眠れない悩みを持つ人は、多くいらっしゃいます。
住まいを眠りやすい環境にすることは、安眠につながります。
今回は、間取りでどのような寝室が良く眠れるかというブログ(前編)です。
目次
1,よく眠れる理想の寝室とは
2,室内の音を防ぐ
3,外部の騒音からも離す
4,夜は暗く、朝は明るい寝室
5,快適な温度、湿度の寝室
休憩①、北枕の寝室
休憩②、(気になる人だけ限定)家相風水でよい寝室の位置
6,後編「インテリア編」の予告
マットレスや健康食品など、当ブログは通信販売サイトではないのであしからず(笑)。
1,よく眠れる理想の寝室とは
静かな環境にする
寝室は、眠りやすく、途中で目が覚めないことが理想になるかと思います。
うるさくて、まぶしくて、蒸し暑い、または寒いという環境は眠りづらいかと思います。
理想の環境は「静かで、ほど暗く、快適な室温や湿度」の部屋にするのが眠りやすい条件になるかと思います。
2,室内の音を防ぐ
(1)「遮音、防音」されている寝室に
静かな環境の寝室にするには、音の出るところから離すことが重要になります。
音が出るところは、家の外と中の2つに分かれます。
まずは、家の内部の音から考えてみたいと思います。
TOTO https://jp.toto.com/
(2)排水の音のクレーム
お悩みのご相談で近年多いのは、排水の音で眠れないというものです。
これは、上の階にトイレ、浴室などの水回りがあり、その下の階に寝室のになっている間取りが多いです。
多くなった原因としては、2階にトイレのある間取りの家が増えたことがあります。
また日当たりの良い2階リビングの間取りも、1階寝室、2階に水回り(キッチンや洗面、浴室など)になることが多く、音の悩みが増えた原因かもしれません。
注文住宅の間取りで、寝室の上に水回りを設計しないことが、眠れる寝室の条件になるかと思います。
真下に流さない排水の便器もありますが、札幌近郊では水道局で使用を認めていないことも多いので、取り付けるハウスメーカーや工務店に確認が必要です。
(2)2世帯住宅の間取りは、特にチェック
家族が起きている時間に水回りを使えば、音が発生しても気にならないのですが、なかなかそうはいきません。
2世帯住宅など親と同居する一戸建ては、年配者と若い世帯では生活リズムが違うので。水回りを使う時間が違ってきます。
そのため間取りを作る際には、2階の水回りの下に寝室がないかを特にチェックする必要があります。
間取りの参考例
(3)上の階に水回りがある場合は防音対策をする
たとえ寝室が真下になくても、2階に水回りがある場合は、天井裏を通って音が伝わることもあります。
そこで、上の階に水回りがある間取りは、防音対策をした方がベストになります。
界壁(天井裏をふさぐ壁)を付けるか、天井裏にグラスウールなど吸音材を入れると効果があります。
防音効果のある排水管を使用するのも効果があります。
・以前の参考ブログ
(4)同一階では、寝室はトイレ、浴室とも離す
同じ階に水回りと寝室がある間取りは、隣接させると排水音で安眠を妨げます。
特にトイレと寝室が隣接していると、寝ている人は、家族が深夜に用を足す際に、目が覚めやすいのでやめておいた方が無難です。
・寝室とトイレが隣接した間取りの改善案
物入れやクロゼットなど一つ空間があると伝わる音は小さくなります。
(5)離せない間取りは、遮音、防音壁にする
どうしても離せない間取りは、間仕切壁を防音シートを貼ったり、壁の内部にグラウウールを詰めたり、石膏ボードを2重に貼るなどして少しでも遮音する対策が必要です。
大建工業 https://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/acoustics_underlayment.html
(6)日中に寝る場合は、リビングも離す
早朝勤務や夜勤など、寝る時間が家族と違う寝室は、水回りのだけでなく、リビングも離した方が無難です。
家族の話声やテレビの音が気にならなくなる効果があり、静かで眠りやすくなります。
以前、防音ドアを設置したことがありました。
大建工業 https://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/acoustics_door.html
24時間勤務ありがとうございます。
(7)玄関横の寝室もなるべく避ける
寝室が玄関と近いと人の出入りが分かります。
深夜に帰宅したり、早朝出勤する家族がいる場合は、少し離した間取りにしたほうが良いかもしれません。
深夜の帰宅は「抜き足、差し足、忍び足」
(8)2世帯住宅の場合、親世帯の寝室にも気を遣う
2世帯住宅の場合、下の階に親世帯、上の階に子世帯という間取りも多いです。
その場合、親世帯の寝室の上に、夜遅くまで使用する部屋ではないかチェックした方が良いです。
トイレや浴室、キッチンなど水回りはもちろんですが、お子様が走り回る部屋は避けた方が無難です。
