「なんとなくしっくりこない間取り」その理由、建築士が教えます|ハウスメーカー・工務店で契約する前に読む記事

 

家づくりは一生に一度の大きなイベント。

楽しみな反面、いざ提案書を見てみると、「この間取りで本当に大丈夫かな?」「もっと暮らしやすい形があるのでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

今回は、その原因と解決策をお伝えいたします。

間取りで悩んでいる人

1,なぜ間取りで悩む人が多いのか

 

・ハウスメーカーの間取りで感じる「なんとなく不安」

 

(1)その間取り、誰が考えたのか

 

実際にご相談をいただく方から、「ハウスメーカーで作ってもらった間取りを見て、なんだかすっきりしない」というお話をいただきます。

その理由のひとつが、営業担当の方が間取りを作っているケースが多いということがあります。

ハウスメーカーは営業体制を重視していて、圧倒的に間取りが作れる設計士が少ない場合がほとんどです。

そのため、設計士が作れる数が限られるため、営業マン自らプラン考えているのが一般的かもしれません。

 

CADオペレーター

ハウスメーカーのきれいな図面は設計士さんが考えてくれたと思いがちですが、CAD(図面作成システム)専門のスタッフが営業マンの考えたプランを書き起こしていることが多いです。

 

 

(2)建築実例や企画プランは、敷地にフィットしにくい面が

 

営業担当の提案は過去の事例や、会社が用意した企画プランをもとにしていることも少なくありません。

こうしたプランは一見すると無駄がなく整って見えるのですが、実際の敷地条件やご家族の生活スタイルに合わないことがあります。

図面上ではきれいにまとまっていても、実際に暮らしてみると「ちょっと違うな…」と感じてしまう原因は、このあたりにあるのかもしれません。

 

向き合ったリビング

 

過去の実例や企画プランをそのまま使用して、隣家とリビングの窓が向き合うトラブルもあります。

 

 

(3)契約後の変更はむずかしい

 

ハウスメーカーでは、設計士が本格的に関わるのは契約後というケースがほとんどです。

その際の主な役割は「建築基準法(法律)に適合しているか」を確認することで、実際の暮らしやすさや使い勝手まで深く踏み込むことは少ないのが現状です。

また、契約後に間取りを大きく変更しようとすると、工期の遅れや追加費用、場合によっては住宅ローンの再調整など、会社側にもお施主様にもリスクが生じてしまいます。

 

課題が多い設計マン

 

そのため、設計担当者も「簡単には直せない」という状況になりがちです。

さらに、契約から着工までの期間は意外と短く

・間取りの確定(窓の大きさ、高さ、位置、ドアの開き方向など)
・照明やコンセントなどの電気配線
・キッチンや水まわりの仕様や色決め

といった多くの決定事項を限られた時間の中で進めなければなりません。

そのため、契約後に間取りを見直す余裕はほとんどないのが現実なのです。

 

 

(4)こぼれ話、よく聞く「契約を急かされた」というお話

 

ハウスメーカーで家を建てた方からよく聞くのが、間取りが固まっていないうちに契約してしまったというお話です。

たとえば、「いま契約すれば奥様の希望のキッチンを特別価格でつけられます」「キャンペーンは今月までで、残り1枠なんです」といった営業トークを受けることもあります。

もちろん営業の方も悪気があるわけではなく、限られた期間でご契約につなげたいという会社の方針もあるのでしょう。

 

残り一つのポップ

 

でも焦って契約してしまうと、先の章のように、間取りの変更ができないという落とし穴もあります。

「間取りは契約後に変更できます」と言われて安心していたのに、いざ変更しようとしたら追加費用がかかる、引き渡し時期がかなり遅くなると知らされ、思うように直せなかった――そんなご相談も少なくありません。

結果として、「もう少し考えればよかった」「あの時慌てなければ」と感じる方が多いのです。

実は、こうした営業促進キャンペーンや特典は毎月のように行われていることも多く、焦らなくても大丈夫なケースがほとんどです。

大切なのは、「納得できる間取りができてから契約する」こと。

それが、後悔しない家づくりの第一歩です。

 

 

・工務店の間取りでも感じる「しっくりこない」

 

(1)親身でアットホームな工務店

 

一方で、地元の工務店に相談される方からも、「間取りがなんとなくしっくりこない」といった声をいただくことがあります。

工務店は親身でアットホームな雰囲気が魅力で、社長さんやスタッフの方もとても話しやすい存在です。

地域密着で、家を建てたあともすぐ相談できる安心感があります。

 

大工さんと家族

 

 

(2)現場が中心のため、設計に時間をかけにくい

 

ただ、少人数の工務店の場合は、日中は現場に出ていることが多いため、じっくり間取りを考える時間が取りづらいという実情があります。

また、工事をスムーズに進めるため、大工さんが作業しやすい図面を優先することも少なくありません。

過去にやったことのない材料や手間がかかる細やかな作業のものは、職人さん気質の大工さんを説得するのは難しい面があるからです。

大工さん

「丈夫が一番」

 

