家を建てる際、契約前はメーカー選びなどで忙しく、契約後に間取りの欠点が見つかることがあります。
今回は契約後の間取りを変更すると、現場で間違によるトラブルが起きやすくなるというブログです。
なぜ間違えるのかと、失敗しない方法を書いてゆきます。
目次
1,現在の設計製図は間違いが起きやすい
2,間取りの変更の時に間違いが起きる
3,設計変更を少なくするポイント
4,まとめ
1,現在の設計製図は間違いが起きやすい
住宅現場は2次元の図面が主流
注文住宅で図面を作る際、建築用CAD(キャド)という設計システムを使って図面を書いています。
住宅会社の多くは、jw-CAD(ジェイダブルキャド)という2次元図面の無料の設計システムを利用しています。
コンピューターを使っても手書きと原理原則は同じ。
CADは、作成者(CADオペレーター)が、パソコン上の入力した点と点を結んで線を作り、図面を書いています。
コンピューターを使ってますが、原理原則は鉛筆と定規を使って図面用紙に書いているのと同じです。
縦横の線を何本も引いたり、組み合わせて図面にしていています。
縦の線はあなた~♪ 横の線はわたし~♪(笑)
ちなみに
営業用図面は、カラーの外観パースを書ける3次元(立体的に見える)CADを利用しているハウスメーカーも多いです。
ただ現場の図面は、jw-CADが下請け会社も無料で利用しやすいので主に使われています。
3Dパース例
住宅の図面は何十枚とある。
家を建てるのに必要な図面は沢山あります。
お施主様が最初に見せられるのは、間取りが分かる平面図や配置図(敷地の上の家の位置図)立面図の図面かと思います。
それ以外に、建物を垂直に切った断面が分かる矩計図(かなばかりず)基礎の形や鉄筋の入れ方が分かる基礎断面図、スイッチコンセントが分かる電気図面、配管経路が分かる設備図面、現場で使う柱や土台の構造図、下地の位置が分かる伏せ図などが、最低でも数十枚もの図面が工事現場では必要になります。
これらの様々な図面は、多くの会社は契約後に書いてゆきます。
世の中はペーパーレス化が進んでいますが、現場は図面(紙)が基本
図面は連動していない
一般的に使用されているjw-CADは、平面図を書けば自動的にほかのさまざまな図面が出来るわけではありません。
1枚1枚ずつ様々な図面を書いていかないとなりません。
変更があった場合も、1枚1枚手作業で直してゆく
図面変更の場合も、図面が連動していないので、ひとつの図面を直すと自動的にほかの図面も変更になる仕組みにはなっていません。
その為、変更の場合、多くの図面を1枚1枚チェックしながら手作業で、間違えないように直ししてゆく必要があります。
図面の変更が多いと間違いさがしの上級レベルの能力が必要
2,間取りの変更の時に間違いが起きる
図面の変更の時に間違いが起こる
変更が多かった場合は、直す図面も多くなるので直し忘れの可能性が高くなります。
ちなみに直すのは、設計でも新人など経験の少ない人が多く、間違いも起こりがちになります。
(私も入社したころの最初の仕事は図面の直しでした。「こっちの図面直ってないぞ」とよく怒られました。←図面の勉強にはなりました。)
私が新人の頃は、ドラフターと言われる製図版を利用していましたが、これにもたれかかって居眠りしている人をよく見ました。(見た目には作業しているように見える。設計あるある(笑))
現場に直す前の図面が、行ってることもあります。
まだ直しきってない段階の図面が、現場にわたってしまうケースもあります。
その場合、現場で混乱が起きてきます。
図面変更した場合は、お施主様も現場に行った際には変更の箇所のチェックもされたほうが無難です。
間違っている場合は、早めに現場監督さんに連絡しましょう。
ただ、構造なことなどで直せないケースもあるので、やはり図面変更がない設計が理想になります。
あまり変更が多いと正しい図面がどれかが分からなくなってくる
何度も同じ個所で、変更を取りやめたり戻したりの繰り返しがあると、設計担当者でさえ図面が正しいのかが分からなくなってくることがあります。
変更依頼したお施主様も混乱して「どれが正しいか分からない」ということもあります。
「どっちだったかなあ」
ハウスメーカーでは図面決定後は、変更を認めないルールや対策がある。でも・・。
図面変更によるトラブルは起きやすいので、住宅メーカーや工務店はお施主様にどこかのタイミングで図面の最終決定をしてもらいます。
「これ以上の図面変更は出来ません」とサインもらってトラブルを少なくしているハウスメーカーも多いです。
図面決定する時期は、「契約時」なのか「確認申請前」なのかは会社によって違っているかもしれません。
どちらにしても、結構早い段階です。
それでも、「どうしても」と言ってきて「しかたなく」というケースがあります。
契約前に間取りが固まってないと変更が多い
多いのは、契約を急がせられたなどで、図面が固まってなかったというケースです。
「こうなるとは聞いてなかった」と言われ、やむなく変更ということがあります。
