注文住宅で上手くいかない間取りは、階段の位置が悪いことがあります。
住みやすさは、階段の配置によって違うものかもしれません。
間取りにおいて、階段の位置は早めに決めることが失敗しないポイントになります。
目次
1,早めに階段を位置を決める
2,階段の場所を決める間取りの流れ。
3,階段の広さは何坪に
4,階段スペースを広くとると事故が少ない
5,階段の位置による使いやすさの違い
6,玄関と階段の位置関係
7,階段の種類
8,最後に
1,早めに階段を位置を決める
・まずリビング、玄関、階段の順でおおざっぱに配置を考える
設計士の多くが間取りで部屋の位置を考える場合、最初に大切にしたい部屋を(多くは人が集うリビング)の位置を決め、次に玄関の位置を決めます。
そのあとに、2階の部屋をおおざっぱにイメージして階段の位置を決めてゆきます。
・先に1階だけの間取りを考えると失敗する
家を建てる際、ご自分で間取りを考えられる方も増えてきました。
その際に、はじめて自分で間取りを考えられる多くの方は設計士と違って、1階を作ってから2階を作ってしまいがちです。
1階の間取りを作ってから、2階を考えると、階段の位置が良くなくて、いびつな部屋や廊下が出来てしまうことが多く見られます。
そうなるとしかたなく階段をずらして1階の間取りを作り変えると、さらに1階もでこぼこした廊下や部屋になってしまって失敗するケースはよく見かけます。
後悔しない間取りにするためには、2階の部屋のイメージをつかんで、おおざっぱにでも階段の位置を決めてから1階のプランを書くと上手くいくようになります。
次の章では2階の間取りのイメージと階段の位置の決め方について説明します。
2階の間取りは位置(イチ)が一(イチ)番大切
2,階段の場所を決める間取りの流れ。
・2階の部屋の大まかなイメージする
大まかな間取りのイメージの説明をします。
たとえば「南側に子供部屋を並列に配置したい」「バルコニーが欲しい」「リビングの上は吹抜けにしよう」などです。
そうすると、2階に希望の部屋がある部分には階段を配置ができないことになります。(下記の図を参照)
おのずと1階も階段の位置はそこを避けた配置になると考えます。
具体例
さらに、寝室は2階の東側に持ってきたいとすれば、1階の階段の設置できる位置の範囲は限られてくることになります。
・上がりきった位置がイメージ出来れば作りやすい
次に2階の間取りがどのあたりに階段の上がりきった位置があれば、作りやすいかを考えてみます。
この時もまだ準備段階なので、「このあたりかこのあたりにあると作りやすいかな」と程度のイメージができれば良いかと思います。
具体的な例
・階段の位置を入れて間取りを考えてみる
さきほどの階段位置の2つか3つの候補を当てはめてみて、1階の間取りを作ってゆきます。
何パターンか試して作っていく流れだと失敗しずらい間取りになります。
ちなみに、ブログのタイトルは「セカチュー」をもじってみました(笑)。(気が付かないと思いますけど)
3,階段の広さは何坪に
さて、間取りを作る際に階段はどのくらいの広さで考えればよいでしょうか。
・一般住宅では1坪で考える
一般的な3段曲がりのある15段上りきりの階段の場合、1坪(たたみ2畳)の広さです。
直線階段の方が面積は若干少なくなります(1.8畳程度)。
段数を13段、14段にすると1.8畳程度になりますが、現代だと少し、急こう配かもしれません。
・登りやすい階段は、1.2坪から1.5坪位は必要
高齢者などの寝室が2階の場合は、登りやすくするために、階段の段数も15段でなく16段以上が望ましくなります。(16段から18段)
また、3段曲がり部分をやめ、2段曲がりか踊り場のある階段のある間取りをお勧めします。
その場合の広さは2畳半(1.3畳)から3畳(1.5坪)くらいのスペースで考えます。
4,階段スペースを広くとると事故が少ない
・折れ曲がり部分での踏み外し事故は多い。
階段は家庭内の事故でも多く、転落すると大けがに繋がります。
折れ曲がる部分での足の踏み外しやすいので、なるべく無いほうが望ましいとされています。
厚生労働省:人口動態統計年報 主要統計表
折れ曲がり階段は降りる際に転落しやすい。
シンデレラが靴が脱げたのは、お城の階段が曲線階段だったから?(笑)
・注意、折れ曲がり部分が3か所以上あると事故につながりやすい。
お施主様が書いていただくプランの中には、なんとか間取りをまとめようされて、折れ曲がりが3か所以上のを見かけます。
出来れば曲がりは無いほうが安全です。
建物の坪数の関係もありますが、曲がり部分は最大で2か所までにまとめたほうが安全です。
・らせん階段はデメリットが大きい
螺旋階段は、コンパクトでデザイン性は良いのですが、曲がる部分ばかりなので転落の可能性が高いので小さな子供や高齢者の家庭には不向きです。
値段も高いデメリットもあります。
階段で臭いをカイダン(嗅いだ)(笑)
5,階段の位置による使いやすさの違い
・コンパクトな間取りは、階段位置はどこでも大丈夫。
階段位置は、2階が20坪以下で部屋が3部屋程度のコンパクトな家であれば、端でも真ん中でも動線計画では影響は少ないかもしれません。
・部屋数が多いと間取りの中央がベスト
2階の坪数が25坪以上、部屋が4部屋以上の大きな家は廊下が長くならない階段位置にした方が住みやすくなります。
建物の4つ角より、どの部屋にも行きやすい真ん中あたりにあるのがベストです。
・ど真ん中は窓が取れないデメリットのある間取りに
建物の真ん中に階段を配置した場合、動線が部屋まで短いメリットがあります。
ただ階段室に窓が付けられない間取りになります。
昼間でも電気が必要になるでデメリットが出てきます。
廊下などから光が入るような間取りが取れれば、2階も明るくなります。
・天窓(トップライト)は北海道では避けたほうが無難
窓が取れない場合、階段上に天窓(トップライト)を設置する設計もあります。
ただ、私の住む札幌など雪の降る寒冷地は、積雪による傷みによる雨漏りの事故も多いので注意が必要です。
・家相、風水では中心にある階段は良くないらしい
ちなみに、家相風水では家の中心に階段や吹抜けがあるのは、良くないとも言われています。
昔は大黒柱が家の中心だったからかもしれません。
昔は、建物の中央に太い柱(大黒柱)で家を強くする構造でしたが、近年は壁をバランスよく配置して強くする構造になって問題ないので、家相風水を信じない人は気にしなくて良い話です。
昔は一家の大黒柱のお父さん一人で家族を支えていたことが、近年は家族全員で協力し合ってゆくことに変わったことと同じですかね。(笑)
6,玄関と階段の位置関係
・玄関と階段が近いメリットとデメリット
玄関のそばに階段があるとすぐ2階に上がれるので、2階の部屋の動線が短くなります。
ただし、誰にも顔を合わせずに自分の部屋に行けるので、家族と顔を合わせる機会が少なくなるデメリットがあります。
子供を管理したい家庭では、避けたほうが良い位置です。
大人ばかりの家だと干渉しあわないメリットがあります。
2階に1階に降りる「すべり台」を付けたいという要望の方もいらっしゃいました。
・リビング階段はコミュニケーションが取りやすい
玄関横の階段に対して、リビング階段は、一度リビングを通って行かないと2階に上がれない階段で、家族と顔を合わせる頻度が高くなります。
小さなお子様のいる家庭では人気の高い間取りです。
デメリットとすると音や臭いが伝わりやすい点です。
デメリットを消す間取りのブログは別ブログに書いていますので参照ください。

