大阪にある「こども本の森 中之島」は、想像力豊かな子供になれることを目指した図書館です。
建築家の安藤忠雄さんが、子供たちが「本の森」の中から、さまざまな本と出合えるようにと設計しされました。
いろいろ遊び心のある建物でしたので、ブログでご紹介してゆきたいと思います。
*前回の「安藤忠雄展、青春」の続編になっていますが、このブログから読んでも大丈夫です。
1,大阪の「こども本の森 中之島」の概要
「こども本の森 中之島」のコンセプト
「こども本の森 中之島」は、大阪市の中心部、中之島公園内に建築されています。
パンフレットには「こどもたちに多様な本を手に取ってもらい、無限の創造力や好奇心を育んでほしい」とあります。
安藤忠雄さんも子供に向けて「わたしは『本を読む旅』が皆さんが自分らしく生きてゆくための、心強い味方になってくれると思っています。」とメッセージを書かれています。
(絵本「いたずらのすきなけんちくか」より)
人数制限を設けてゆっくり読める環境
こちらの図書館は、1時30分ごとの総入れ替え制で人数制限を設けていました。
子どもがゆっくり好きな本を選んで読める環境になっていました。
当日先着順で入場もできますが、人数制限がありますので、ネット事前予約が安心かもしれません。
玄関(エントランス)付近には、ベビーカーやスーツケースを置けるスペースがありました。
もちろん緩やかなスロープもあります。
2,丸みのあるコンクリート打ちっぱなしの図書館
建物は、柔らかみのあるコンクリートの外観
図書館は3階建てで、2階が入り口(玄関)になっています。
コンクリートの打ちっぱなしの外観です。
前回「安藤忠雄展、青春」のブログでも紹介しましたが、「コンクリートの打ちっぱなし」は設計者の安藤忠雄さんの建築の特長のひとつです。
入口のある公園側は2階建てに見えますが、反対側から見ると3階建てとわかります。
柔らかみのある曲線を生かした空間
この施設は、クールで堅い鉄筋コンクリート造ですが、建物は曲線を使った温かな柔らかみのあるデザインになっています。

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内部の棚もカーブしています。
3,特長のある空間
細い通路と子供目線の窓
玄関から、1本道の細い通路を通ってメインの図書コーナーへ行きます。
通路の横長窓は子供目線の高さですね。
壁一面の本棚の吹き抜け
通路を抜けると1階から3階まで、壁一面の本棚のある吹き抜けになっています。
狭いところから広いところに出るので開放感があります。
印象的な大階段
2階から3階までは目を引く大きな階段があります。
この大階段はベンチのように使われ、座って本を読むことができる空間になっています。
座って階段で談笑するローマのスペイン広場のイメージでしょうか。
ブリッジのある吹き抜け
2階には、1階へ下る階段と吹き抜けを結ぶブリッジ(橋)があります。
手摺の柵は、落下防止のためなのか、かなり狭くなっています。
4,遊び心のあるいろいろな仕掛け
通路下まである階段の段板
通路の下まで階段の段板があります。
子供が座って読めるくらいの空間が作られています。
子どもは狭い場所は、胎内回帰感があって安心できると言われています。
吹き抜けの解放感との対比があって、飽きがこないかもしれません。
大階段の裏も、座って本を読めるスペースになっていました。
本棚に遊び心が
壁一面の本棚の一部が、座れるようになっています。
座布団のようなものが敷いてある感じでした。
写真に写っている子供はこの場所が気に入っているのか、ずっとここで熱心に本を読んでいました。
どんな面白い本なのか聞いてみたいものですね。
円形の3階まである吹き抜け
図書室の離れに、円形の煙突のような吹き抜けの部屋があります。
3階分の高さの吹き抜けで、内部はコンクリートの打ちっぱなしで仕上げられています。
小さい子供が走ったり、反響を楽しむかのように叫んだりしていました。
でも吹き抜けの入り口も狭いので、図書室内には音は伝わっていない感じでした。
本棚の中にいる子供の右隣が吹き抜け空間へのドアのない出入り口。
読書中の子供には、多分聞こえていないと思います。
図書室内の扉を開けると
図書室内は基本的にトイレ以外は、扉はありませんでした。
でも赤ちゃんくらいしか通れない扉がありました。

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小さい箱の扉を開けると、
ドラえもんの漫画の棚があるという素敵な演出もありました。
「どこでもドア」風で楽しいですね。
5,青春の青いリンゴ
前回の安藤忠雄展でも紹介しましたが、設計者の安藤忠雄さんは「青春」のモチーフとして青いリンゴのオブジェを、「こども本の森中之島」に置いています。
青りんごのように「未熟で酸っぱくとも、明日への希望へ満ち溢れた精神を持ち続けてほしい」という思いが込められているとのことです。
青いリンゴの発想に至った米国の詩人サミュエル・ウルマンの「青春」の詩もこのオブジェのそば(上の写真の左側の手すりの下)のRCの壁に飾られていました。
6,司馬遼太郎記念館との対比
こども本の森中之島を見学した翌日に、安藤忠雄さんが設計した東大阪にある「司馬遼太郎記念館」へ行って来ました。
同じく吹き抜けの中に、天井まである書棚がある設計でしたが、こちらはかなり落ち着いた感じでした。
上の画像は内部撮影が禁止なので、パンフレットの写真です。
7,札幌でも、2026年に「こども本の森」の開館計画
2023年(令和5年)に安藤忠雄建築研究所、北海道大学、札幌市が、「(仮称)こども本の森」に係る基本合意書締結式を開催しています。
https://www.city.sapporo.jp/toshokan/documents/kodomohonnomori_kihonhoushin_gaiyou.pdf
2026年夏ごろに、北海道大学キャンパス内に開設する計画だそうです。
私の住む北海道札幌市でも、青いリンゴのオブジェが見られるのが楽しみです。
北海道らしく青い「夕張メロン」に変わっているかもしれません(笑)
8,最後に

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「子どもの本の森中之島」は、建築家「安藤忠雄」さんの特長である「コンクリート打ちっぱなし」のほか、さまざまな遊び心のある設計で、一般の人が見ても面白い楽しいと感じられる図書館でした。
また、大人が見ても面白そうな本が揃っていました。
ご家族で大阪関西万博など行った際にでも立ち寄ってみるのも良いかもしれません。
また、子どもの本の森中之島の周辺は、近くに大阪市中央公会堂、大阪府立中之島図書館、日本銀行大阪支店(旧館)、国立国際美術館、大阪中之島美術館など新旧の名建築がある地域です。
建築好きな方も、「安藤忠雄展、青春」を見学された際にでも「こども本の森中之島」を中心として建物見学巡りされてみてはいかがでしょうか。
こども本の森中之島https://kodomohonnomori.osaka/about/
関連ブログも是非どうぞ!
・こども本の森のプロジェクトも展示している「安藤忠雄展、青春」のブログ

・安藤忠雄さんが明治時代の図書館をリニューアルしたブログ

・宮城で見た近未来的なデザインの図書館

・コンクリート打ちっぱなしの住宅を上手に作るには

・初心者が間取りで一番難しいとされる階段をうまく設計するには

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今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。
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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住(ス)マイルな住まいを目指しております。
詳しくは、住マイルな一級建築士のプロフィールへ
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