今回のブログは、過去にあった注文住宅の外観の失敗例を2つご紹介します。
また、後悔しないコツもお伝えできればと思います。
目次
1,注文住宅のデザインで失敗した実例
2,失敗した3つの原因
3,注文住宅のデザインで失敗しないには
4,最後に~3つのアドバイス
1,注文住宅のデザインで失敗した実例
(1)派手な配色の外観デザイン
・家族の反対を押し切って
注文住宅は自分の好みで色合いを決めるメリットがあります。
外壁を塗装仕上げにされた方で、3つの色で建物を塗り分けるデザインをご希望されました。
ベースの色は無難な色でしたが、アクセントに使用する2色がかなり派手な色合いでした。
外観パースを作成しましたが、かなり派手で個性的でした。
私も含め、コーディネーターからも「もう少しトーンを抑えたほうがよいかもしれない」とアドバイスをいたしました。
ご家族からも反対されてましたが、「自分がお金を出すのだから好きにさせてほしい」と意見を押し切られました。
・実物を見た感想
最初のベースの色を塗ったところまでは良かったのですが、アクセントの1色目を塗ったところで、イメージと違っていたのか顔つきが変わってきました。
アクセントの2色目を塗り始めたところで、現場監督に「派手すぎるからいったん中断してほしい」と申し出がありました。
後日、現場でお施主さんと設計やコーディネーターと相談し、アクセントの色を無難なものに塗り替えて、工事は再開されました。
結果的には工事代も多くかかり「失敗した」ということになってしまいました。
・派手な外観は飽きも早い
過去には、大胆な色遣いの仕上げを希望されて建築された方もいらっしゃいましたが、「落ち着かない」「飽きた」といわれ後悔されることが多かったと思います。
長く住む住宅は、服などと違い飽きたからと言ってすぐに取り換えるわけにはいきません。
特に外壁タイルだと色を変えることはほぼ難しいかもしれません。
・周りの意見にも耳を傾けて
自分らしさを出せる注文住宅は、個性的なデザインにすることはある程度必要です。
でも行き過ぎは良くないかもしれません。
また周りの意見、特に家族のお話しを聞くことは大切かもしれません。
ただ、たまに著名なインテリアコーディネーターが感心するような配色をする方もいらっしゃることはあります。
(2)イメージと違うデザインだった
住宅展示場を見て回ると、気に入ったデザインのモデルハウスを中心に選んで見られている方も多いかもしれません。
またハウスメーカーの豪華なカタログには、素敵なデザインの写真が掲載されていますね。
・モデルハウスの外観が気に入った
以前、間取りの相談を受けていたある方は、大手ハウスメーカーのモデルハウスの外観に惹かれました。
概算の見積もりをお願いしたところ、予算的にもあうようでした。
そのため、そこのハウスメーカーで話を進めるとのことになりました。
・数年後、失敗したと現れる
2,3年したある日、その方がひょっこり現れ、「実は失敗してしまいました」お話をされてゆきました。
お話によると、その後、すぐ契約を進められ、間取りと見積もりだけのプレゼンでしたが、気に入った住宅会社だったのと値引きなどの条件も良かったのでサインしたそうです。
ただ、契約後の打ち合わせで、気に入ったモデルハウスのデザインの外観ではないことが分かりました。
・気に入った外観はオプション仕様で別料金だった
聞くとそのデザインはオプションになっていて、追加でかなりの金額が必要だとわかりました。
しかたないので、大手の住宅会社だからそこそこの外観にはなるだろうとモデルハウスの外観はあきらめたそうです。
出来上がると、やはりあまりぱっとしたデザインにはならなかったそうです。
なぜ、このようなことが起きたのでしょう。
2,失敗した3つの原因
(1)モデルハウスやホームページの写真はオプションになっていることが多い
ハウスメーカーの人に、「御社のモデルハウスは良いデザインだから建築される方も多いのでは」と聞いてみたことがあります。
すると「この外観の仕様にすると、窓や外壁材などほとんどが特注なので、かなり値段が上がるから、実はほとんど建てたことはない」とのことでした。
大手ハウスメーカーのホームページでは、一番多く施工されている一般的な30坪35坪くらいの外観写真はあまり出していないことがあります。
モデルハウスで見たイメージと一般的な注文住宅で建てたデザインに差があるのかもしれません。
ただハウスメーカーも何棟もある住宅展示場のモデルハウスがありきたりでは、人が入ってくれないのでそうせざるを得ない事情もあります。
(2)構造的や高断熱化で自由なデザインにできない
構造がツーバイフォーや鉄骨造などの特殊な構造は、自由に設計できないことがあります。
家を建てるには国の審査や検査が必要です。
特殊な構造の建物は、審査に時間がかかってしまいます。
ちょっと難しいのですが、ルール決めをした住宅(工業化認定住宅や型式認定住宅と呼ばれています)は、審査や検査を簡略化できる制度があります。
何百、何千棟と年間建築している大手ハウスメーカーがこの制度を利用していることが多いのですが、設計のルールを厳しくしていることも多く、間取りの自由性が取れない場合があります。
モデルハウスは、この制度を利用しないで建築していることがあるのです。
また、これも難しいので飛ばしてお読みいただいても良いのですが、長期優良化住宅の認定や自社のカタログ基準のUA値をクリアするのに高断熱住宅にしなくてはならなくなってきています。
