こんにちは、北海道札幌市を拠点に活動する1級建築士の田中です。
今回は老後・シニア向けの間取りのポイント第2弾として、玄関・外構のポイントについてお伝えします。
シニア向けというと若い方には関係ないと思われがちですが、取り入れることにより生活が楽になる部分は多くあります。ぜひ参考にお読みください。

一部、雪の降る地域向けの内容も含まれていますが、こちらも参考にお読みください。
ちなみにパート①では、バリアフリーの基本や介護動線、浴室の安全対策についてお伝えしています。
▶ まずはパート①を読んでみる:老後も後悔しない!50代から考えるシニア向けバリアフリーの間取り①
1.玄関の段差と使いやすさ
上がり框は低めに
玄関の土間とホールの段差(上がり框(あがりがまち)の高さ)は一般的に15〜20cm程度あります。
老後を見据えるなら框の高さは低めに計画しておきましょう。

ただし框を低くすると座って靴の脱ぎ履きがしにくくなります。
そこでベンチを設けると、座ったまま楽に靴の脱ぎ履きができます。

手すりもセットでつけましょう。
ベンチを設けると便利
広めにスペースが取れるなら造り付けのベンチがおすすめです。
見た目もよく安定感があります。
スペースがあまり取れない場合は、壁面に収納できる開閉式のベンチという選択肢もあります。

玄関は広めに計画する
車いすで室内用と屋外用を使い分ける場合、2台分の置き場所が必要になります。
ベンチのスペースも考えると、玄関は広めに計画しておくことをおすすめします。
車いすを使わない場合でも、将来のことを考えてゆとりをもった玄関にしておくと安心です。

玄関ドアの段差をできるだけ少なく
玄関ポーチと玄関土間もできるだけ段差が少ない方が理想です。
バリアフリー住宅の基準の段差は2cm以下とされています。
温暖地であれば引き戸タイプの玄関ドアにしておくと、開閉のためのスペースが不要で便利です。
荷物を持ったままでも開けやすく、将来的に杖や車いすを使う場合にも助かります。

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雪対策には風除室という方法も
ただし北海道などの寒冷地では、断熱基準を満たす引き戸の玄関ドアがないため開き戸が基本になります。
また段差を少なくすると、大雪や吹雪でポーチに雪が吹き込んだ際にドアが開かなくなるリスクがあります。
そのため、以前勤めていた会社では10cmの段差を標準にしていました。

こうした北海道特有の問題への対応策のひとつが風除室です。
風除室とは玄関の外側にもう一つドアを設けた小さなスペースのことで、雪が玄関ドアの前に吹き込むのを防ぎます。
雪が吹き込んでこないため、玄関ドアとポーチを低い段差にすることができます。
風除室のドアは上吊り式の引き戸にしておくと段差がなく、車いすでの出入りもスムーズです。

玄関の床暖房も有効

玄関土間に床暖房を入れておくと、靴についてきた雪を溶かすことができます。
冬は玄関床が濡れた状態になりがちですが、床暖房があればいつも乾いた温かい靴で出かけることができます。

2.玄関アプローチと雪対策
玄関ポーチへの階段は低めに
玄関ポーチへ上がる階段も、低めにしておくと上り下りが楽になります。
目安としては蹴上15cm・踏面30cm程度が理想的です。

玄関ポーチに手すりを設けておくと、足腰が弱くなっても楽に上り下りができます。

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スロープは早めに計画しておく
現在車いすを使用している方や、将来的に車いす生活になる心配がある方は、あらかじめスロープを設けておきましょう。
勾配の目安は1/12(水平距離12に対して高さ1)以下です。
例えばポーチの高さが30cmの場合、30cm×12=360cm(3.6m)のスロープが必要になります。

かなりの長さが必要になります。
スロープを付けるかどうかわからない場合や、広さがあまり取れない場合は、将来多少急なスロープでも設けられるよう、ポーチを広めに取っておくなど、スペースを確保しておくと安心です。

