設計に携わらせていただいている工務店さんが、気密測定の試験を行ったので同席させていただきました。
機械による測定を行うので、どれくらいのレベルの高気密住宅かが正しく分かります。
気密測定の必要性と試験の様子をお伝えいたします。
(C値は驚きの結果に?。)
目次
1,計算上は暖かい家。でも正しいかは気密測定しないとわからない
2,気密測定のやり方
3,気密測定の結果で、施工技術が向上する
4,まとめ
・見学のご案内
1,計算上は暖かい家。でも正しいかは気密測定しないとわからない
住宅の断熱や気密が良いと、少ないエネルギーで「冬あたたかく夏涼しい家」になり快適に過ごせます。
1,気密性能を表すC値
昔の北海道の木造住宅は、年数が経つと隙間風が入ってきて寒くなりました。
家に隙間があると、熱が逃げてゆく性能の悪い家になります。
その家の大きさに対して、どのくらいの面積のスキマがあるかを数値化したものがC値(しーち)です。
家全体の隙間面積を、延床面積で割って計算されることから、「相当隙間面積」と呼ばれ、小さい数値の方が隙間が少なく、気密性能が良いことになります。
明確な基準は現在ないのですが、北海道のC値の基準は1.6以下.北方型住宅で1.0以下で高気密住宅と言われているものは0.5~0.3とされているようです。
2,計算ではなく実物の建物で測定
C値は建築現場にて気密測定を行って出します。
そのため同じ住宅メーカーで同じ断熱材を使用しても、c値が同じになるとは限りません。
間取りによってもありますが、大工さんの上手い下手などによっても変わる為です。
ちなみに大手のハウスメーカーは、C値にばらつきがあるので気密測定を行わないところが多いようです。
3,建築途中で行う気密測定は施工ミスの発見になる。
断熱材を充填し、防湿気密シートを張った状態の工事中で現場で気密測定を行うと、施工ミスが発見できます。
目指していた数値に届かなかった場合、どこかに隙間があることが考えられ、工事途中だと問題の場所を探してゆくことが出来ます。
国土交通省住宅省エネルギー技術講習テキストより
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/r2text_hokkaido.pdf
気密シートの施工不良のほかコンセントプレートや配管のつなぎ方の施工不良などいろいろ考えられます。
よりよい性能を求めるには、気密測定は工事中と完成時の2回行うことが良いとされています。
4,メーカーのカタログの高断熱はあくまで設計仕様のこと
高断熱をうたっているハウスメーカーや工務店も多くあります。
「弊社では断熱材は○○を××mmを使って、Ua値は△△の高断熱な家です。」などです。
これは計算上、導き出した数値になり、施工ミスもなく100%完璧に工事が行われていることが前提になっています。
現場で気密測定を行った方が、気密性が本当にあるのかがはっきり分かり安心かと思います。
2,気密測定(気密性能試験)のやり方
1,換気口を塞ぐ
必要のない隙間を探すので、必要な計画換気を行う給気口、換気口は塞いでおきます。
部屋の給気口は塞ぎます。
ユニットバスの換気扇も塞ぎます。
2,機械を設置し、家の空気を抜いてゆきます。
バズーカのような形の気密測定器を設置します。
そして家の空気を抜いてゆき。外部との間の気圧差を作ってゆきます。
1回あたりの所要時間は約10分です。
空気を抜くと言っても、気圧差を作るだけなので真空になるわけではありません。
3,測定を行う。
測定を開始します。
4,測定結果が表示されます。
しばらくすると機械のモニターにC値である相当隙間面積が表示されます。
今回測定した数値は、0.18c㎡/㎡と表示されました。
再度、計測すると0.22でした。
測定した会社の方によると、外の風の状況になどで、数値は変わることはあるとのことでした。
C値は、第2桁が四捨五入になるとのことで、今回の測定結果は0.2となりました。
高気密住宅の目安が0.5~0.3なので、0.2はかなり良い数字でした。
3,気密測定の結果で、施工技術が向上する
・気密測定は工事中も行うほうが良い
測定した会社によると、完成時に1回しか行わない住宅はあまり結果が良くないそうです。
下地を張る前の工事中に測定を行い、隙間見つけて直していった方が完成時の結果も良くなるとのことでした。
