結論から言うと、
自分で間取りを考えたときに階段がうまく入らない一番の原因は、
「階段を最後に考えてしまっていること」にあります。
打ち合わせの際、
「自分でも一度、間取りを考えてみました」と
手描きのプランを持って来られる方は少なくありません。
部屋の配置はよく考えられているのに、
階段だけがうまく収まらず、
その影響で間取り全体が崩れてしまう。
こうしたケースは、実はとても多いのです。
今回のブログでは、
はじめて間取りを考える方にもイメージしやすいように、
階段で失敗しないための考え方と順番を
順を追ってお伝えしていきます
1,自分で描いた間取りでよく起こる「階段の失敗」
まずは、よくある失敗から見ていきましょう。
大きく分けると、次の3つです。
①1階と2階の階段位置が合っていない
・位置があっていない失敗例


瞬間移動
②階段スペースが小さすぎる
・階段が短い失敗例


③階段の位置が悪い
・階段の位置が悪い失敗例

上の図は、
日当たりの良いリビングの大きな窓の前を、
階段がふさいでしまっているケースです。
デザインとしては成立しているように見えるかもしれませんが、
せっかく日当たりの良い位置に設けた窓の手前に階段が来てしまうと、
光が室内まで十分に届かず、
とてももったいない間取りになってしまいます。
・失敗の原因は「階段を最後に考えていること」
これら3つの失敗に共通している原因は、
階段を後回しにして考えてしまっていることです。
階段は、
1階と2階をつなぐ「一本の通路」であり、
高さ・長さ・位置がすべて連動しています。
そのため、
部屋を先にきれいに並べ、
余ったスペースに階段を入れようとすると、
どこかで必ず無理が出てしまいます。
次の章からは、
こうした失敗を防ぐために、
- 階段をいつ考えるべきか
- どんな順番で間取りを組み立てていくとよいか
について、
初めての方でもイメージしやすいように、
順を追ってお伝えしていきます。
2,失敗しない階段のポイント(1)広さと長さ
①階段は「広さ」が必要
間取りを考える際、どうしても優先順位が下がりがちなのが階段です。
しかし階段は、部屋のように後から簡単にサイズ調整できるものではありません。
階段は
- 段数
- 勾配
- 踏面・蹴上
といった寸法が決まっているため、
「余ったスペースに入れるもの」ではなく、
最初に場所を確保しておくもの
という意識がとても大切です。
②階段は何マス必要?
自分で間取りを考えている方から、
「方眼用紙で間取りを書いていますが、階段は何マス必要ですか?」
という質問をよくいただきます。
結論から言うと、
階段の形状によって必要なマス目は変わります。
ここでは、
- 1マス=約91cm × 91cm
- 一般的な15段前後の階段
を想定し、代表的な階段形状ごとの必要マス目を図で整理しました。
③階段の形状別|必要なマス目の目安と特長
■ 直階段(直線階段)

約3.5マス
最もシンプルな階段で、必要なマス目も比較的少なめです。
一方で、
- 踏み外すと一気に下まで落ちやすい
- 上階から下階の床が直接見えて、怖いと感じる方もいる
など、安全面・心理面で好みが分かれる階段でもあります。

■ 曲がり階段

約4マス
途中で方向を変えるため、直階段よりも少しスペースが必要になります。
■ L型階段(かね折れ階段)

約4マス
直階段より安全性が高く、
コンパクトな間取りにも対応しやすい形状です。
ただし、上下階で階段の位置を正確に合わせる必要があるため、
間取りに慣れていない方には少し難しい面があります。
■ 回り階段

約4マス
一般的によく採用される階段で、
1階の上り位置と2階の下り位置が近く、
初めて間取りを描く方でも考えやすい形状です。
ただし、
- ピアノ
- 大型家具
などの搬入ができるかは必ず確認しましょう。
特に3階建ての場合は注意が必要です。
■ 折り返し階段

約6マス
折り返し階段は、
回り階段と同じUターン型ですが、
途中に踊り場がある階段を指します。
踊り場があることで転落時の安全性が高く、
バリアフリーや高齢者対応を考える方に
選ばれることが多い階段です。
■ コの字階段