 

(3)相談しやすさは魅力、でも“設計の目”は別に必要

 

もちろん、工務店には「相談しやすく、対応が柔軟」という良い面もあります。

ただ、設計より現場管理が得意な方が多く、間取りの部分では少し専門的な視点が不足してしまうこともあります。

これが、多くの方が抱える“なんとなくの違和感”の正体かもしれません。

現場監督

 

 

(4)こぼれ話、よくある工務店プランのご相談「お客さんのプランを書き写す」

 

工務店で間取りを進めていて、こちらに来る相談で多い事例があります。

それは、お施主さんが書いたプランをそのまま、工務店が書き写した図面で作ってくる相談です。

相談は「工務店さんは何回も図面作ってくれて、ありがたいけど本当にこれでいいのか不安だ」と内容です。

工務店からすると、お客さんが気に入った間取りで建てるからいいのではという感覚なのでしょう。

 

日当たりの良い部屋

 

以前、いただいた工務店のプランの中には、「この部屋は日当たりの良くしたいので、敷地の中で一番太陽が当たる位置にしました」とお話された方がいましたが、肝心の窓が図面にありませんでした。

「窓ないですよ」と指摘したところ、お施主さんは「私が書き忘れていました」ということがありました。

もしそのまま建てていれば、非常に後悔していたのではないかと思います。

壁にもたれかかる人

「窓がない・・・」




2,契約前のチェックが大切

 

このように、工務店でもハウスメーカーでも、それぞれに良さはあります。

ただ、間取りづくりに十分な時間と専門性が確保されているとは限りません。

だからこそ、契約前の段階で建築士による間取りチェックを受けることが大切だと思います。

専門家の視点で見直すことで、図面上では見えない“暮らしづらさ”を早めに見つけることができます。

 

間取りチェック

 

 

3,実例:夜勤のある消防士さんからのご相談

 

・昼間にしっかり眠れない間取り?

 

以前、札幌にお住まいの消防士さんからご相談をいただきました。

その方は夜勤が多く、昼間にしっかり眠れる環境が必要とのことでした。

ところが、ハウスメーカーが提案した間取りでは、寝室が幹線道路に面しており、昼間は交通量が多い場所でした。

図面上では問題なさそうに見えても、実際に住んでみると騒音で眠れない可能性がありました。

 

 

・提案した改善ポイント

 

そこで私は、寝室を道路と反対側に移動することをご提案しました。

あわせて、遮光カーテンや2重サッシで若干小さめの窓を取り入れ、昼間でも静かで暗く休める空間づくりをおすすめしました。

また、リビングからの音が伝わりにくいよう、防音性のあるドアや二重扉の工夫についてもご説明しました。

寝室の位置を変更した間取り図

熟睡している人

 

 

・ちょっとした工夫が暮らしを変える

 

結果として、昼間でもぐっすり眠れる静かな寝室になり、「本当に相談してよかった」とのお声をいただきました。

このように、少しの配置変更や工夫で、毎日の暮らしの快適さが大きく変わることがあります。

 

2重サッシ




4,建築士によるセカンドオピニオンのすすめ

 

間取りの図面を見ても、「なんとなく不安」「しっくりこない」と感じる方は少なくありません。

それは、建築の専門知識がないからではなく、「暮らしの感覚」と「図面の見方」が違うためです。

建築士のセカンドオピニオンサービスでは、図面を丁寧に読み解きながら、何がベストなのかを一緒に探っていきます。

  • 敷地の日当たりや騒音など環境のメリットを生かし、デメリットを消すには
  • お住まいになる方の生活スタイルに合わせるには
  • 空間の無駄を省き、デットスペースを生かすには

といった視点で、プロとして客観的にアドバイスを行います。

また中立な立場でアドバイスを行うため、安心して冷静な判断ができます。

打ち合わせする人

 

 

5,最後に~後悔しない家づくりのために

 

家は「建てて終わり」ではなく、家族が長く安心して暮らすための大切な場所です。

少しでも不安や迷いがあるときは、第三者である建築士に相談してみてください。

間取りチェックは、後悔を防ぐ最初の一歩。

お知り合いに設計士がおりましたならぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

 

設計事務所で働く人

 

ちなみに、当設計事務所「ライフホーム設計」でも間取りのセカンドオピニオンサービスの相談をおこなっています。(全国対応可)

お気軽にご連絡ください!(最後にCMでした)(笑)

 

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最後までお読みいただき感謝いたします。

今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。

あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。

 

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打ち合わせの様子

田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所「ライフホーム設計」代表

*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。

(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)

貴方の想いをカタチに一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

詳しいプロフィールはコチラ

 

 

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あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅

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北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料

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住まいる(スマイル)な住まいを作る一級建築士のご紹介「ライフホーム設計」の設計士の「田中昭臣」と申します。設計スタイルを押し付けることなく、お施主様との対話を重ねて、住みやすい家を造れるよう日々努力しています。簡単な自己紹介昭和38年(19…

 




 

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