完成してからだと、結果が悪くても手直しが出来ないデメリットがあります。
工事中は防湿フィルムを張った段階で行います。
不具合箇所が分かれば、直して再度、測定を行い気密性を高めることが出来ます。
・気密測定が施工技術の向上につながる
今回の気密測定のテストは完成時でした。
工事を行った会社によると、今回の家ももちろん工事中も行ったとのことでした。
そこの会社によると、単純な形の総2階の方が、複雑な形の間取りに比べて測定結果が良いこと多いとのことです。
これは防湿気密シートが貼りやすい面があるのではとのことでした。
また、防湿気密シートの留める工具でも、数値が違ってくるとのことでした。
気密測定の件数が多くなると、いろいろなノウハウが蓄積されて、数値も良くなってくるとのことでした。
4,まとめ
・こわい内部結露
昔の北海道の家は、十数年すると断熱材が腐ったり痩せたりした隙間が出来て内部結露を起こしていました。
そのため、結露がひどくなると断熱材が無くなって寒くなるだけでなく、木材を腐らせ構造的にも影響が出てきました。
近年、外壁通気工法と言って、外壁側に通気層を設けて湿気を逃し、内部側は防湿気密シートを張って湿気を室内側に行かないようにしてから内部結露は減少傾向にあり、改善されてきました。
壁の中の湿気を抜くことが出来る。
ただ。通気工法は室内側の防湿気密シートがきちんと張られていないと内部結露を起こしてしまうデメリットがあるので建築工事が大変重要になります。
それゆえ、気密測定など機械で測って、施工ミスが無いかを確かめることは大変有効だと思います。
「気密は機密でないほうが安心」
・暖かい家か確かめる
カタログで高断熱高気密をうたっていても、施工が悪ければその性能が出てきません。
高い断熱等級を要求される長期優良住宅や断熱等級制度も、現場で試験を行わない設計審査の計算上での高断熱高気密住宅です。
工場生産の家を含め断熱工事、気密工事は、人間の手で行っているので100%完璧と言うことは考えられません。
また現場監督の目視だけでは不十分なところがあります。
机上の計算の数値より、実際の機械による測定の数値の方が安心ではないでしょうか。
・見学のご案内
気密測定を行った工務店で、私が間取りなどの設計に携わった住宅が2022年9月の初めに完成する予定です。
追記、ご連絡いただければ建物をご案内することも可能ですので、ご連絡くださいませ!
注文住宅をご検討の方で、ご興味のある方は完成後のご案内も可能なのでご連絡いただければと存じます。
詳しくはホームページをどうぞ!コチラをクリック
https://lifehome-sekkei.com/#contact
・今回は建築関係者のかたは、大変申し訳ございませんが個人宅になるので、お断りとさせていただきます。
・ご案内の建物は気密測定を行った住宅になります。
ただ設計に携わった工事店の中の1社ですので、ライフホーム設計で行ったすべてのハウスメーカーや工務店で気密測定を行っているわけではございません。
・間取りご相談いただいた方には、気密測定を行っている工務店さんをご紹介は可能です。
ライフホーム設計 お問い合わせフォーム https://lifehome-sekkei.com/#contact
この下に、過去に書いた関連ブログも載せておきます。
よろしければお読みいただければと思います。
・2見学可能です。
・欠陥住宅の家を建てない対策とは
・建てたいメーカーの現場を見ると分かることがあります。
・地震で倒壊した原因は「結露」
・法律で決まっているのに、構造計算していないハウスメーカーが多い
・階段で失敗することも多い
・暖かい家を建てるには
・技術者が少ないハウスメーカー
・変更が多いと現場でも間違える
・間取りで失敗しないには
今回のブログが少しでもみなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの間取りがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
ここから設計事務所のCMです。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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