約4.5~6マス
上から見ると、カタカナの「コ」の字に見える階段です。
- 回り部分がある場合:約4.5マス以上
- 踊り場がある場合:約6マス程度
が目安になります。
■ ワンポイントアドバイス①回り部分は少なくする

回り部分(踏板が三角形になる部分)は、
踏板形状が変わるため転倒・転落のリスクが高くなります。
上の図は、以前ご相談を受けた間取りにあった
回り部分が4か所ある階段の例です。
安全性を考えると、
回り部分は2か所以内に抑えることをおすすめします。
■ ワンポイントアドバイス②天井が高い家は段数を増やす
天井高さが高い住宅では、
その分、階段の段数を増やさないと
1段あたりの段差が大きくなってしまいます。
段数を増やすと、当然ながら
階段に必要な長さ(マス目)も増えます。
例えば、

天井高さが約3mの場合
→ 通常より1マス程度多く見ておく
という考え方が必要です。
3,失敗しない階段のポイント(2)位置
① 玄関と階段が近いプラン
玄関から入ってすぐ階段があるプランは、
外から帰ってそのまま上階へ行けるため、
- 2階リビング
- 3階建て住宅
- 同居型の二世帯住宅
などでは、動線がシンプルで合理的です。

② 近いプランのデメリット
一方で、
誰にも会わずに外出したり、自室へ行けてしまうため、
- 家族が在宅かどうかわかりにくい
- 顔を合わせる回数が減りやすい(コミュニケーション不足)
といった面もあります。

お年頃の子供にとっては、ちょっと気楽というメリットにはなります。
③ リビング階段という選択
■小さなお子様のいる家庭に向いてる配置
リビング階段は、
必ずLDKを通って上下階を移動する動線になるため、
- 家族の気配を感じやすい
- 自然と顔を合わせる機会が増える
といった特徴があります。
そのため、
小さなお子様のいるご家庭では人気のある配置です。

■デザイン性のあるオープン階段
近年は、
採光を取り入れたオープン階段(採光階段)も人気です。
- 開放感がある
- 手すりや段板でデザインを楽しめる
といったメリットがあります。

ただし、
階段が開放されている分、落下の危険もあるため、
小さなお子様がいる場合は
手すりやゲートなどの対策が必要です。
④ 家の真ん中に階段のメリットとデメリット
各部屋にいく動線は短くなるメリットがありますが、
外壁に面さないため日の光が入りづらいデメリットがあります。

陽が入る工夫や照明など明るめにするなど対策が必要です。
⑤ 階段下・階段上でよくある勘違い
階段の上は、
人が上下に通るための空間が必要になるため、
床をつくることができません。
そのため、
「階段の上にもう一部屋つくれそう」
と感じても、実際には使えるスペースにはなりません。
また階段下は天井が低く、
居室としては使いにくいことがほとんどです。
でも収納などの用途であれば、有効に活用することは可能です。

4,階段で失敗しないための間取りの考え方(順番編)
ここからは、
「階段で失敗しないための、間取りの考え方の順番」をご紹介します。
この順番を意識するだけで、
・階段が入らない
・上下が合わない
・最後に無理が出る
といった失敗を、かなり減らすことができます。
① まずはゾーニングを考える(1階・2階を同時に)
最初に考えるのは、
部屋の大まかな配置(ゾーニング)です。
この段階では、
- 1階:LDK・水まわり
- 2階:寝室・子ども部屋
といったざっくりした整理で十分です。
細かい広さや形は、まだ気にしなくて大丈夫です。

② 優先したい部屋の位置を決める
次に、
「この家で一番大切にしたい部屋」を決めます。
今回は例として、
「リビングの日当たりを最優先したい」
という条件で考えてみます。
その場合、
まずリビングを南側に配置します。

③ 次に玄関の位置を決める
リビングの位置が決まったら、
次は玄関です。
- 駐車スペースとの関係
- 玄関からリビングまでの動線
を考えながら、無理のない位置を探します