子供の遊ぶ部屋の下に、親世帯の寝室は避けた方が良いですね。
・以前の参考ブログ
(9)北海道ではボイラーの位置も重要
私の住む札幌など北海道では、灯油の給湯用、暖房用ボイラーやガスの給湯暖房機(エコジョーズ)は、室内に設置します。
そのため、セントラルヒーティング暖房用のボイラーは、冬は24時間動いているので、着火音や温水を流すポンプの音が発生します。
この音が、最近の高断熱高気密住宅は建物が静かなので、気にされる方は増えました。
間取りでも、寝室はボイラーから離した方が静かなので、近くないかチェックが必要です。
3,外部の騒音からも離す
(1)寝室を通行音などから離す
夜、人も車もほとんど通らない閑静な住宅地では問題ないですが、車通りが多い幹線道路や、電車の線路沿いや、24時間営業のコンビニなどの近くだと音が気になるかもしれません。
寝室はこれらから離れた位置の間取りだと、少しは緩和されます。
たとえば、車の音などは道路から直接聞こえない位置にしたり、1階より2階3階のほうが外の音が聞こえづらくなります。
・道路と寝室の位置の音の違い
(2)窓を防音対策する
間取りでどうしても道路側に寝室を持ってこなければならない場合は、窓を防音すると効果があります。
外の音は、壁より窓や換気口の方から入ってきます。
このため窓を3重ガラス(トリプルサッシ)や内窓をつけることは効果があります。
また、採光に影響のない道路側の窓を小さくすることも防音性能が上がります。
リフォームでは、内窓を付けることが価格も安くできるのでお勧めです。
LIXIL リフォームサッシ https://www.lixil.co.jp/lineup/window/feature/reform/
(3)換気は「第1種換気システム」の方が静か
換気はダイレクトに空気を取り入れる第3種換気システム方式より、直接、空気を取り入れない第1種の熱交換型方式の換気システムの方が音が静かになります。
幹線道路などの騒音が大きい場合はおすすめです。
ただし、第1種換気の方が工事費はかかるデメリットがあるので、ハウスメーカーや工務店に相談して取り付けた方が良いかもしれません。
・第1種と第3種換気の違い
a)第1種換気システム(熱交換型)
第1種換気システムは冬の省エネや快適性などのメリットも大きいが、工事費はかかる。
b)第3種換気システム
掃除のしやすいさのメリットはあるが、交通量の多い場所などでは騒音が直接入ってきてしまうデメリットがある。
パナソニック https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/kodatekicho/
工事は無音ではできませんので、期間中はご迷惑おかけしております。
4,夜は暗く、朝は明るい寝室
(1)朝日の当たる部屋
よく眠るコツは「早起き早寝」だそうです。
早く起きるから、早く寝るようになるので良いそうです。
早起き生活のリズムを作るには、朝日の当たる方向に窓があるのも良いかもしれません。
(2)「朝ゆっくり寝る」「日中寝る」人の寝室
前の項と逆に、朝ゆっくり寝たい方や、ご職業柄、夜勤があって昼間寝る方は、あまり太陽が当たらない部屋の方が寝やすくてよいかもしれません。
朝ゆっくり寝たい方は、朝日が当たらない窓の位置にし、日中寝る方は南に面していない部屋の間取りにすると太陽を気にしないで眠れます。
(3)街の明かりも注意
最近は街路灯が明るいLEDになってきました。
また街中だと夜遅くまで、照明がついています。
街の光が、寝室のベットに直接、入ってこない窓の位置にした方が眠りやすいです。
外の明かりの方には窓を付けない、または高窓にするなどの対策があります。
どうしても窓を設置しなければならない場合は、遮光カーテンが必須です。
ベットの遠い位置に窓があると、外の明かりや音が緩和される。
LIXIL https://www.lixil.co.jp/lineup/window/
(4)室内の窓にも気を付ける
あまり多くはありませんが、玄関や階段ホールが暗い場合、室内にガラスの窓やドアを付ける間取りがあります。
最近では吹き抜けに窓を付けるケースもあります。
YKKap https://www.ykkap.co.jp/
昼間はよいのですが、夜間、玄関や廊下の照明がつくと、部屋に光が入ってきてしまうのでカーテンなどを付けるなど対策が必要です。
(5)遮光カーテンは生活スタイルに合わせて
寝室は、窓との隙間があるロールスクリーンやブラインドだと外の光が入ってくるのでカーテンがおすすめです。
特に光の入りづらい遮光カーテンの方が気にならなくなります。
逆に朝、明るくなったら自然に目覚めたい方は、遮光カーテンでない方が目覚めやすくなります。
遮光カーテンは光の透しづらさによって性能が違います。
サンゲツ https://www.sangetsu.co.jp/style/curtain_choose04.html
寝つきをよくするコツ「本を開くと目が閉じる」(笑)
