所用で行った際に、行く先々で見学した建物を紹介しています。
今回は東京目黒区にある大邸宅「旧前田家本邸」です。
重要文化財に指定されています。
目次
1,旧前田家本邸は住まいと迎賓館を兼ね備えた建物
2,洋館の外観はイギリスのカントリーハウス風
3,間取りは1階が来客スペース、2階が住まい
4,渡り廊下で繋がっている和館
5,同じ公園内にある日本近代文学館
6,最後に
1,旧前田家本邸洋館は迎賓館を兼ね備えた大邸宅
旧前田家本邸は昭和3年から5年までに建築されました。
建築主の旧加賀藩主前田家16代当主の前田友為候は、「日本には外国からの貴賓を迎え得る邸宅がない」という思いから、迎賓館としても利用できる住宅を建築されたといいます。
本邸は鉄筋コンクリート構造の地上2階、地下1階の洋館の建物です。
床面積は2,930㎡(約886坪)と広く、当時は東洋一の大邸宅と言われていました。
さらに渡り廊下で木造の和館につながっています。
和館は外国の方に、日本文化を伝えるために建築されたといわれています。
2,洋館の外観はイギリスのカントリーハウス風
外観はカントリーハウスというイギリスの貴族が田園地帯に建てた大邸宅風になっています。
主な外壁材は、スクラッチタイルと石張りです。
スクラッチタイルとは、表面に細かい溝があるタイルのことです。
このタイルは帝国ホテルなどで使用され、当時人気がありました。
スクラッチタイルのイメージ(下の写真)
ニッタイ工業 https://www.nittai-kogyo.co.jp/index.html
建物右側に尖がった高い塔があり、当時は遠くからで目立ったのではないでしょうか。
洋館の玄関には車寄せスペースがあります。
玄関のエントランス
3,間取りは1階が来客スペース、2階が住まい
旧前田家本邸の建物は、上から見るとロの字の形をした中庭のある間取りで、主に1階が来賓をもてなす空間で、2階が住居スペースとエリア分けされています。
1階の間取り図で空白になっている部分は、使用人さんが暮らした部屋のようです。
・玄関横に来賓をもてなすサロン(待合スペース)
上の写真の左手奥が正面玄関になります。
玄関横にサロン(待合スペース)があります。(上の写真の右側のスペース)
サロンに黒色の大理石のマントルピース(上部写真)
黒緑色の大理石の柱(上の写真)やシャンデリア(下の写真)と豪華な内装。
・サロンに隣接する女性用の応接室
サロンの横に主に女性が使用したとされる第一応接室があります。
重厚なサロンと違い白いマントルピース(上の写真)や黄色いカーテン、台形型の窓など明るく柔らかい空間に仕上がっています。
・もてなしの客室
お客様をもてなす客室が大小と二部屋あります。
客室はお客様がくつろいでもらうことが目的で、ソファーやティーテーブルが置かれていたそうです。
壁などには美術品や絵画などが飾られていたとのことです。
小客室の様子。(上の写真)
大客室の様子。(上の写真)
客室は、シャンデリアや廻り縁(壁と天井の境に取り付ける部品)、天井や壁やドアの装飾などが豪華です。
南側の庭に面した列柱のあるテラスに行けるようになっています。
庭側から外観
庭は運動会でも十分できそうな広さです。
・晩餐会が行われた大食堂
晩餐会のための部屋で26人までディナーが可能だったそうです。
巨大なマントルピースやチークの壁材、大きな円弧状の窓が特長の部屋です。
・家族が利用した小食堂
大食堂の隣に家族が利用した小食堂があります。
東側の庭が見える大きな窓があります。
当時は壁一面が食器棚だったそうです。
料理は、地下の厨房から小型エレベーターで運ばれてきたそうです。
食堂のそばに厨房がないということは、家の人と使用人さんとはエリアを離す考え方だったのでしょうね。
・階段下にイングルヌック(暖炉そばの空間)
階段下にイングルヌックといわれる暖炉がある小部屋があります。
談話室として利用していたそうです。
天井が高い広い部屋より狭い空間のほうが話しやすいこともあったのかもしれませんね。
火が見えると暖かな気持ちになりますね。
・ステンドガラスのある階段広間
ゆったりとした幅の広い階段で2階ヘ上がってゆきます。
曲線を生かした手摺になっています。
階段と2階のホールは、縦長のステンドガラスから少し柔らかな光が入ってきます。
