間取りを自分で考える~階段で失敗しない3つのコツ①広さを確保する

 

当設計事務所で間取りのセカンドオピニオンサービスの相談で多いのが「階段」です。

階段は、初めて間取りを書く人には、難関のようです。

今回は、初心者でも階段で失敗しない間取りのポイントを書いてゆきたいと思います。

3段の階段のイラスト

1,階段設計の3つの間違い

 

階段の設計は、慣れない人にとっては立体的に考えなければならないので、少し難易度が高いかもしれません。

そのため、よくある間違いには、こんなものがあります。

 

  1. はしごのような急な階段

  2. 上り口と下り口が同じ場所

  3. 上下階で階段の位置がずれている

階段の広さ」や「階段の位置についての間違いが多いのかと思います。

今回は「階段の広さ」の失敗を解消するコツをお伝えしてゆきます。

(「階段の位置」はパート2でお伝えします。)

急な階段

「急じゃのう・・・」

 

 

2,失敗しないポイント1,階段は広さを確保する

 

見せていただいた間取りの失敗で一番多いのが、階段が急すぎて登れないことかもしれません。

急すぎるということは、階段の面積が狭すぎるということです。

 

1,間取り(階段)の基本のマス目

 

(ここは基本の基本なので飛ばして読まれても構いません。)

さて一般の人が間取りを書く用紙は、方眼紙が多いかもしれません。

升目(マス目)があって書きやすいのかもしれませんね。

木造住宅は、尺貫法の3尺(910mm)を基本にしますので、一マスの長さが91cm、2マスで1.82cm(1間(けん))と方眼紙だと間取りを作ってゆくことがきます。

そうすると方眼紙だと一マスが半畳になります。

 

方眼紙に書いた1マス 

 

私たち建築関係者はCAD(キャド)のソフトを使ってパソコンで図面を書きますが、最初は同じような方眼紙に似た上のようなプラン用紙で、間取りを考えて作ってゆきます。

さて一つのマス目が半畳とすると、何マス必要になるか考えて行きましょう。

碁盤のマス目

マス目でマスターしましょう!

 

 

(2)階段は何段必要か?

 

*注、(2)(3)は難しいので初心者の方は(4)まで飛ばして読んでかまいませんよ。

階段が何段必要かを調べてみるのに、1階から2階までの高さがどれくらいか見てみましょう。

 

 

木造の階高のわかる矩計図

 

 

1階床から2階床までの高さのことを階高(かいだか)と言いますが、一般的な木造住宅だと、天井高さが2.4mの場合は2.8mくらいから2.9mくらいです。

 

踏面蹴上がわかる階段の図

永大産業 

 

階段の1段の高さ(蹴上(けあげ))が、法律(建築基準法)では23cm以下なのですが、それだと高すぎて危険なので、最近では20cm以下になるようにしていることが多いです。

 

 

(3)段数は15段が一般的

 

それでは、階段の段数を出すのに階高を蹴上(1段当たりの高さ)で割ってみましょう。

計算式

階高が2.835mの場合で、蹴上が20cmで計算すると

階高2m83.5cm÷蹴上20cm=14.2段

計算式では14.2段になりましたので、14段か15段ということです。

 

14段だと蹴上が20.25cmになります。(2.835m÷14段)

15段だと蹴上が18.9cmになります。(2.835m÷15段)

 

蹴上20cm以下の階段にするには、15段ということになります。

蹴上が低いほうが階段は上り下りしやすいので、最近は15段階段が一般的になってきています。

このブログでは15段階段で広さなどを考えてゆきます。

 

重なったパンケーキ

「パンケーキ、さて何段?」

 

 

(4)15段階段とは15段目で上がりきること

 

一般的な注文住宅の階段は、15段階段ということが分かりました。

ちなみに建築関係で「15段階段」とは、15段目で2階に上りきる階段のことを言います。

 

15段階段のパース

 

その為、15段目で上がりきるので、実際の階段の段板の数は14段になります。

ちょっとわかりずらいので、図を参照にしてください。

15段階段の平面図

 

 

(5)1マスに階段は何段とれる?

 

階段は、踏面((ふみづら)足を載せる部分)は、建築基準法では15cm以上になっています。

ただ足の大きさからするとかなり狭いので、一般的な階段設計は21cm以上とれるように階段設計が多いかと思います。

 

さて階段の平面図を作る際は、一マス当たり何段にとれるでしょうか?

