素敵なデザインの建物のブログを書いていましたら、「失敗しないデザインってありますか」というお問い合わせをいただきました。
建築デザイナーや建築家も使っているシンプルなデザイン手法があるので、それをお伝えしたいと思います。
注文住宅の間取り作りの初心者が、わかるように書いてゆきたいと思います。
目次
1,デザインで後悔失敗しないポイントは3つ
2,窓の位置
3,窓の種類(形、デザイン)
4,フレーム(窓枠)の太さ、色
5,まとめ~後編のお知らせ
1,デザインで後悔失敗しないポイントは3つ
・第一印象をよくすることが大切
人は第一印象というのが大切と言います。
家のデザインも、最初に目につく部分が違和感がないほうが良い印象になります。
・印象に残る3つのポイント
目につく箇所は大きく3つあります。
それは、
1,窓の位置、形(デザイン)
2,建物の配色
3,建物の形(屋根)
になります。
まず最初は、窓の位置、形(デザイン)について解説してゆきます。
世界的な建築家の設計の建物ですが、最初に中央の窓が目に入ってきますね。
フランクロイドライト設計 自由学園明日館 https://www.jiyu.ac.jp/related/myonichikan.php
2,窓の位置
開口部(窓や玄関のこと)は外観のデザインに大きく影響を与えます。
ここが悪いと違和感を感じます。
・窓の配置の良い実例、悪い実例
*窓枠は、説明のため濃い色のもので描いています。
上は2種類の窓を組み合わせた窓の位置の外観ですが、ちょっとやな感じがしませんか?
解説するとこれは、窓の配置が縦のラインも横のラインもそろっていないからです。
これをそろえると下記の図のように、デザイン的にはよく見えます。
整理整頓する際の分類分けに似ています。
・窓の大きさが揃わない場合は、垂直水平ラインの部分一致を目指す
間取りによっては、窓の大きさが揃わない場合もあるかと思います。
その場合は、窓の垂直ないし水平の線(ライン)をそろえてみます。
完全一致でなくても、どこかの統一されるとまあまあ良く見えるかと思います。
・水平ラインを合わせるパターン
窓の下端の水平ラインに合わせたパターンですが、若干、違和感は薄れるかと思います。
・垂直ラインを合わせるパターン
1階が玄関ドアやガレージのシャッターの場合も、2階の窓と大きさ(幅)が合いません。
その際は、1階の縦のライン(垂直)をそろえるときれいに見えます。
ひと休み、1~建築家はわざとラインを揃えないことも
札幌のパークホテルの窓はわざとずらしています。(坂倉準三設計)
上級者になると変化を持たせるため、ずらすこともありますが、初中級はそろえていったほうが無難です。
・同じデザインの窓を連続して使う
北側など小さい窓であれば、同じ窓を繰り返し使用したほうが、統一感が出てきれいに見えます。
窓の大きさもそろえるときれいに見えるので、デザイナーズ住宅や設計事務所の設計した注文住宅のように見えます。
彼らのようにデザイン重視であれば、外観を決めてから、間取りをそれに合わせて作る手法にします。
「きれいに整列」
・大きな窓も基本的には整列させる
日当たりの良い面が道路側なら大きな窓を使用するので、そこが建物の顔になるかと思います。
こちらも基本的には、整列させる(縦横そろえる)ときれいなデザインになります。
・窓を集中させると個性的なデザインに
旭トステム外装https://www.asahitostem.co.jp/coordination/detail.php?c=879&osm=1
窓を1か所に集めると個性的な窓になります。
このほか個性のある形の窓を作って、デザイン性の高い外観にする方法もあります。
これは次章の「窓の種類」に書いてゆきます。
3,窓の種類(形、デザイン)
窓の形や大きさも、建物のデザインに大きく影響を与えます。
サッシ(窓の製造)メーカーには、各社ユニークなデザインの窓も発売されています。
それらを使用して、個性的な一戸建てにすることも可能かと思います。
YKK AP https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw230
・窓の形の種類~一般的な樹脂サッシ
窓には外開き、引き違い、FIX(フィックス、開かない窓)、内開きなど様々なデザインがあります。
まずは、どんなものがあるか見てみましょう。
・外開き(建築用語では、縦滑り出し窓と言います。)
・押し上げるタイプの(横)滑り出し窓とFIX窓(開かない窓)
横滑り出し窓の開き方
・引き違い窓など
工務店や住宅メーカーでは一般的な形の窓しか使用しませんので、気に入ったものがあれば担当者に頼んでみましょう。
・窓の形(デザイン)は沢山あるが多く使用しない
かなり多くの形の窓がありますが、前章のように同じものを繰り返し使ったほうが、きれいに見えます。
特に一般的な注文住宅だと、建物のそんなに大きくないので、いろんな種類を使うとちぐはぐな感じがします。
出来れば、この中から5つくらい選んで使用するほうが望ましいかと思います。
昨年取り壊された中銀カプセルタワーは、統一された丸い窓を繰り返し使用されています。
(黒川紀章設計)
・ひと休み、2~フィックス窓
建築用語でFIX(フィックス)窓(開かない窓)を「絞(し)め殺し窓、もしくは絞(は)め殺し窓」と言います。
ちょっと穏やかな言葉ではないですよね。
フィックスという言葉がまだなかった時代は、現場監督が「階段は絞め殺しです」と説明してお施主様を、驚かせてしまうことがありました。
・最近は横長窓のデザインが人気
小さめの窓には真四角いに近い窓のほか、細長い窓もあります。
縦に細長い縦長窓(スリット窓とも言います)や、横に細長い横長窓があります。
横長窓は、リビングの大型テレビの上や寝室のベット上に配置して外から見えない間取りに最適で、近年は縦長窓より少し人気があります。
LIXIL https://www.lixil.co.jp/lineup/window/hint/select_room/