そのため、一般に建てる住宅は極端に窓を少なくしたり、小さくしている会社もあり、モデルハウスと全く違う外観にせざるを得ない場合もあります。
(3)ハウスメーカーの多くは営業マンが間取りを作っている
ハウスメーカーの設計の人数は、営業マンに比べ少ない会社がほとんどです。
そのため、営業段階の間取りは営業マンが作っていることが多くあります。
また契約後の設計マンも数多く案件を抱えているため、じっくりデザインを考える余裕がないこともあります。
3,注文住宅のデザインで失敗しないには
(1)間取りや仕様の相違を、モデルハウスを使って確認する
デザインで失敗しないにはまずは、図面をよく見たり仕様をよく確認することです。
でも、図面は見慣れないとわかりずらい面があります。
そのためモデルハウスなど現地で、ご自身の間取りや仕様の相違を、ハウスメーカーの担当者に聞くのが良いかと思います。
実際見てみると思ったより窓が小さかったり、外壁材が違うことがあります。
確認した内容は議事録などを作ってもらって、それらを記録に残しておくのが良いかもしれません。
出来れば、契約書の中にそれらのことを記載してもらうと間違いはありません。
(2)一般の家の外観を見に行く
モデルハウスだけでなく、そこのハウスメーカーや工務店で建築された注文住宅を見に行くのが良いかもしれません。
住宅展示場のモデルハウスは大きくて豪華だが、実際建てている住宅とデザインの差があることがあります。
そのため出来れば、ご自身で計画している建物の向き(南向き、北向き道路など)や大きさが近いものを教えてもらってみるのが良いかもしれません。
また、少し話はそれますが、建築途中の現場を見ることをお勧めしています。
現場か汚かったり、たばこの吸い殻が周りに落ちていないかなど現場管理がしっかりしているかなどある程度わかります。
(3)比較したり第3者に見てもらう
間取りは、設計が同行しているハウスメーカーだとある程度良いものが出来るかもしれません。
それでない場合は、数社のプラン図を見比べるとデザインの比較の検討が出来ます。
1社だけの場合や、間取りが気に入らなかったり、不安だった場合は知り合いに建築士さんがいらっしゃれば相談してみるのが良いかと思います。
いらっしゃらなければ、当事務所でも行っておりますが間取りのセカンドオピニオンサービスを行っている設計事務所がありますので、そこに相談してみるのが良いかと思います。
費用は数万円くらいだと思います。
4,最後に~3つのアドバイス
(1)イメージ写真を見せる
モデルハウスをはじめ、もし気に入った外観があるのならその写真を、住宅会社や設計士に見せるとイメージが伝わりやすいかもしれません。
「この配色は、お施主様の周辺の環境に合っています」「ここをこうすれば、標準仕様の材料でも同じように出来る」などアドバイスがもらいやすくなります。
(2)周りの意見を聞く
繰り返しになりますが、家族を含め周りの意見をよく聞くことが大切になります。
家づくりは、自分だけの希望だけで進めないことが必要かと思います。
(3)利害関係のない第3者の視線~「間取りのセカンドオピニオンサービス」の利用も考える
これも繰り返しかもしれませんが、知り合いや間取りのセカンドオピニオンサービスを行っている建築士に見てもらうのも良いかと思います。
利害関係があると、気を使ってはっきり言ってもらえず、出来上がった際に後悔することがあるかもしれません。
利害関係のない第3者の目で見てもらい、率直な意見を聞いてみるのは良いことかと思います。
このほかデザイン以外の不安や悩みをいろいろ聞けるメリットもあります。
当設計事務所へのご相談でも、打ち合わせの半分以上の時間が、「担当者にこのようなことを言われたのですが、本当でしょうか?」「次回、ハンコ用意してきてくださいと言われましたが、大丈夫でしょうか?」などの疑問に思う質問を受けることが多いです。
悩みが解消されると、すっきりとした気持ちで建築していけるのかと思われます。
・関連ブログもどうぞお読みください。
・家族の意見を聞くコツは
・セカンドオピニオンサービスを利用するコツ
・住宅展示場の間取りには特徴がある
・建築途中の現場は、その会社の良し悪しがわかる
・気に入った間取りにする方法とは
・欧米の建物と日本のデザインの差は長さの基準が違うから?
・今回の外観デザインシリーズのひとつ前のブログ。
失敗しない住宅のデザインの3回目の「建物の形」は次回に書きます。
それまで少しお待ちいただければと思います。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
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・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
ここから設計事務所のCMです。
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あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
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