住宅のデザインで、人気のある一つに鉄筋コンクリート(RC)造の住宅の、打ちっぱなし(打ち放し)の外観があります。

無機質でクールなイメージの家ですよね。

今回は、コンクリートの打ちっぱなしのデザインと、デメリットの解消方法をお伝えします。

打放しコンクリート

目次

1,コンクリート打ち放しのデザイン

近年、コンクリートの素材を使い始めた

2,コンクリート打ちっぱなしのデザイン

(1)オシャレなコンクリートの素材の外観

(2)コンクリート打ちっぱなしのの外壁のデメリット

3,コンクリート住宅のメリットとは

4,北海道札幌のコンクリートの注文住宅で失敗しない注意点

最後に

化粧型枠を使ったコンクリートRC住宅の外壁

 

1,コンクリート打ち放しのデザイン

 

人気のきっかけ

 

・コンクリートの打ち放しの建物と建築家

コンクリート構造は20世紀に発明された比較的新しいものです。

20世紀前半に海外の建築家が、コンクリートの打ちっぱなしのデザインを使い始めました。

日本では、海外の有名な建築家「ル・コルビジェ」さんの弟子の「前川國男」さんなど、採用され始めました。

また、欧米でも人気の建築家、安藤忠雄さんが、「住吉の長屋」という作品が、打放しコンクリートのデザインで、有名になりました。

 

・一般に知れ渡ったのは、皇后さまのご実家の住まい

一般に知れ渡ったのが、今の皇后さまのご実家からでした。

建物が鉄筋コンクリート住宅で、婚約の際など、連日、家をバックに報道され、打ちっぱなしのモダンなデザインに人気が出ました。

それまでは、建築家などの設計の住宅以外は、塗装仕上げが一般的でした。

打ちっぱなしの家があっても、お金が無くて、塗装できなかったという認識が多かったのです。

皇后さまの実家を見られた後は、塗装仕上げより打放しのコンクリート住宅が急に増えました。

テレビ撮影

今週末、即位の祝賀パレードも予定されていますね。(注、2019年11月のブログです。)

 

2,コンクリート打ちっぱなしのデザイン

 

(1)オシャレなコンクリートの素材の外観

 

・コンクリートの打ちっぱなしは、いろいろ種類がある

コンクリートの打ちっぱなしというと、少し光った美しいものをイメージされる方も多いかもしれません。

これは、コンクリートを打つ際の型枠の表面に「つるっ」とした仕上げになる加工した、パネコートと呼ばれるものを使用するからです。

コンクリートの打放仕様のパネコートの型枠

パネコートの型枠

・通常の型枠では、表面がざらざらした仕上げになります。

昔の建築家の作ったコンクリートは、普通の型枠を使って、ざらついた荒々しい質感のデザインのものが主流でした。

今は、パネコート型枠を使った、表面が少し艶のある感じの、クールな都会的な、コンクリート住宅のイメージになると思います。

コンクリートの表面の違い

・パネコート以外に、化粧型枠と呼ばれる様々なデザインの模様も出来ます。

デザインをつけるには、型枠に、木の板目がわざと出るようにしたり、模様のある化粧型枠、打設後に表面を叩く仕上げ方法などもあります。

木の目のあるコンクリート化粧型枠

住理工商事

https://www.corp.sumiriko.co.jp/enterprise/infrastructure/moldstar/moldstar-tss/

札幌パルコの外壁

札幌パルコは化粧型枠の上に、塗装で仕上げたものです。

札幌パルコの化粧型枠

また、デザイン的には、曲面を取り入れたり、スリットと呼ばれる空間(隙間)を付けたりするなども出来ます。

我が家では、丸い穴のスリットを付けましたら、子供が野球のボールを壁にあてる練習で、間違ってこの隙間を通したしたことがありました。

思わず、アニメの巨人の星飛雄馬を思い出しました。(年代が分かってしまいますね(笑))

コンクリートの丸いスリットと野球ボール




(2)コンクリート打ちっぱなしのの外壁のデメリット

 

・コンクリート自体には防水機能は完全ではない

良くある誤解で、コンクリートは防水機能があるように思われています。

木と比べると防水は、あるかもしれません。

でも、長期間、水圧をかけると、浸透してしまします。

 

・屋上は防水が必要

その為、ビルやマンションなどの屋上は、水泳プールのように、防水がされています。

一般的にはアスファルト系のシートによる防水が行われています。

コンクリート住宅の屋上防水

自宅の屋上防水の保護塗装は、1自分で行いました。

 

・打ちっぱなしコンクリートは保護をしないと傷みやすい

外壁も、雨の侵入対策をしなければなりません。

一般的には撥水材を、表面に塗っている場合が多いです。

ただ、防水層がコンクリートの表面ではなく、性質上、コンクリート内部で出来る為、表面が傷みやすいデメリットがあります。

その為、5,6年もすれば、カビや黒ずみなど多く見られるようになります。

傷んだコンクリートの壁

 

・改修用に販売されている打ちっぱなし用の塗装を行うと効果的

この黒ずみを消して、新築と同じような外観に出来る、専用の塗装材があります。

塗装と同じくコンクリートの表面(外側)で防水層が出来るので、黒ずみも出来ずらく、長持ちもします。

これを新築時からしておくと、痛みも少なく外観も、美しさを保ちやすくなります。

塗装と言っても、我が家でも使用していますが、近くまで行って見ないと違いは判りません。

注文住宅で建築される際は、お勧めです。

コンクリート打ちっぱなしの塗装メーカー

菊水化学工業

https://www.kikusui-chem.co.jp/products/catalog/cat_86sa_31.pdf

 