5,快適な温度、湿度の寝室
寝室は寒くて眠れない、暑すぎて寝られないということがないように環境を整える必要があります。
(1)西日の入る寝室
内地(北海道以外)では、西日が強いと夜になっても温度が下がらないので、寝室は避けた方が良いといわれています。。
逆に私の住む札幌など寒い地域では、西日を入れたほうが冬暖かいので、夕日を取り入れる間取りにすることがあります。
それぞれ地域に合わせた位置に、寝室を配置するのが良いかと思います。
(2)冷暖房で室温を一定に
内地では猛暑で夏の暑さ対策のため、エアコン冷房、北海道など寒冷地ではセントラルヒーティング暖房などで、快適な室温を保つと寝やすくなります。
セントラルヒーティング暖房は、サーモスタットバルブで室温を一定にすることができる。
(3)高断熱高気密の家に
気密が悪いと隙間風が入ったり、断熱が悪いと足元と天井の気温差が大きくなり、快適な温度に保つのが難しくなります。
高断熱高気密の家を建てることも安眠につながります。
また、省エネルギーで冷暖房できるので、光熱費が安くなるメリットもあります。
・以前の参考ブログ
休憩①、北枕の寝室
よく北枕はいけないといわれます。
迷信かもしれませんが、昔の寒い北風の当たる北側の寝室は眠りずらかったからかもしれません。
最近では、北枕は頭寒足熱になるので逆に寝やすいという学者さんもいます。
休憩②、家相風水でよい寝室の位置
(気になる人だけお読みください)
朝日の当たる東側の部屋は、風水では健康的に過ごせるので子供部屋に良いとされています。
また、ご夫婦もいつまでも若々しく過ごせるので良いとされています。
きっと、生活リズムが作りやすいからなのかもしれません。
また、仕事運や事業運に良いとされているのが、西側で特に北西と言われています。
多分、家の中でも静かで落ち着いてゆっくり眠りやすい位置なのかもしれません。
家相では寝室の位置より、水回り(特にトイレの位置)を鬼門(北東、南西)にしない間取りにすることを優先すべしと言われています。
(昔は汲み取り式だったので日当たりのよい南西は臭いが発生し、寒い北東のトイレは体に悪いためだったともいわれています。)
(4)湿気対策は風通しを良くする
じめじめする湿度が高い部屋は、夏は寝苦しく、冬はカビや結露で体にも住まいにも良くありません。
風通しを良くすると湿気がたまりづらくなります。
寝室に窓が二つあると、風通しが良くなります。
窓の位置は、離れた位置で、対角にあるのが理想です。
(5)換気システムの点検も大切
住宅は建築基準法で義務化されている24時間換気は、2時間から4時間で建物の空気が入れ替わるよう設計されています。
有効に換気されるには、給気洗浄フィルターの掃除をおこない、また定期的な交換が必要です。
結露などのクレームがあった場合、フィルターが目詰まりしているケースをよく見ます。
(6)空気清浄機やエアコンも活用
24時間換気システムは、弱い風量で空気を入れ替えているので、湿度が高い時は能力が足りない場合があります。
その際は、空気清浄機や除湿器、エアコンなどで除湿することも有効です。
(7)調湿効果のある材料を使う
珪藻土や漆喰などを壁に塗ったり、建材メーカーで出している調湿効果のある建材を貼るのも、湿気対策の補助的な効果があります。
珪藻土や漆喰は、左官職人に依頼するので少し工事費はかかります。
そのため最近では、大建工業の調湿建材やLIXILのエコカラットを利用される方が多くなりました。
エコカラットは、部屋のアクセントにもなるので人気があります。
LIXIL エコカラット https://www.ecocarat.jp/
6,後編「リラックスできる部屋にする」の予告
今回はここまでです。
後編は、おしゃれなインテリアやすっきりした収納の仕方、寝室を2部屋に分けた間取りなどを書いています。
また参考までに、この下に過去の関連ブログを載せておきますので、お読みいただければ幸いです。
後編はこの下の過去の関連ブログに入れていますので、どうぞお読みください。
過去の関連ブログ
・海外では寝室に専用の水回りがある
・このブログの後編
・2階リビングの間取りのコツ
・西日を入れる住まい
・2世帯住宅は親世帯のテレビと離す
・家相風水のブログ
・本当に高気密の家になっていますか。
・トイレの防音対策
・夫婦2人で暮らす理想の間取りとは
・最近人気のファミリークロゼットにするケースも
今回のブログが少しでもみなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの間取りがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
ここから設計事務所のCMです。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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