日本も高齢化が進み、段差のないバリアフリー住宅や、同一フロアで移動できる平屋建ての間取りの、人気が出てきています。
これは、将来、車いす生活や親の介護をする場合のことを考えて、プラン設計する人が増えてきたからです。
また、家族とのコミュニケーションも取りやすいので、若い方にも人気があります。
目次
1,バリアフリー、平屋建て住宅が増えた背景
2,平屋建ての注文住宅の設計のポイント
3,メリットを生かし、デメリットを消す「平屋の間取り」設計とは
4、平屋建て住宅の注意点
5、平屋建て住宅の参考の間取り図面
6、札幌市で、都市計画の見直しで建ぺい率が緩和され、平屋建てが建てやすくなりました
1,バリアフリー、平屋建て住宅が増えた背景
住宅で事故で多い「段差」でのつまづき
住宅で怪我をする事故が多いのが、段差による「つまづき」です。
特に高齢になってくると、目が見えづらく、足腰が弱ってくるので、バランスが悪くなったり、足が上がらなるからです。
その為、住宅内で段差をなくす「バリアフリー仕様」が増えてきました。
住宅金融公庫でバリアフリー住宅が金利が安くなったので広がりを見せる
昔、住宅ローンで人気のあった「住宅金融公庫(現、フラット35)」も、「高齢者を配慮した新築一戸建て」は、安い金利で貸し出したので、一気に広まりました。
(現在は銀行融資が増えましたが、フラット35はフラット35Sという高齢者配慮住宅に、特典を付けています。)
フラット35 https://www.flat35.com/loan/index.html
「高齢化社会」で「親の介護」が必要となった
日本は、高齢化が進み、長寿国になりました。
90才代以上のの親を、60才代以上の人が、面倒を見ることも増えてきました。
フラットハウスの平屋は、階段の上り下りがないので、親の介護も楽になる点で人気が出ました。
2,平屋建ての注文住宅の設計のポイント
失敗、後悔しない平屋建ての設計のポイントは、メリットとデメリットを知ることです。
それを踏まえて、成功する注文住宅の間取りを作るポイントを書いてゆきます。
(間取りの参考例も、終わりの方にあります。)
平屋建て住宅のメリット
1、段差での事故、介護のしやすさ
1階建ての平屋は、階段を使わず、寝室からリビング、洗面、浴室に移動できる動線です。
介護者を車いすで移動できる「メリット」もあります。
階段を使用しない為、転落事故も無くなります。
2、避難しやすい。
火災や地震などの災害の際、階段を使わないので、「高齢者」や「体が不自由な介護者や身障者」などは避難しやすいです。
3、庭との一体感
地面に近いので、庭などの緑の自然と一体化しやすい点があります。
庭など楽しみたい方は、各部屋から緑が楽しめる間取りが作ることが可能です。
ここが、設計士としての腕の見せ所でもあります。
4、家族とのコミュニケーションの取りやすさ
家族は皆、ワンフロアにいるので、顔を合わせやすくなります。
5.犬などペットと生活しやすい。
犬などペットと過ごされたい方にも、良いかと思います。
階段の上り下りが無いのと、庭で遊ばせやすい点があります。
、
平屋建て住宅のデメリット
1、道路や周りからの視線を受けやすい。
2、日当たり、見晴らしが、「2,3階」と比較して悪い
3、すべて窓が、地面から近いので盗難に遭いやすくなる。
が、平屋の戸建てのデメリットの主な3点です。
「サザエさん」も、「ちびまる子ちゃん」も、日曜のアニメは平屋の家。
住まいに、幸せな家庭の秘密があるのかも
3,メリットを生かし、デメリットを消す「平屋の間取り」設計
1、平屋建て住宅は、「視線を遮る」「陽を入れる」窓サッシの設計プラン
田園と違い、市街地では、1階は、「2階、3階」と比べ、陽当たりや見晴らしが悪い点があります。
設計では、道路以外の高層マンションなど、日照や気になる視線があるかどうか、現地調査が大切になります。
その為、既成観念にとらわれては、良い間取りが出来ない場合があります。
具体的には、視線の多い面は、高窓にする設計
上の図は、2階建て、3階建てでも、札幌市の中央区など都心部ではこの手法の設計は、良い評判でした。
狭小住宅でも生かせるかと思います。
2、建物をL型、コの字にする工夫。
自然を楽しんだり、目線を気にしない為に、建物をL型やコの字型に変形したほうが、良い場合があります。
近くにマンションがある場合も有効です。
ペットを庭で、気がなく遊ばせることも出来ます。
旗ざお地の「デメリットを生かす住宅設計」のブログも参照
https://lifehome-sekkei.com/index.php/2019/04/22/plan-20/
3、防犯対策も大切
外部からの視線が無いプランの平屋建ての住まいは、逆に泥棒が入りやすくなってしまいます。
その為、防犯対策が必要になります。
なるべく窓は、防犯ガラスにした方が無難です。
心配な方は、ホームセキュリティも考えたほう良いかもしれません。
4、平屋建て注文住宅の注意点
外部への移動を考慮
スロープは設置面積が長く必要。
平屋建ての家の場合、車椅子のことを考えて、玄関ポーチにスロープを付ける設計も頼まれます。
このスロープは、意外と面積が取られます。
特に高基礎の場合は、注意が必要です。
国土交通省「バリアフリー法 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
車へのアプローチ。介護の場合は、駐車場がメインの入り口になる可能性も
介護の方がいる場合は、車での移動が多くなりがちです。
