1月17日は阪神淡路大震災の発生した日です。
日本の建物の構造設計の転換点であった日だったかもしれません。
今回はご自分で耐震診断しながら、地震に強い注文住宅の間取りを作るブログになります。
地震に強い安心安全な住まいの必要性
毎年書いているのかもしれませんが、阪神淡路大震災の一報を聞いた時は「日本は地震国で世界で一番安全な建物なはずだから、まあ大したことないだろう」とまず思いました。
でも、その後テレビの映像を見て、それが間違っていたことに気づき、愕然しまたことを今でも思い出します。
建築の設計に関わる私にとって、「建物によって人の命を失うことはあってはならない」と、大きな教訓になった災害でした。
簡単な耐震診断分かる強い家の基本
住宅の構造というと難しいものだと考えられる方も多いかと思います。
実際の設計や工事では、耐震壁の長さがこれくらい必要とか、床の剛性が強いかなどチェックが必要なのですが、一般な人でも簡単に学べることが出来るサイトがあるのでそれを元に説明したいと思います。
新築計画に当てはまらない部分もありますが、地震に強い構造の家が分かりますので、最後までお読みいただければと思います。
あらかじめ書いておきますが、10問ありますが全問正解が理想で、7点以下だと問題ありとされています。
国土交通大臣指定「一般財団法人 日本建築防災協会」自己診断コンテンツ【誰でもできるわが家の耐震診断】
地震に強い住宅とは
1,建築時期によって耐震性能に差がある
1981年(昭和56年)6月に、建築基準法が改正され新しい耐震基準になりました。
新しい基準のことを「新耐震基準」と呼び、それ以前のものは「旧耐震基準」と建築業界の中では分別されています。
違いをおおざっぱに言うと、旧耐震は中型の地震(震度5程度)で倒壊しない基準で、新耐震は大地震(震度7クラス)でも倒壊しない基準です。
阪神淡路大震災など大きな地震で新耐震の家は倒壊が少なかったことから、この年以降の建物は比較的安全とされています。
ただし、倒壊しないという基準なので、壊れないということではありません。
2,繰り返し大きな災害を受けるとダメージが蓄積されている可能性がある
一度、大きなダメージを受けると、表面的には分からない損傷があるかもしれないということです。
3,増築で建物のバランスが悪くなる場合がある
リフォームなどの増改築で、新築時想定してなかった部分に建物が載ることにより建物のバランスが悪くなることがあります。
極端な例だと、2階建ての上に3階を載せるなどで、2階建て用に造った基礎や柱の構造が増築する重さに建てられないことがあります。
吹き抜けを作った場合なども重要な柱や梁を切られて耐震性が落ちてしまっていることがあります。
ちなみに、10㎡(約3坪)以上の増築は、確認申請などの行政機関の審査が必要になります。
大規模な増改築リフォームは、設計士など専門家のアドバイスを受けながら進めるのが安心で安全です。
4,建物が傷んでいると構造的に弱くなることがある
以前のブログにも書いたのですが、北海道の胆振東部地震の際には、木造で「浴室など水回り部分」や「日当たりの悪い北側や断熱の無い壁や柱」が腐ってしまった住宅が、構造的にもろくなり倒壊した特徴がありました。
胆振東部地震より1年、災害で失敗しない間取りとセミナーの話 https://lifehome-sekkei.com/index.php/2019/09/19/earthquake-3/
普段から「傷んでいる部分は無いか」「基礎に大きな亀裂は無いか」などチェックし、メンテナンスすることは住いを維持してゆくのに大切なことです。
5,複雑な形の平面の間取りは構造的には弱い
複雑な形の平面は地震の時の揺れが不均等となるので、被害が大きくなる恐れがあります。
また長方形でも極端な細長い形の平面は倒れやすくなります。
構造的に見ると正方形が地震に強い形とされています。
それから外れてくるほど、構造的に弱くなってゆきます。
デザインの問題もありますが、極端な複雑な平面の間取りは避けたほうが無難です。
敷地の関係で、少し複雑な形になってしまう場合は、耐震壁など多めに入れるが安全です。
建築前に工務店やハウスメーカーに依頼してみてください。
長方形は重宝(ちょうほう)家。(笑)
6,開放感のある吹抜けも大きすぎると弱くなる
吹抜けは、開放感があり人気です。
但し、家に対して極端な大きさの吹抜けは地震時弱くなります。
横方向からの力に対して、2階の床の吹き抜け部分が変形しやすいからです。
(横方向の斜めから力が加わったと考えると少しわかりやすいかもしれません。)
同じく床の大きな開口というと階段部分も当てはまります。
吹抜けや階段などの開口された床の周りは弱いので、壁や柱は補強しておく必要があります。
7,上の階と下の壁が一致したほうが強い建物になる
2階の屋根を支えている2階外壁の下に1階の壁がないと、うまく基礎まで力が伝えられません。
そのことで構造的に弱い住宅とみなされます。
但し、在来工法以外のツーバイや鉄筋コンクリート構造など床面が強い建物は問題なしとされています。
(理想は上の壁の下に壁があることです。)
8,東西南北に壁をバランスよく配置すると強い建物に
北海道の胆振東部地震では、上の例のような間取りの店舗があり、道路に面した部分がすべてガラスで壁が無かったため倒壊してしまいました。
壁のない部分に地震の力が集中して揺れが大きくなってしまうからです。
下記のような道路に対して細長い敷地は、道路面に駐車場(カーポート)の入り口や玄関のある間取りになって、構造上重要な壁(耐力壁)が取れなくなる場合があります。
その場合でも工夫して壁がある間取りにしなくてはなりません。
注文住宅の改善例
ちなみに木造でも構造計算は必要です。
「構造計算は確認申請で不要ですからやってません」という住宅会社はやめといたほうが良いです。
参考ブログ 注文住宅メーカーの間取りは「構造計算してますか」と聞く
https://lifehome-sekkei.com/index.php/2020/09/22/calculation/
ファイト!あと2問です。
9,重たい屋根は構造的に不利
重たい屋根の住宅は、下の壁に負荷がかかりやすく構造的には弱くなります。
設問の瓦屋根は、北海道では凍害の恐れがあるので使用があまりないので、あまり関係ないかもしれません。
ただ、札幌など雪を多く載せている冬は、瓦屋根と同じように屋根は重くなり、地震時に不利になっています。
安全な住宅にするには、なるべく多くの壁がやはり必要になります。
重たい神輿も、担ぎ手が多いほうが安定する。
10,建物の安定には基礎が重要
北海道では凍害があり、基礎を深く入れていないと凍れあがってしまうのでほとんどがコンクリートの基礎だと思われます。
ただ、その土地に合った地盤補強をしておかないと、基礎が建物が支えきれなくなって倒壊してしまいます。
東日本大震災をはじめ、北海道胆振東部地震であった液状化現象による被害も起こりえます。
しっかりとした地盤調査を行うことが大切です。
お疲れさまでした。
まとめ、地震時に強い住宅の基本
いかがでしたか。
まとめると、
1,十分な壁を入れ、上下の階の壁をそろえる
2,壁のバランスを良く配置すること
3,建物の形はシンプルに、極端な吹抜けは避ける
4,事前の調査と建てた後のメンテナンスも大切
になるかと思います。
家は大切な家族を守るものです。
有名な会社で建てるから大丈夫と他人任せにせず、地震に強いかチェックし、その対策することは大切なことです。
私も、安心して暮らせる「地震に強い家」を今後も設計してゆきたいと存じます。
最後まで、ブログをお読みいただきありがとうございました。
皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
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