北海道の設計は進んでいるのか。和洋風な家と札幌豊平館、②

 

北海道では受け入れられた設計は、昔、本州では違和感があると言われました。

でも、現在は、人気のあるデザインの一つになっています。

「北海道の設計は進んでいるのか。和洋風な家と札幌豊平館、①」の続編です。

北海道の設計は進んでいるのか。和洋風な家と札幌豊平館、①
北海道札幌市の中島公園に明治時代に建築された豊平館があります。その話を基に、和洋風な家づくりに関することを。皇室のホテルで建築、三越デパートにも。開拓使の星のマーク、ギリシアのコリント式オーダー柱、しっくい、大理石模様など特長。清華亭のことも触れている。新築一戸建ての注文住宅の間取りは一級建築士の設計士に相談を。

 

和風モダンな注文住宅

 

和洋折衷(わようせっちゅう)な住宅

 

最初の洋風の建物は、日本人に合わなかった

明治に、北海道の開拓使のために、洋風の官舎が建築されたそうですが、欧米の建物であったため、玄関がなく、入り口付近で、靴を脱ぎ履きして生活してたそうです。

そのあと、やはり使いづらいということで、日本人に合わせた和洋折衷の建物になってきました。

 

北海道では、和風と洋風の折衷は受け入れられた

和洋折衷でも、この頃は、洋間と和室は区画分けされていたそうです。

ただ、北海道は、混在した間取りも多かったそうです。

和室の中に洋室の建具(ドア)も多くみられ、内地(本州)の人から見ると、受け入れづらいものだったそうです。

和室に洋室の建具

写真は、札幌清華亭。

*前にブログで書いた名古屋の住宅もそうでした。
参考ブログ
「日本初の住宅メーカーの玄関は内開きであった~名古屋と京都の建物を見てきました。投稿日: 2019年8月8日」
https://lifehome-sekkei.com/2019/08/08/architecture/

床材2

 

和室は、襖で仕切るのが普通だったが、木の狂いによる欠点も
和室は、洋室のような木材の扉ではなく、襖紙や壁紙などの仕上げの襖が一般的でした。
襖の場合は、大工さんが、敷居など建具枠を作り、建具屋さんがその寸法に合わせて、建具(ドア)を制作します。
その為、大工さんの経験の差や、材料による乾燥収縮、襖紙の伸縮の違い(片面(和室側)が襖紙で、もう片面(リビング側)が壁クロスで違う材料を張ると、伸び縮みの差ででる)があって、反る(歪み)が生じやすいものでした。
(北海道では反るを「しのる」という(変換したら出てこなかった(笑))

意外と、雪の重みで扉の開閉に支障があった、このころの建物には、洋室の扉は、理にかなっていたかもしれませんね。

雪の載った家




和室から洋室へ、そして和風モダンへ

 

昭和から現在までの和室から和風への移り変わり

 

昭和から平成前半まで、住宅では、リビングと和室は続き間の間取りが多かった
以前の注文住宅は、リビング(居間)の横に、床の間や仏間のある和室があるのが、一般的な間取りでした。
仏様を居間のそばにしたり、お客さん泊めたり、人を多く招いた際、続き間にして広く使っていたからです。
現在は、ホテルに泊まったり、人が集まる際は、別なところで食べたり、仏間も小さくコンパクトになってきました。

良くあった居間と和室の続き間

 

和室がバリアフリー化されてきたところに転換期が

昔の和室は、畳の分(6cm)くらい高く段差があるのが、一般的でした。

「敷居が高い」という言葉があるように、家の中で床の間のある和室を格式高くする風習があり、廊下と境界を作る意味でも、一段高くしていました。

ところが、住宅での事故などにより、バリアフリーにすることが、昭和の終わりころから勧められ、段差をなくしてゆきました。

*その頃、ほどんどの人が、住宅金融公庫からお金を借りており、融資要件がバリアフリー住宅が条件にされて、和室を作る際、段差を無くすことに拍車がかかりました。

(和室に段差を付けないことを、嫌がる方も多かったです。)