駐車スペース、インナーガレージ、車庫などから出入りすることも考えておいた方が良いです。
乗り降りするスペースが必要なので、広めにしておく、段差を少なくする、通路やドアを広めにしておく、などです。
出来れば、天気の悪い日のために、屋根のある乗降スペースがあると良いです。
北海道では積雪のことも考えて。
北海道は多雪地域です。
玄関や車のスペースから道路まで長いと、雪かきが大変です。
道路までのアプローチのことを考えておかないとなりません。
住宅内での移動がスムーズでも、道路との関係で後悔、失敗してしまいます。
災害時の避難のことを考えて、部分2階も視野に
最近、河川の氾濫での自然災害が頻発しています。
北海道では大雪のことも考えておかないとなりません。
屋根を片流れや三角にしますと、平屋は面積は広いので、雪が、敷地に多く落ちて、窓が塞がれてしまいます。
(北海道の屋根は、無落雪という陸屋根が主流です。)
避難の為、納戸などや客間など1部屋作っておくと安心です。
北海道新聞より
*津波や洪水で、万が一、避難所まで安全にたどり着けない状況になった場合は、遠くより、少しでも高いところに逃げる「垂直避難」が大切です。
避難についての「ライフホーム設計」のブログ
https://lifehome-sekkei.com/index.php/2019/09/01/disaster/
平屋建て住宅は建築費が高い
2階建てと比較すると、坪単価が20万円以上の違いが。
同じ坪数の、総2階建てと平屋建ての住宅では、建築コストは、平屋建ての方が高くなります。
それは、平屋建ての方が、基礎が長くなり、屋根の面積も広くなる為です。
「あそこの住宅メーカー工務店は、坪○○万円だから建築費は××万円」と、資金計画を考えておくと、あとで困ったことになります。
工務店やハウスメーカーなど建設会社を選ぶ際には、平屋建ての坪単価を聞いておいた方が良いです。
場合によっては、ホームエレベーターを設置したほうが、安くなるケースも。
平屋建ては建築コストが高いので、安くなったホームエレベーターを利用する方法もあります。
ハウスメーカーや建設業者など会社によって、設置費用は違いますが、新築の3人乗り2階建てタイプだと、施工費込みで200万円台で、300万円はかからないかと思います。(2人乗りの車いす対応だと、まだ安くなる。)
今回のブログの趣旨と変わりますが、日当たりの良い2階リビング、夜間避難しやすい寝室一階という、間取りも考えられます。
建築予算で折り合わない場合の代替え案として、お知らせいたします。
(100才以上の長生きの方は、2階に寝室があって、毎日、階段を上り下りするという話もあります。)
パナソニック ホームエレベーター
https://sumai.panasonic.jp/elevator/index.html
平屋建てはコンパクトに抑えることがポイント
高齢者になると、トイレが近くなります。
昼間いるリビングと、夜間過ごす寝室が離れるなど、大きな家になるとトイレが2つ必要になることもあります。
平屋建ては、建築費もかかることですし、家事も少なくするためにはコンパクトに間取りをまとめることが大切です。
5、平屋建て住宅の参考の間取り図面
1LDKの平屋建ての間取りプランです。
平屋建てのメリットを生かし、デメリットを消すよう心掛けました。
建物をL字型にして、回りからの視線を気にせず、開放的な性格が出来るようにしています。
家から道路まで、屋根付きのカーポートを設置し、雨や雪を気にせず、車の乗降ができ、冬期間の雪かき部分を少なくしています。
トイレは、寝室とリビングの両方近いところに配置しています。
室内ドアを引き戸を基本にし、通路も広くとり、玄関にはベンチを設置しています。
ご参考にしていただければと存じます。
*敷地の形状や方位、環境により間取りは変わってきます。2LDK,3LDK、4LDKなど、お持ちの土地に合わせて、通常は設計いたします。
6、札幌市で、都市計画の見直しで建ぺい率が緩和され、平屋建てが建てやすくなりました。
平屋建ては、建物面積が広くなるので、大きな敷地が必要で、建てられる人も少ないのが現実でした。
今年、札幌市の都市計画が変わり、住宅地の建ぺい率が緩和になり、敷地の有効利用が出来るようになりました。
*建ぺい率とは、土地に対して建てられる1階部分(細かくは規定あり)の広さの割合です。
(2階建て、3階建ても、新築、建て替えの新築プランがしやすくなりました。)
札幌市 「令和元年度告示用途地域等の全市見直しについて」
https://www.city.sapporo.jp/keikaku/toshikei/youtochiiki/youtominaoshi-3.html
北海道新聞より「最後をどこでむかえたいか」のアンケート
これから医療が進み、在宅治療が出来るようになると、終の棲家としても、人気の平屋建て住宅は、もっと増えるかもしれませんね。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
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*「周りの視線を隠す間取り」と「防犯対策」を書いてます。
*高齢者が住みやすい「間取り」やコンセント位置など失敗しない電気設計のブログ
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*車社会のアメリカは「ガレージが玄関」になっているというブログ
*「避難の仕方」についてのブログ