注文住宅で後悔したことランキングでいつも上位にあるのが「電気配線」です。
私が学生の頃、建築の授業で、教授がある映画をもとに電気配線についての話をしてくれました。
目次
1,設計には電気への配慮が必要
2,電気のコンセント配線の設計のアドバイス
3,建てる際は、コンセントの数のチェックを
1,設計には電気への配慮が必要
・電気配線が原因で火災になった映画
その映画は「タワーリング・インフェルノ」という映画という1974年公開のアメリカ映画です。
この映画は、スティーブ・マックイーンが演じる消防士とポール。ニューマンが演じる建築家の設計士と消防士が、超高層ビルの火災に立ち向かうストーリーです。
・火災の原因は電気配線の細さ
映画では火災の原因として、ビルのオーナーの娘婿が建築費を削って儲けようと、設計士の許可なしに、電気の配線の太さを設計より細い線に変更した為に、電線に負荷がかかり発火し延焼してしまったと描かれていました。
火災の原因の約2割は、電気からと言われています。
・住宅火災でも電気関係が多い
平成30年版 消防白書によると、火災の出火原因でも電気関係は多いようです。
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h30/chapter1/section1/para1/38268.html
ちなみに、この映画の公開した年、米国のワールドトレードセンターで9階から12階まで、電線による延焼火災が実際に発生したことがありました。
タワーリングインフェルノは「そびえたつ地獄」という意味らしい
・設計士は電気設備の知識が必要か?
このシーンについて、教授曰く、「この話は変だ。電気、給排水など設備は、専門の設計士がいるから、設計士が電気の線の太さを把握することはない」とお話されていました。
当時は、「そういうもんなんだ」と思っていましたが、いざ、社会に出ると、住宅建築においては映画の方が正解でした。
入社した住宅会社では、「美容師さんが電圧の高い業務用のドライヤーを、自宅に持ち込んだらコンセントでショートした」「トイレの排水経路が悪くて、流れが悪い」という設備がらみのクレームの話がありました。
「やっぱり設計士は、全体把握してないとダメなんだ」と考えを改めました。
今でも、映画で火災のあるシーンを見ると、思い出します。
2,電気のコンセント配線の設計のアドバイス
・失敗後悔ランキングで上位の電気配線
注文住宅の失敗、後悔ランキングで上位なのが、電気の配線計画(コンセントの配線や照明のスイッチ)です。
SUUMO https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_plan/madorinoshippai
電気配線が3位に入っていますね。
今回はコンセントを中心に大切なことを書いてゆきます。
・一つのコンセントは1500Wまで
電気のコンセントは、家庭用だと1500W位までが限界です。
これ以上流す場合は、単独配線や電圧を変える必要があります。
パナソニック「電気の基礎知識」を参照
https://www.panasonic.com/jp/support/kaden/basic.html
業務用のドライヤーや冷蔵庫などを使用する場合は200V用に変えないとならない場合もあります。
・コンセントは余裕をもって計画。
容量の小さい家電でも、タコ足配線などで、合計1500Wを超えることも危険です。
紙パック式の掃除機は1000w、サイクロン式で800Wあります。
容量の大きい家電と同じコンセントを使用しないように注意が必要です。
東北電力 家庭のアンペアチェックを参照
https://www.tohoku-epco.co.jp/dprivate/ampere/ampere_check.html
・特に台所回りは余裕をもって
炊飯器1300W、電子レンジ700Wなので、台所回りは、少しコンセントが多めの方が良いでしょう。
また、ワット数の大きな家電は大概アース付きコンセント対応になっていますので、設計段階でどこに何を置くか検討して、アースを付けてもらったり、単独配線をしてもらった方が間違いがないです。
・テレビの周りは、容量よりコンセントの口数が重要
テレビの周りは、ブルーレイなどの録画機やゲーム機を置くケースがあります。
そんなに容量は必要ないですが、コンセントの口数は必要になります。
コンセントには、3口や4口もあります。
パソコンやオーディオはコンセント差し込みのところに、大きなACアタプターがついているものもあります。
その場合はコンセントが、ふさがってしまうケースがあるので、これも注意が必要です。
ちなみに消防士役のスティーブ・マックイーンは映画「大脱走」でもカッコよかったですね。(生まれる前のかなり古い映画ですが)
・普段の生活でも注意が必要
古いコードの劣化や、コードを折りたたんで使用するのも断線からの火災の危険があります。
埃のついたコンセントも、湿度の高いところや水回りで火災が起きますので、掃除などが必要です。
注文住宅で家を建てる際は設計だけでなく、建築後の生活でも注意が必要です。
3,建てる際は、コンセントの数のチェックを
・注文住宅で建てる際は、電化製品とコンセントの数のチェックを。
アパートなど賃貸物件でのお住まいは、タコ足配線や延長コードを利用されていたかもしれません。
注文住宅の場合、生活に合わせた電気配線が可能になります。
冒頭の映画の話のように、電気配線での火災にもなりかねないので、持ち込む家電製品をもとにコンセントの数が足りているか確認したほうが良いかと思います。
・できない場合は設計士に相談を
良くわからなかったりした際は、建築するハウスメーカーや工務店の設計士に相談されるほうが間違いが無いかとおもいます。
電気配線がきれいにできると、家の中が美観的にもすっきりします。
また、コードに引っかかって転倒する恐れも少なくなります。
住宅火災を防ぐ意味でも必ず行った方が良いと思います。
・チェックが不安な場合は
最初に書いた通り、電気配線は失敗後悔したランキングで上位にいつもあります。
私はおかげさまで印象深い教授の映画の話で、電気配線については気を付けるようになりました。
でも住宅会社の担当者が電気に関心がないと、あまりチェックしてくれないのかもしれません。
そのためコンセントの数などは、お施主さん任せというメーカーも多いようです。
当設計事務所において電気配線を含め間取りや設計図にアドバイスを行っている「間取りのセカンドオピニオンサービス」も行っています。
あまり親身になって見てもらえてないようでしたなら、ご相談いただければと思います。(最後にCMでした(笑)。)ホームページhttps://lifehome-sekkei.com/
この下に電気配線のライフホーム設計の関連ブログもあります。
よろしければお読みいただければと存じます。
関連ブログ
・掃除機のコンセントは上にあった方が使いやすくて楽などワンポイントアドバイス。
・映画の話から欧米の違いを
電気配線が必要な電気錠システムとは
・映画を見ると最近の住宅の流行トレンドが分かる
・実はハウスメーカーの間取りは営業マンが作っていた?
・間取り変更の話
・未来の住宅がわかるブログ
・水道の配管について
ほかのライフホーム設計のブログはコチラから
https://lifehome-sekkei.com/index.php/blog/
最後までお読みいただきありがとうございました。
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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
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