以前も書いたのですが、住宅メーカーでは、営業マンが間取りを作っているケースも多くあり、設計に配慮が行き届かず、契約後で重大な欠点に気が付くということがあります。
3,設計変更を少なくするポイント
変更を少なくするには
お施主様は契約前は価格調整や住宅メーカー選びで、間取りは2の次になっているケースはありがちなことです。
ただ間取りは住んでから大きな影響を与えます。
ここをこうすればよかった。ということはよく聞く話です。
そうならない為にも、図面変更が可能な時期にじっくり図面を見てみる必要があります。
SUUMO 先輩161人に学ぶ!間取りの失敗ランキング https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_plan/madorinoshippai/
「大手ハウスメーカーに頼んだから大丈夫」ではなく、図面チェックは必ず行う
窓の高さや位置、収納は足りるかなどチェックしてみましょう
家具などを図面に入れてみてドアなどにぶつからないか、洗濯動線(洗う、干す、たたむ)など生活シュミレーションしてみましょう。
住んでからの失敗ランキングで上位の電気関係「スイッチの使い勝手やコンセントの数」なども必要です。
「気になる点が無い」「図面の見方が分からない」「大手ハウスメーカーだから大丈夫だろう」と思わず、人生でも高い買い物ですので、かならずチェックされることをお勧めします。
工務店の社長の「俺に任しときな」は、間取りの事ではありません。
最終チェックは、設計士と一緒にチェックする
最終チェックを、家を建てられる方だけでチェックしてゆくのは大変な作業です。
そこで図面の最終確定する際は、契約した会社の設計士の方と一緒に最終チェックを受けるのが良いです。
ハウスメーカーや工務店では、営業と現場監督の担当はいるものの、設計の担当者がいないケースもあります。
でも、失敗や後悔しない為にも、設計士さんにチェック担当になってもらえるように依頼してみましょう。
不安な場合は第3者に依頼する
会社の設計士さんがあまり親身でなかったり、アドバイスに不安を覚えた場合や、そもそも工務店に設計士がいない場合もあります。
そういう際は、知人に設計士さんがいればその方に相談するのが良いかも知れません。
いない場合は当事務所のように間取りへのアドバイスを行ってる設計事務所に相談してゆく方法もあります。
関連ブログ 注文住宅の間取りはいつまで変更可能なのか、セカンドオピニオンでの話
契約前が本当はベスト
先のSUUMOの間取りの失敗ランキング1位の「広さで失敗」「収納の失敗」は、契約後の間取りチェックでは間に合わないかもしれません。
また、最終確定の直前で変更があると、住宅メーカー側も工期が延びるので嫌がられるかもしれません。
やはり契約前に間取りチェックを行うのが理想です。
4,まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
「大手だから大丈夫」「営業マンが良い人だから」などは、間取りに関係ありません。
1,本設計で変更が無いように、図面の確定時期までに間取りでいろいろなシュミレーションしてみる。
2,設計士に見てもらう
などが大切です。
(ちなみにライフホーム設計では間取りの相談(全国対応)を行っております。ホームページ)
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
ちょっと役立つ違うブログもどうぞお読みください
提案された間取りが気に入らない場合の対応は
図面変更はいつまで可能か
未来の図面は連動する、建築用CADのBIMのこと
安全な住まいを作るのにもうひとつ大切なこと
住まいで部屋に鍵を掛けると意外と大変
このほかにもいろいろなブログがあります。https://lifehome-sekkei.com/index.php/blog/
・1級建築士設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのデザイン住宅を作ります。
新規プランのほか、ご自分で書いた間取りのアドバイスや工務店やハウスメーカーのプランの診断を行う「セカンドオピニオンサービス」(全国対応)もやってます。(電話、メール、LINE,オンラインなど)
注文住宅の一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など間取り設計の依頼は、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
間取りの悩みをスピード解決する「住マイル設計士」
*注文住宅の主としたハウスメーカーで営業設計を経験し独立。
「一級建築士としての建築知識」と「税金や融資、登記や不動産の知識」も併せ持つ設計士です。
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
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