
東京には、うねった波のような外観が目を引く近未来的な美術館が存在します。
この建物は、外観はガラスを使用して都会的な印象を与えますが、内部は意外にも柔らかい雰囲気を持つ建物です。
はたして、どのような建物なのでしょうか。
1,波のような曲線デザインの「国立新美術館」
波のようにうねった外観が特徴なのが「国立新美術館」です。
角がないので、柔らかい雰囲気の美術館です。
この建物の独特な外観は、訪れる人々に素晴らしい芸術品との出会いを期待させる効果があると考えられます。

波の形の曲線もそれぞれ違っています。
ガラスの外側に、日射を遮る目的のルーバー(ブラインドの羽のようなもの)が取り付けられています。
ちょっとしたアクセントになっています。

ブラインドは掃除が面倒という人(猫?)も多い。
2,大きな吹き抜けのあるアトリウム(空間)

建物の中は、まず3階まで大きな吹き抜けの空間(アトリウム)になっています。
屋外側が、ガラス張りですのでかなり開放感があります。

アトリウムには巨大な逆円錐形の構造物が2つあります。

逆円錐形の上は、レストランとカフェになっています。

3,展示室まわりは木のぬくもり

上の写真の左側が展示室になっています。
展示室側は木の壁が繋がっています。
近代的なガラス張り、コンクリート打ち放しから、ちょっと柔らかいほっとした雰囲気になっています。
4,国立新美術館はすてきな芸術作品と出会える場所
この美術館は常設の展示を行わず、企画展示がメインとなっています。
これは世界でも類を見ない施設といわれています。
中には、誰でも無料で見られる展示室もあります。
展示室は8mもある大きな部屋になっています。

行き当たりばったりで入ったのですが、とても素敵な展示物が見られました。
大巻伸嗣さんという方でした。(有名な方だったら、無知ですいません。)
感動して、ノベルティを買ってしまいました。

ちなみに、新国立美術館のロゴは、ユニクロやセブンイレブンなのを手掛けた佐藤可士和さんです。


シンプルでセンスの良いロゴマークを数多くデザインされています。

5,設計者は世界的な建築家「黒川紀章」
設計は、建築家の黒川紀章さん。
都知事に立候補など話題になりましたが、有名な建築家でさまざまな素晴らしい設計をされた方です。
この国立新美術館は、様々な美術館を手掛けた黒川紀章さんが設計した最後の美術館です。
このほか代表作としては、「広島市現代美術館」「クアラルンプール国際空港」「豊田スタジアム}などなど数多くの建築物があります。
広島市現代美術館

クアラルンプール国際空港

豊田スタジアム

ちなみにひとつ前のブログ「国立代々木競技場」を設計された丹下健三さんの門下生なります。
6,代表作は「中銀カプセルタワービル」
黒川紀章さんが一番有名にしたのは「中銀カプセルタワービル」です。

これは、建物の一部屋がカプセルになっており、25年ごとに入れ替えることができる画期的な建物でした。
ただ、技術的には入れ替えは可能でありましたが費用がかなり掛かるため一度も交換されることなく今年、残念ながら解体されました。
その様子はテレビなどでも報道されていました。

7,札幌と黒川紀章
私の住む札幌でも、黒川紀章さんが設計した建物が2つあります。
ひとつは札幌プリンスホテルですが、すでに建て替えられて現存していません。
もうひとつは北海道青少年会館compass(コンパス)です。

もともとは札幌オリンピックのプレスセンターとして建築されました。
記録によると、設計は本館とプール・体育館が黒川紀章建築都市設計事務所、劇場が北海道日建設計が担ったようです。
北海道青少年会館コンパスhttps://hs-compass.com/

丸い窓が特長の渡り廊下

8,中銀カプセルタワービルと同じコンセプトだった宿泊棟
北海道青少年会館の宿泊棟

宿泊棟は、中銀カプセルタワービルと同じように部屋のユニットが入れ替えできるよう設計されていました。
一部屋が独立したユニット(カプセル)のようなデザインになっています。

ただ、山の上にあるため、冬にカプセルを積んだトラックが上がれなかったため、実現しなかったそうです。
もし出来ていれば、こちらのほうが有名になっていたかもしれませんね。

ユニットのデザインはそのまま残されて完成されています。
コンクリート(PC)のユニットで作られたというので重量もかなりあったのかと思います。
9,最後に
国立新美術館は、今年2023年に近くに所用があったおかげで20数年ぶりに見ることが出来ました。
改めて見ると、この建物は様々な芸術作品に邪魔にならず、同時に美術館としての存在感も持っていると思いました。
おかげさまで建物と芸術作品で心豊かになる1日になりました。
自分も、お施主さんが心豊かにさせられる建物を作ってゆきたいと思います。
・今回の関連ブログもどうぞお読みください
黒川紀章がかつて働いていた設計事務所の作品

丹下健三さんの師匠の自邸

円形の全面ガラスの美術館

昭和の建物をガラスで増築した建物

普段は住宅の設計のことを書いています。PR

最後までお読みいただき感謝いたします。
今回のブログが、建物見学の参考になりましたなら幸いです。
素敵な建築との出会いによって、みなさまの心がより豊かになりますように。
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田中昭臣(たなかあきおみ)
1級建築士
北海道札幌市の設計事務所「ライフホーム設計」代表
建物を見て歩くのが好きです。
建築や住まいの魅力を、文章やお話でお伝えするお手伝いもしています。
どうぞお気軽に。