・札幌では、ひびわれの凍害対策にもなる

北海道札幌のような寒冷地では、冬はマイナス気温になります。

コンクリートの表面に、小さなひび割れがあると、そこに水が入って、冬凍って割れて、大きくなってきます。

それは内部で機能する撥水材では、ひび割れが対応できません。

打ちっぱなしの塗装であれば、表面で防水できるので、細かいひび割れにも対応できます。

札幌のような寒冷地では、特にお勧めです。

鉄筋コンクリートRCの打ちっぱなしの外壁

ひび割れには、誘発目地という対策も必要です。

目地で、デザインを取ることも可能です。




 

3,コンクリート住宅のメリットとは

 

・地震や火事など災害に強い

鉄筋コンクリートは、頑丈で長持ちな建物です。

その為、地震や竜巻、燃えずらいので火事に強く、災害に強いメリットがあります。

火事

・長持ちで維持メンテナンス費用が安い

法定耐用年数が47年と木造の23年と比べ長く、住宅ローンが終わる20,30年での建て替えの心配がありません。

建物が傷みずらいので、構造的なメンテナンスの大規模修繕の心配がありません。

価格も木造より高いですが、維持メンテナンス費や耐用年数を考えると、長い目で見ると経済的ではあります。

ちなみに、外壁、屋上防水のメンテナンスは必要です。

外壁のコンクリートを保護するためには、打ち放しよりタイルの方が、厚みがあるのでメンテナンス費用は安くなります。

(タイルは、シート張りになって作業性が良くなったので、建築費も安くなっています。)

 

・間取りのメリット

重たいコンクリートは防音性に優れているので、オーディオルームやピアノ教室なども作りやすく、騒音がある場所や2世帯住宅の生活音の解消に効果的です。

構造的に頑丈なので大きな部屋、天井を高くなど大空間が作れたり、屋上バルコニーなどが出来るのも特長です。

 

札幌のコンクリート住宅のバルコニー

 

4,北海道札幌のコンクリートの注文住宅で失敗しない注意点

 

・断熱と結露対策が大切です。

先の安藤忠雄さんの住吉の長屋の設計は、外壁だけでなく、内部もコンクリート打ちっぱなしでした。

さすがに、本州でも断熱されていないと寒く、家の中でも防寒着を着て生活してるようです。

(安藤さんは、建築当初、「寒いけど、頑張って、体鍛えて住んでください」と言ってたそうですが、近年は、もう暖かい家に改装されてはどうですかと、オーナーさんにはお話されていることのようです。)

北海道は、断熱しないとさすがに無理ですが、コンクリート住宅をあまり知らない住宅メーカーや工務店に依頼すると、断熱が悪い場合が多く、寒くて、結露などで後悔することになります。

(北海道札幌のフラット35の一般断熱基準では、高断熱にはならないです。)




最後に
失敗しない為には、実績の多くある住宅会社や設計士に依頼することが大切です。

現場監督と建築設計事務所の設計士

ちょっとクールなコンクリートの外観を好きな人は多いかと思います。

多くの建築家さんの建物でも多く採用されています。

住み心地も良くしたい場合は、慣れていない設計設計事務所や工務店に依頼すると、住んでからのクレームが多いと聞きます。

デザインと性能のバランスが大切ですので、依頼するときは、外壁の注意点や断熱など詳しい設計士に依頼されたほうが無難な建物です。

ちなみに、当設計事務所では数多く手掛けています。(私の自宅もRC住宅です)

(今回は自宅の外観写真を一部使用いたしました。(ちょっと事務所のCMでした(笑)))

木造では出来ない外観や間取りも作れますので、詳しい設計士にいろいろ相談してみるのが良いかと思います。

 

下に設計士が書いたちょっと変わった過去のブログを載せています。

参考にご覧いただければと思います。

 

・欧米と日本の間取りの違いは

欧米と日本の間取りの違いは。1、リビングの位置が違う。

・テレビに住まいのヒントが

理想は「家、ついて行ってイイですか?」で注文住宅の間取りは失敗しない

・大空間の造れるRC造は、コンセントの配置も大事

注文住宅で後悔しない電気配線、照明②~失敗しないコンセント位置(後編)

・鉄筋コンクリートで作られた神田明神と、建築家コルビュジェの話のブログ

木田保造さんの件に、ご協力をいただき感謝します。神田明神とコルビジェと不思議な巡り合わせ

・ル・コルビジェさんのお弟子さんの前川國男氏の自邸を見に行ったブログ

現代でも、十分に生かせる昭和の家~家族と向き合うリビング

・札幌の平屋の間取りプランのブログ

平屋でおしゃれな設計の注文住宅①間取りのヒント編

・火災から街を守った鉄筋コンクリート造の話

北海道函館のコンクリート建築を見てきました~木田保造を巡るお話(完結編)

 

・デザインで失敗しないコツ

「注文住宅のデザインで失敗しない」にもほどがある。1,窓の位置、形

 

今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。

 

 

・ブログを書いている設計士の紹介

 

打ち合わせの様子

田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所「ライフホーム設計」代表

間取りの悩みをスピード解決する「住マイル設計士」

*注文住宅の主としたハウスメーカーで営業設計を経験し独立。

「一級建築士としての建築知識」と「税金や融資、登記や不動産の知識」も併せ持つ設計士です。

貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

詳しいプロフィールはコチラ

 




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