一マスを4分割した場合、910cm÷4分割=22.75cmとなり踏面が21cm以上確保できることになります。

よって1マス当たり4段で考えてゆくことが、一般的な住宅では多いかもしれません。

一マスを4分割した図




 

2,階段の種類別の広さ(マス数)

 

階段は直線で登ったり、途中で曲がったりと様々な形の種類があります。

階段の種類によって階段の広さが違ってきます。

 

それでは何マス必要か書いてゆきます。

すべて15段上りきりです。

また、それぞれの特長も書いておきます。

 

 

(1)ストレート階段(直線階段、直階段、I型階段)

 

曲がる部分のない階段です。

 

*直階段(直線階段、ストレート階段、I階段)は3.5マス

 

直階段(直線階段、ストレート階段、I階段)など真っすぐな階段は、3.5マス(1.75畳)です。

ちなみに、15段の階段の長さ(寸法)は、22.75㎜*14段=3.185mになります。(下記、平面間取り参照)

 

直階段の必要なマス数と長さ

 

*直階段の特長

 

  • メリット:構造がシンプル、コストが安い、リビング階段などのオープン階段など見せる(魅せる)デザインにしやすい。

  • デメリット:途中で止まる場所がないので落ちたとき危険、真下が丸見えで怖い

 

下がるイメージの階段

 

 

(2)回り階段(L型、コの字型)

 

階段の途中で回る階段があります。

折り返し階段(コの字型)は180度方向を変わる階段です。

かね折れ(L型)は90度折れ曲がる階段です。

 

*曲がり部分の段数は3段まで

 

曲がり部分の段数は、3段までです。

(4段曲がりは、住宅のような広くない階段は4段では踏面の規定をクリアできません。)

直線と曲がりの1マス目の階段の段数の表

 

 

 

*コの字階段(折り返し階段)は4マス

 

一般住宅では、一番多く使われる階段です。

曲がる部分を3つに割った6段回りだと、両タイプとも4マス(1坪)2畳必要になります。

回り階段の6段回りのマス数がわかる間取り平面図

 

*踊り場付きコの字型は5マス

 

踊り場が平らだと、L型は2.5畳(5マス)、コの字型だと3畳(6マス)必要になります。

(下記、平面間取り参照)

踊り場付き回り階段のマス数がわかる平面図

*L型階段(かね折れ)型は4マス

 

L型階段は、直部分がが3マス、曲がり部分が1マスの合計4マス必要になります。

 

かね折れ型(L型)階段のマス数がわかる平面図

*回り階段(L型・コの字型)の特長

  • メリット:プランに対応しやすい

  • デメリット:曲がる部分の幅が狭いので回り部分で踏み外しやすい。→対策は踊り場を設ける。

 

 

(3)階段のマス数の考え方

 

階段の上り方は、上記以外にも数多くありますが、升目のパターンの組み合わせなので応用が利くと思います。

マス目の基本モジュール

直階段に似たL型階段

 

このほか、ゆったり上りたい場合や高天井にする場合は、階段の段数を1,2段増やして16段、17段にする必要が出てきますので、升目を増やして考える必要が出てきます。

一升ます

マスマス良くなる!




 

3,パート1のまとめ

(1)階段の広さのまとめ

今回は、階段は間取りでどれくらい大きさ(面積)が必要かを書きました。

15段階段が基本なので、方眼紙のマス目だと直線階段は3.5マス、回り階段だと4マスから5マスくらい必要になります。

 

(2)成功のポイント

*最初は、広め(6マス)で考えると失敗しない

 

初めての家づくりだと、階段はうまく間取りに配置できないかもしれません。

初めからぎりぎりの畳数(マス数)で間取りを作ると、うまくいかないいケースが多々見られます。

そこでお勧めなのが、最初の設計は6マス(3畳)くらいで作ってゆくと良いかもしれません。

余裕があると、うまくいかない時に対応できます。

 

*階段がうまくいかないのは書く順番が違うから

 

でも、なぜうまい行かないのでしょうか?

その失敗で多くみられるの原因が、間取りを書く順番が間違っているからです。

階段は間取りでは早目に決めるべきなのです。

 

(3)次回は「失敗しない階段の位置」

 

パート3のブログで、階段の最適な位置の見つけ方を書いてゆきます。

次回は、登れない階段の位置や最適な場所について書いてゆきます。

関連ブログの中に続編入ってます。

 

*今回の関連ブログもお読みください

 

・階段設計の基本~人気ブログ

階段は、間取りの失敗で後悔するが、法則を知れば役に立つ
初めて書く間取り後悔しない理想の階段の人気ブログ。踏み面や蹴上げ幅の規定寸法や計算があり。中央位置や段数の失敗実例も。直線やL型、コの字、回り階段、螺旋の種類によるデメリットもがある。オープンリビング階段は開放的。踊り場は安全で危険も少なく登りやすい。

 