その頃から、格式が無くなってきた為か、皆が集まるリビング(居間)を充実させる要望が増えてきたように感じられました。

札幌清華亭の段差

 

リビング中心の間取りになると、和室が洋室化

リビング中心の間取りになると、本格的な床の間や書院作りのある和室が減ってきました。

これは扉(襖)の高さも、1間(H1.8m)で造っていたものが、洋室扉の2m高さに揃えるようになり、「和」の中に「洋」が入ってきたため、ちぐはぐになって作りづらく面があったからかもしれません。

洋室のドアが2mになったため、和室の襖の高さも2mに揃え始めると、統一感のある洋室のドアを和室にも採用され始めました。

明治時代の北海道の和室の洋風化の違和感は、なくなってきたからかもしれません。

 

洋室ドアは、狂いが少ない

また、洋室ドアは、襖と違い、建材メーカーが工場で加工してくるため、狂いが少ないメリットがあります。

このため、採用するケースも増えました。

注文住宅においてのプランも、大きな幅の開口や、ドアの高さも高くすることが出来るようになり、設計の幅も広がりました。

ドアの構造

*工場で製作された建具(ドア)は、狂いが少ないので、特注の大型背の高いドアも問題が少ない。
画像引用は建材建具メーカー「大建工業」*ダイケン畳としても、建築関係では有名です。 https://www.daiken.jp/product/detail/door/17110160.htmlwww.daiken.jp




 

和室のデメリット、コストがかかること。

 

リビングを広げて、和室なしの間取りが増えた

襖のレール(敷居)などは、大工さんに作ってもらいます。

また、和室の窓には、障子を入れるのが一般的で、建具の数が増えます。

床も畳で、フロアー材より高くなり、床の間や仏間などを入れた間取りは、さらに費用がかさみます。

そんなこともあり、一戸建てでも和室のない間取りが増えてきました。

和室を無くして、そのかわりリビングを広くするプランが人気でした。

 

床の間のイラスト

*昔は建て替えの際、床柱を再利用する要望の方が、多くいらっしゃいました。

 

和室が無くなると、くつろげる空間が欲しくなり、洋室が和風化され始めた。

ここは、私見になるかもしれませんが、和室が無い注文住宅の間取りになると、住まいに「和風」が求められるように感じました。

和室がない間取りで、くつろげる畳コーナーや小上がりなどをプランに要望される方が多くなりました。

リビングの畳コーナー

内装も和風モダン化されはじめました。

モダンな和室

 

カーテンではなく木製ブラインドや和紙のようなプリーツカーテンの採用も多くなりました。

 

木製ブラインド

画像は、ブラインドメーカー「ニチベイ」 ブラインドのニチベイ【公式サイト】株式会社ニチベイは1941年創業のブラインドと間仕切りの総合メーカー。ブラインドやロールスクリーンなど多彩な窓まわり商品と各種間仕切りをラインアップ。商品情報の他、サポート情報、施工例写真、コラムなども掲載。www.nichi-bei.co.jp

楽天市場 ブラインドカーテン

和室は洋風にモダン化
和室を作る際は、逆に洋風化されてきました。
和室の座敷飾りは、本格的な床の間は無くして、幅の広い床材(縁甲板)やカウンターなどで代用することも増えてきています。

和室のかカウンター

また、窓の障子も、和風のブラインドやプリーツカーテンを使用するのも、最近は人気もあります。

 

 

プリーツブラインド

以前、アルミのドアでリビングと和室の間を仕切ったこともありました。

 

アルミ製建具

 

明治時代にこんな建具(ドア)を使ったら、怒られてましたね。(笑)

北海道の昔の和室のあり方が、全国的になったのかもしれませんね。

 

最後に

ブログお読みいただきありがとうございました。

皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。

 

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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所「ライフホーム設計」代表

*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。

(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)

貴方の想いをカタチに一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

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「ライフホーム設計」の設計士の「田中昭臣」と申します。 設計スタイルを押し付けることなく、お施主様との対話を重ねて、住みやすい家を造れるよう日々努力しています。 簡単な自己紹介 昭和38年(1963年)に札幌市の生まれ。 就職まで父の仕事の...

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