・2階リビング、3階建て、同居型2世帯は玄関そばの位置がベスト
玄関からすぐ上がれる階段に適しているのは、2階以上にLDKがある間取りです。
動線が短いと買い物などの荷物の負担が少なくなります。
また、玄関1つで親と同居している2世帯住宅も、朝夜の時間帯が違って親が寝ている時間帯に帰宅しても、2階にすぐ上がれるメリットがあります。
階段で妖怪ダンスする。ヨウカイダンス。ダジャレでした(笑)。
7,階段の種類
・間取りに合わせて階段の形状は変えても良い。
階段には折り返し階段(コの字型階段)や折れ曲がり階段(L型階段)、直階段(直線)など種類があります。
特にこだわりが無ければ、間取りに合わせて階段を決めていただければと思います。
パナソニック https://sumai.panasonic.jp/sumu2/basic/vol3/04.html
・直階段は魅せる階段に使用する
リビング階段などで、デザイン的に見た目のをよくする見せる(魅せる)場合は、直階段の方が価格も安く、手すりもいろいろ選べるメリットがあります。
また吹抜けに設けると見栄えもします。
階段幅も少し広めにとると、すこし素敵な階段になります。
・昇降機を取り付ける場合は直線階段の方が安くつけられる
最近は、ホームエレベーターが安くなってきたので、付けられる方は少ないですが、椅子でエスカレーターのように上がれる階段昇降機は、曲がる部分が高いので、直線の階段の方が安くすみます。
・3階建ての場合は直階段は動線が長くなる
3階建ての直線階段は2階部分において、1階から上がってきた場所から、3階の登り口までの行く廊下(動線)が長くなるデメリットがあります。
8,最後に
・階段位置だけが良くてもダメな場合がある
階段の位置によって生活のしやすさが変わることが少しでも理解していただきましたなら幸いです。
でも、生活スタイルによって階段位置の良し悪しは変わってきます。
たとえば、最後の3階建てで直線階段だとデメリットがあるといっても、3階まで上がることがあまりないのであれば、デメリットはないことになります。
逆に階段位置だけ良くて、間取りがダメな場合もあります。
全体のバランスを見ながら、あせらず楽しく設計していただければと思います。
はじめて間取りを考えられる方には、階段部分が間取りでも一番難しい部分になります。
過去に書いた階段のブログに寸法や幅、高さのことも書いていますので、参考にしていただければと思います。

ちなみに、当設計事務所では自分で書いた間取りをハウスメーカーや工務店に見せる前にアドバイスを行うセカンドオピニオンサービスも行っています。
詳しくはホームページをご覧ください。https://lifehome-sekkei.com/
ほかにも階段のブログを書いておりますのでご参考にどうぞ
・リビング階段のデメリットを消す方法も

・3階建ては階段の位置が大切

・登りやすい階段とは

そのほか、現時点で100ブログ以上書いておりますのでお読みいただければと思います。
・子供部屋の位置の参考に

・欧米では何を大切にして家を建てているのか

・間取りで家族の要望のまとめるとうまくいく話

・収納がたっぷりの玄関の注文住宅の間取りが人気

・30坪でも階段をまん中に持ってくると5LDKも可能になる

最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
ここから設計事務所のCMです。
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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