・良い間取りは、第一に要望をまとめること

注文住宅は「家族の要望シート」で間取り設計は失敗しない
理想こだわりの家を建てる注文住宅は設計士への要望リスト書で失敗後悔しない。ヒアリングシートや打ち合わせの流れ。スーモやハウスメーカー工務店の住宅展示場のモデルハウスの見学のコツ、家族の希望の優先順位、見積もりの成功ポイントの実例も。北海道札幌市の一戸建て住まいの間取りの相談は人気マイホームのブログの一級建築士事務所へ

 

・間取りの失敗ランキング第2位は「収納」

注文住宅で人気のファミクロ、1「間取りで失敗しない位置、メリット」
失敗後悔しない注文住宅の間取りで最近ファミクロが流行り。家族全員用衣類の収納でファミリークロゼットの略。家事が楽、動線が短いメリット、プライバシーがないデメリットも説明。配置の位置を玄関リビング、洗面所ランドリールーム、寝室近くと分けて紹介、2階にした設計のアドバイスも。札幌の設計事務所の1級建築士の人気のブログ。

 

・間取りの失敗ランキング第3位の電気配線について

注文住宅で後悔しない電気配線、照明①~失敗しないコンセント位置(前編)
注文住宅で照明やコンセント位置の電気配線で失敗後悔しないブログ。SUUMOのランキングや人気の間取りのセカンドオピニオンサービスでの実例からアドバイス。キッチンやダイニング、リビング、壁掛けテレビの配線のコツ、コンセントの容量なども。新築一戸建てマイホームの家づくりの相談は北海道札幌市の1級建築士設計事務所へ。

 

・間取りの失敗ランキング第3位の電気配線について

間取りを自分で考える。階段で失敗しない3つのコツ②良い位置、悪い位置
注文住宅の間取りを自分で考える際に間違えやすいのが階段です。せっかく一生懸命に間取りを作っても、住宅メーカーから「これでは家は建てられません」と言われるとガッカリしますよね。そうならない為の「失敗しない階段設計」の中編をお伝えします。前編の...

 

・続編のパート2

間取りを自分で考える。階段で失敗しない3つのコツ②良い位置、悪い位置
注文住宅の間取りを自分で考える際に間違えやすいのが階段です。せっかく一生懸命に間取りを作っても、住宅メーカーから「これでは家は建てられません」と言われるとガッカリしますよね。そうならない為の「失敗しない階段設計」の中編をお伝えします。前編の...

 

・パート3もあります。

間取りを自分で考える~階段で失敗しない3つのコツ③書く順番の基本
自分で作る間取りで、階段設計で失敗しないコツのパート3最終章です。間取りの一番失敗しやすい階段は、書いてゆく順番順序を間違えないとすべて上手く設計ができます。今回が一番重要かもしれませんので、是非お読みいただければ幸いです。書く順番が正しい...

 

最後までお読みいただき感謝いたします。

今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。

あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。

 

ここからCMです。

・ブログを書いている設計士の紹介

 

打ち合わせの様子

田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所「ライフホーム設計」代表

*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。

(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)

貴方の想いをカタチに一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

詳しいプロフィールはコチラ

 

 

・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと

 

・新築の間取りの設計

あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅

対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。

北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料

札幌市近郊(江別市、北広島市、恵庭市、千歳市など)は出張交通費無料です。

設計打合せ

・間取りのセカンドオピニオンサービス

新規プランのほか、ご自分で書いた間取り、工務店やハウスメーカーの作成したプランへのアドバイスやサポート診断を行う間取りの駆け込み寺「セカンドオピニオンサービス」も行っております。(依頼の多い人気のサービス、電話メールオンラインで全国で対応中

現在のお住まいの不満点を解消し失敗、後悔しない理想のマイホームを設計士と楽しく話しながら、一緒に間取りを設計しませんか?

 

・詳しくはホームページをどうぞ!コチラをクリック

https://lifehome-sekkei.com/

 

・新規プラン間取りのご相談はホームページお問い合わせフォームからどうぞ

「ライフホーム設計」のお問い合わせフォーム

https://lifehome-sekkei.com/contact/

 

・ライフホーム設計では「新規ブログのお知らせ」や「裏話が載ってる」メルマガを始めました。

登録も解除も簡単です。

 

メルマガ登録
登録 削除

ブログを書いている設計士の詳しいプロフィール

どんな経歴?どんな考えで設計するの?どんな生活しているの?

代表プロフィール
住まいる(スマイル)な住まいを作る一級建築士のご紹介「ライフホーム設計」の設計士の「田中昭臣」と申します。設計スタイルを押し付けることなく、お施主様との対話を重ねて、住みやすい家を造れるよう日々努力しています。簡単な自己紹介昭和38年(19…




タイトルとURLをコピーしました