の量が少なかった」「道路側が窓ばかりで、建物のバランスが悪かった」ということでした。

実はこういうことが構造計算でチェックできるのです。

構造計算」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、安全な家を建てるには必要なことだと覚えておくと良いかもしれません。

 

 

・追記です。

 

2025年以降、木造住宅も構造計算の義務化に改正されました。

ただ、2階建てで500㎡(約151坪)以下の住宅はお勧めしてきた許容応力度計算はしなくてもよいことになりました。

一般的な住宅はせいぜい200㎡(約60坪)の広さなので、あまり許容応力度計算はされないのかもしれません。

また、平屋は200㎡以下の住宅は、構造計算は審査は免除変わりませんでした。

一般的な2階建ての木造の構造計算は、仕様規定だけのチェックでよいそうです。

まったく構造の審査をしていないよりは良くはなりましたが、計算で安全を確かめられるレベルまでは残念ながらなりませんでした。

やはり、ハウスメーカーや工務店に構造計算を自分たちでお願いするしかないようですね。

 

国土交通省、法改正のお知らせ

 

最後までお読みいただき感謝いたします。

自分で出来る構造チェックという過去のブログの記事のサイトも下に貼っています。

時間がございましたなお読みいただければと思います。

皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。

 

*ライフホーム設計の札幌の設計士が書く、ほかのブログもどうぞ

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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所「ライフホーム設計」代表

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*注文住宅の主としたハウスメーカーで営業設計を経験し独立。

「一級建築士としての建築知識」と「税金や融資、登記や不動産の知識」も併せ持つ設計士です。

貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

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また、住宅会社、工務店向けに営業代行サービスやプラン作成などのサービスも行っております。

詳しくは北海道札幌市の注文住宅プラン「ライフホーム設計」のホームページ





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