雪が降る地域はスロープの雪対策も必要
雪が降る地域では、スロープに雪が積もったり凍結したりすると大変危険です。
以下の対策をあわせて検討してみてください。
・屋根・庇(ひさし)を設ける
スロープの上に屋根や庇を設けて、雪が直接積もらないようにするのが効果的です。
吹雪などで雪が巻き込んでこないよう、屋根だけではなく壁などで全体を覆えるのが理想的です。

・ロードヒーティングを入れる
玄関ポーチやスロープに「ロードヒーティング(融雪設備)」を入れておくと雪かきの手間が大幅に減ります。
電気式・温水式どちらもあり、スロープのみのような狭い面積では電気式、駐車スペースも入れた広い面積では温水式(ガス、灯油)のほうが一般的にはお得といわれています。
設置する場合は、工事店に工事費用や維持費用を含めて相談するのが良いかと思います。

・滑りにくい素材を選ぶ
タイルや石材は濡れると滑りやすい素材もあります。
スロープや玄関ポーチには滑り止め加工のある素材を選びましょう。

車いすでの移動時の振動を軽減するスロープ専用のタイルも販売されています。
3.カーポートから玄関まで濡れずに入れる配置
天気の良くない日は、駐車スペースから玄関までの距離が短いほど、雨に当たらずに移動できます。
また私の住む北海道のような積雪地域では、雪かきの負担が軽減されます。
雪かき自体が体力的に難しくなってくる年齢を考えると、「除雪が少なくてすむ外構計画」は老後の間取りと同じくらい重要です。
カーポートと玄関を屋根でつなぐ
道路から玄関まで距離がある場合は、カーポートを間に配置することによって雨や雪に当たらずに移動できます。
除雪する範囲を最小限にすることもできます。

車庫と玄関をつなげる
車での移動が多い生活であれば、車庫と玄関を接続してしまう間取りも有効です。
雨にあたらずに乗車できるほか、荷物の移動が楽になります。

上の間取り図のようにシューズクロークを介して、玄関とガレージを接続する間取りは、車の排気ガスや音も軽減できます。
シューズクロークがあると、玄関が靴やコートで乱雑にならずすっきりするメリットがあります。
ガレージのドアは防犯や断熱の高いものを
ガレージと住宅の間のドアは、断熱性と防犯性のあるものをおすすめしています。
一般的にはサッシのテラスドアを使うケースが多いですが、断熱性は確保できるものの鍵が簡易的なものになりがちです。

そこでおすすめなのがアパート用の玄関ドアです。
デザインはシンプルですが、寒冷地用もあり断熱性が高く、2ロックで防犯性も高く安心です。
価格は一般的なサッシのテラスドアよりは高くなりますが、住宅用の玄関ドアと比べると割安になります。

メイン玄関とガレージの鍵を同じものにしておくと、2つ持ち歩かなくて済むので楽です。
工事店に頼んでおきましょう。
4,まとめ
- 玄関の上がり框は低めに。ベンチと手すりを設けると靴の脱ぎ履きが楽になる
- 車いすの使用を考えると玄関は広めに計画しておくと安心
- 温暖地では引き戸の玄関ドアが便利。寒冷地では風除室という方法も
- 玄関の床暖房は雪対策に有効
- 玄関ポーチへの階段は低めに。手すりも設けておくと安心
- スロープは緩やかな勾配に。新築時にスペースを確保しておくと将来助かる
- カーポートから玄関まで屋根でつながる配置にすると雨や雪の日も安心
- 車庫と玄関をつなげる間取りは荷物の移動も楽になる
- ガレージのドアは断熱性・防犯性の高いものを
体に負担が少ない家は、明るく健康的に過ごすことができます。
老後のことは「まだ先の話」と思われるかもしれませんが、若いうちに建てる家にシニア向けの工夫をひとつ取り入れておくだけで、長く快適に暮らせる家になります。
ぜひ家づくりの参考にしてみてください。
過去の参考ブログもどうぞ!
・玄関ドアにはいろいろ種類があります。

・シューズクロゼットは雪国では使い勝手が良い

・雪かきの少ない間取りをより詳しく

・パート1を読み返す

今回のブログが少しでも皆様の間取りを決めることの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの間取りがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
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・ブログを書いている設計士の紹介
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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
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