④「重要」1階・2階のレイアウトを「同時」に考える
次に、必要な部屋のレイアウトを大まかに決めていきます。
ここが、階段で失敗しないための最も大切なポイントです。
それは、
「1階だけ」「2階だけ」を先に完成させないことです。
階段は、1階と2階をつなぐ一本の通路です。
どちらか一方を先に固めてしまうと、
あとから階段が入らず、
必ずどこかで無理が生じます。
そのため、
1階と2階は必ずセットで、同時に考える
という意識を持つことで、
階段の失敗は大きく減らすことができます。

⑤ 「重要」階段をレイアウトに合わせて位置を調整する
1階と2階を同時に考えながら、
次に行うのが階段の位置の検討です。
階段は、
「部屋が決まってから入れるもの」ではなく、
レイアウトと一緒に調整していくものです。
この段階で
- どこで上下をつなぐと自然か
- 動線に無理がないか
を何度も試してみます。
先にどちらかの階の間取りを固めてしまうと、
階段の位置を動かせなくなってしまいます。
階段は、
間取りをまとめていく中で
一緒に整えていくものと考えてみてください。

⑥最後に部屋を整える
レイアウト図を基に、実際に、プラン用紙に部屋を配置して整えてゆきます。
パントリーやシューズクロゼットなど、細かい部分を書いてゆくのはこの段階です。

⑦この順番で考えた完成プラン、28坪の間取りの参考図
最後に家具も考慮して完成させます。
家具を入れていくと
- 実際の使い勝手
- 動線の良し悪し
が、ぐっと分かりやすくなり完成度が上がります。

南向きの92.7㎡(28坪)の2階建ての住宅です。
札幌の第1種低層専用地域の規制に合わせて作成したプランです。
ファミリークロゼットやパントリー、
シューズインクロゼットなど収納を充実させて間取りです。
階段は折り返しの回り階段にすることで、
廊下を最小限に抑えたコンパクトな動線にしています。
5,「まとめ|間取りは、考えながら育てていくもの」
階段の広さ、位置、考える順番を意識しながら、
ぜひ一度ご自身でも間取りを描いてみてください。
それでも
うまく収まらないことは、決して珍しくありません。
私自身も、
「これでかなり良いプランだ」
と思った翌日に、
「ここをこう変えた方がもっと良くなるかもしれない」と
描き直すことはよくあります。
間取りは一度で完成するものではなく、
考え直しながら少しずつ整っていくものです。
途中で行き詰まっても、
あきらめる必要はありません。
たとえ上手くまとまらなくても、
お施主様が描いた間取りには、その人の思いが詰まっています。
その思いは、設計士にはきちんと伝わります。
ぜひ、気負わずにチャレンジしてみてください。
・今回の関連ブログもご参考に
リビング階段のメリットデメリットをより詳しく
https://lifehome-sekkei.com/2022/03/28/living-stairs2/
階段を家の中心にした間取りの対策
https://lifehome-sekkei.com/2021/05/05/stairs-position/
階段の広さや種類をより詳しく
https://lifehome-sekkei.com/2025/05/05/1-frame/
階段は、間取りの中でも特に難しい部分です。
迷ったときは、いつでもご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回のブログが、みなさまの住まいづくりの参考になりましたなら幸いです。
あなたの住まいがより良くなり、
楽しく、幸せに暮らせる家づくりにつながることを願っています。
ここからご案内です。
・ブログを書いている設計士の紹介
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田中昭臣(たなかあきおみ)
1級建築士、宅地建物取引士
一級建築士設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅を中心としたハウスメーカーで設計を経験後、独立。
これまで建築実績100棟以上の住宅設計に携わり、
現在も月に2~3棟の間取り設計を行っています。
「貴方の想いをカタチに」一緒に考え、
一緒につくる住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」について
・新築の間取りの設計
あなたの「思い」を「かたち」に。
対話を大切にしながら、住みやすくデザイン性のある
理想の間取りを一緒に考えます。
一戸建ての新築、建て替えや平屋建て、二世帯住宅など
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