・社長室のような書斎
2階は家族の私室がメインです。
近年、大規模な保存修理工事によって内装を復元されたそうです。
そのためなのか、部屋は廊下など通路から見学する形式になっています。
書斎と書かれていますが、仕事部屋としても使用していたようです。
・家族団らんの夫人室
夫人室は家族や親類が集まる部屋で、邸内でも内装は最も豪華にしていたそうです。
・豪華な夫婦の寝室
内装が豪華な寝室になっています。
家具は海外で特注で製作されたようです。
ベットの枕元には、守り刀がおけるようになっています。
今ならスマホの置き場になるでしょうか。
・子供部屋などの個室
子供部屋など個室は、家族構成などで変わっていったそうです。
長女の部屋(上の写真)
次女の部屋(上の写真)
三女の部屋(上の写真)
4,渡り廊下で繋がっている和館
外国からの賓客をもてなすために、洋館(旧前田家本邸)のそばに和館があります。
洋館と和館は渡り廊下で繋がっています。
・和館は近代和風な建物
建物の周りを和風の門や塀で囲まれています。
和館は近代和風建築で、京都の銀閣寺に形が似ているといわれているそうです。
庭と部屋の間に畳敷きの縁側(通路)があり、庭をゆっくり楽しめます。
5,同じ公園内にある日本近代文学館
旧前田家本邸は東京目黒区の駒場公園にあります。
その公園内には日本近代文学館もあります。
内部に「BUNDAN(ぶんだん)」というカフェがあります。
見学で歩き疲れたら、休むのにちょうどよいです。
こちらでは有名な作家にちなんだメニューのランチが取れます。
私は、村上春樹さん著の小説「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」にちなんだランチをいただきました。(この小説はとてもおもしろいです。)
6,最後に
昭和3年から5年にかけて建築された旧前田家本邸は、暖炉やシャンデリアなどは当時のままなどと全体的にも保存状態もよく、見学が楽しめる建物です。
豪華絢爛な建物で、当時の華族の生活が垣間見られます。
私の住む北海道は歴史も浅く、このような建物は見学できないので貴重な時間を過ごすことが出来ました。
建物の入場は無料で、家族連れにも人気もあるようです。
詳しくは、旧前田家本邸 https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/maedatei.html
3月中旬に伺ったのですが、桜が咲き始めた時期でとても良い日に見学が出来ました。(ちなみに北海道札幌市は桜の開花は5月上旬)
「有名な建物を見学3。」に続きます。
*今回のブログの関連ブログ
・こちらのブログの続き
・北海道の洋館とは
・大正時代の家とは
・戦後の近代建築の設計士の家
・日本と欧米の住宅の違いは?
・パート1から読む
・御所として建築された東洋一の宮殿建築は使われていなかった?
今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
・新築の間取りの設計
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
札幌市近郊(江別市、北広島市、恵庭市、千歳市など)は出張交通費無料です。
・間取りのセカンドオピニオンサービス
新規プランのほか、ご自分で書いた間取り、工務店やハウスメーカーの作成したプランへのアドバイスやサポート診断を行う間取りの駆け込み寺「セカンドオピニオンサービス」も行っております。(依頼の多い人気のサービス、電話メールオンラインで全国で対応中)
現在のお住まいの不満点を解消し失敗、後悔しない理想のマイホームを設計士と楽しく話しながら、一緒に間取りを設計しませんか?
・詳しくはホームページをどうぞ!コチラをクリック
・新規プランや間取りのご相談はホームページお問い合わせフォームからどうぞ。
「ライフホーム設計」のお問い合わせフォーム
https://lifehome-sekkei.com/#contact
・ライフホーム設計では「新規ブログのお知らせ」や「裏話が載ってる」メルマガを始めました。
登録も解除も簡単です。
・ブログを書いている設計士の詳しいプロフィール
どんな経歴?どんな考えで設計するの?どんな生活しているの?