・個性的な窓が出来るコンビネーションサッシ(連窓,段窓)
住宅用の窓は、窓同士をつなぎ合わせたジョイントサッシ(メーカーによってはコンビネーションサッシ、連窓段窓などの呼称)ということができます。
オリジナルのサッシが作ることも可能で、個性的な窓が作れます。
私の住む北海道では寒冷地用の窓は、制約が多いですが内地(北海道以南)は様々な組み合わせが出来ます。
・連窓段窓デザイン例、1
・連窓段窓デザイン例、2
LIXIL https://www.lixil.co.jp/lineup/window/ew/
組み合わせた窓の場合、サッシメーカーによって条件や制約があります。
ハウスメーカーによって使用するサッシ会社が違いますので、可能かどうか聞いておく必要があります。
・予算があればオーダー寸法のサッシ
窓は規格サイズの窓以外に、特注で希望の寸法の窓も製作可能です。
例えば寒冷地用の樹脂窓であれば、幅は最大3.6m、高さなら2.4mまで可能です。(エクセルシャノン製の場合)
(サッシメーカーによって製作可能範囲は違います。)
エクセルシャノン https://www.excelshanon.co.jp/
アルミと樹脂の複合サッシであれば、さらに特注で大きい寸法の制作が可能です。
・大きな窓は高断熱仕様にする。
大きな窓にする際は、熱はガラスから一番逃げてゆくので、断熱性の良いガラスにする必要はあるかと思います。
デザイン性が良くても、住み心地が悪いと失敗後悔することになります。
北海道(札幌)では、令和6年の建築物省エネ法の改正に伴い、注文住宅のハウスメーカーの標準仕様がトリプルガラスになりつつあります。
さらに断熱性の高いガラスとして、アルゴンガス入り、クリプトンガス入りのほか、5層ガラス構造があります。
YKKap https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw430
デザインも大事。快適性も大事。
・ひとやすみ、3~窓の断熱、北海道の窓
私の住む札幌では、断熱性の高い樹脂サッシが基本で、アルミと樹脂の複合サッシは、建築基準法の防火規制がかかった場合のみ使用しています。
また、引き違い窓は構造上隙間があり、断熱性が悪いのであまり使用されていません。
レバーでギュッと閉めるタイプの窓が標準的に使われています。
4,フレーム(窓枠)の太さ、色
・サッシの枠は細いとシャープなデザインに
サッシはフレームレスに近いものが、枠が目立たずすっきりとしたデザインになります。
昔は太いものしかなかったので、細いほうが新しい住宅に見えます。
太くなるとクラシカルになり落ち着いた感じになります。
室内も違って見えます。
YKK aphttps://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw330
・窓枠は、外壁と同系色が人気
窓枠の色は、外壁と同系色のほうが目立ちづらくすっきりとします。
最近ではこちらのほうが少し人気があるようです。
複層ガラスの樹脂サッシであれば、木目調のものもあります。
・窓枠は、色が違うとアクセントにもなる
逆に窓枠と外壁の濃淡の色に差があると、アクセントになったり、外観デザインを引き絞める効果があります。
この場合は枠を太くしたほうが効果があります。
また、木製サッシとコンクリート打ち放し(素地仕上げ)など素材を変えるのも人気のある組み合わせです。
北欧風の家の窓枠がアクセントになっています。
5,まとめ~後編のお知らせ
窓は「大きさ」や垂直水平の「ライン」をそろえると、きれいに見えます。
ハウスメーカーの中には、3,4種類の窓しか使ってはいけない設計ルールにしているところもあります。
そうすることによって、個性は出ませんが、新人でもベテランでも外観のデザインのレベルが変わらないようにしているところもあります。
ちょっとデザイン性を高くしたい場合は、大きめの窓や細長い窓などを目立つ部分に配置するのが効果があります、
YKKap https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/exterior/alukaveil
窓以外にも外壁の配色で個性を出すやり方もあります。
次回は、「建物の配色」のことを書いてみたいと思います。
少々お時間いただければと思います。
つーびーこんてぃにゅー
次回が出来上がるまで関連ブログをお読みください
・欧米は、道路面に大きな窓がつく間取り
・西側に大きな窓を配置する、北海道オリジナルの間取り
・変形した土地の形の家は、窓の配置が大切
・セカンドオピニオンサービスでは窓の位置もチェック
・眠りやすい窓の位置
・窓を配置をわざと変えた札幌パークホテル(近々、建て替え)
・丸い窓のマンションを設計した建築家のブログ
・自由学園明日館を設計した建築家のブログ
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
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・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
ここから設計事務所のCMです。
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
札幌市近郊(江別市、北広島市、恵庭市、千歳市など)は出張交通費無料です。
新規プランのほか、ご自分で書いた間取り、工務店やハウスメーカーの作成したプランへのアドバイスやサポート診断を行う間取りの駆け込み寺「セカンドオピニオンサービス」も行っております。(依頼の多い人気のサービス、電話メールオンラインで全国で対応中)
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