完全分離型二世帯住宅で、税金や住宅ローン(融資)で失敗後悔しない間取り図
二世帯住宅でも、完全分離型の間取りは、同居型と比較して、人気があります。
ただ、少しの間取りの差で、税金が大きく違ってくる場合があります。
また、間取りによっては住宅ローンが借りられないことがあるので、注意が必要です。
それらで、「失敗」「後悔」しない為の,「完全分離型」二世帯住宅のブログを書いてゆきます。
目次
間取り編
完全分離型二世帯住宅で、税金や住宅ローン(融資)で失敗後悔しない間取り
(1)完全分離型2世帯住宅のデメリット対策
(2)完全分離型で「失敗」「後悔」する間取り図とは
(3)完全分離型二世帯住宅で、成功する間取りとは
税金編
一戸建て完全分離の二世帯住宅の税金対策
(1)両世帯がそれぞれ軽減が受けられた場合の不動産取得税のメリット
(2)固定資産税にも大きなメリットが
(3)税金の軽減を受けるには、お互い独立した生活が出来ることが大切
札幌市の間取りの規定
ポイントとまとめ
付録、完全分離型の約50坪で2350万円の間取り図
終わりに
*かなり長文ですので、飛ばして読んでいただいて結構です。
間取り編
(1)完全分離型2世帯住宅のデメリット対策
1,完全分離型のメリットは、ストレスが少なく2世帯の注文住宅で人気のある間取り
二世帯住宅で、設備を共有するかしないかで、家族のストレスが違ってきます。
別々のキッチンや浴室がある方が、生活時間が違っていても、お互いに気兼ねなく生活できます。
そのため、嫁姑のトラブルも少ないと言います。
同居型でも、うまくいってるケースは、沢山ありますが、傾向として分離型の方が、気を使わなくて、うまくいくようです。
2,完全分離型は、建物面積が増える為、容積率などで、希望の間取りが取れない場合がある
完全分離型は、玄関やお風呂、洗面所、トイレ、キッチンなどの設備機器の設置スペースが、2倍に増える為、住まいも大きくなり敷地が狭いと床面積(容積率)など制限が出てくる場合があります。
その為、間取り設計において、部屋数を減らしたり、部屋の広さを狭くする必要があったり、場合によっては完全分離では建築できないケースも出てきます。
3,完全分離型の方が、共有型と比較すると、住宅建築費用(価格)が高くなるデメリットが
分離型のデメリットとすると、別々な設備機器を付けるので、共有型と比較して、建築費が多くかかることです。
また、設置スペースの分の坪数も増える為、家の建築価格が高くなります。
4,建築費が高くなると、その分、税金も高くなるので、対策が必要
建築価格が上がると、不動産取得税や固定資産税の建物の評価額も上がり、税金も高くなります。
分離型は、住んでからの維持費を安くする対策の必要性が出てきます。
(2)完全分離型で「失敗」「後悔」する間取り図とは
1,建築基準法の共同住宅(マンションなど)の扱いを受けると建築費が上がる
建築基準法上、住宅は自ら家族が住む「一戸建て」と、隣の家と壁だけ共用する「長屋建て」と、マンションのような「共同住宅」に、大きく分かれます。
住宅でも、1棟でも2戸あるようなアパートのような間取りは、一戸建てとみなされません。
市町村の条例によって変わるのですが、札幌市の場合は「一戸建て」より「長屋」「共同住宅」の方が、避難や消防など規定が厳しくなります。
(「一戸建て」<「長屋」<「共同住宅」の順で)
これは、厳しさの大小はあったとしても、ほかの都市でも変わらないかと思います。
その為、一戸建て住宅よりも、それ以外の住宅は、建築費用が余計にかかります。
たとえば、共同住宅は、火災を起こさせないような防火規定(網入り防火サッシ、燃えない構造など)や、避難規定(階段幅の規定、消防設備(火災警報装置、消火器)など)があり、費用が多くかかってしまします。
二世帯住宅においても、住む人が家族であっても、確認申請の審査で、間取り図が「一戸建て」として、見なされない設計は、「長屋」「共同住宅」とされてしまい、建築費用が高くなります。
共同住宅になると「避難はしごが」必要な場合も
家にあっても良いかもしれないが、結構大きいので邪魔かも(笑)
2,長屋建、共同住宅の扱いを受けると、住宅ローン(融資)が借りずらくなる。
銀行の住宅ローン(融資)は、個人住宅を基本にしていて、一人一住戸しか貸してくれません。
確認申請などで、共同住宅の取り扱いを受けると、2住戸になり、2人の借入者が必要になります。
一人の人が、1棟分を借入される場合は、アパートローンなどの事業用融資の扱いになります。
アパートローンは、返済期間が短く、返済計画が、住宅ローンより厳しい審査になります。
いずれにしても、共同住宅扱いの融資を利用する場合は、少し複雑になってしまいます。
親子間で資金計画をきちんとしておかないと、トラブルの原因になるので注意が必要です。
(3)完全分離型二世帯住宅で、成功する間取りとは
1,完全分離型は、デメリットの多い「共同住宅」に見えない間取りにすることが大切
完全分離型の2世帯住宅は、建築基準法の共同住宅の扱いになると、先の通り、建設費が余計にかかり、融資も借りずらくなります。
簡単に他人に貸せる間取りの注文住宅は、長屋や共同住宅に見なされやすいので注意が必要です。
共同住宅にならない「一戸建て」住宅の設計にするには、世帯の間で、どこかで、行き来が出来るようにします。
親世帯、子世帯の住戸との間に、ドアなどを付けて、行き来ができると一つの家族が住む家とみなされます。
そうすることによって、建設費が安く抑えられ、住宅ローンが借りやすくなります。
2,行き来できる場所の考慮は必要
間取り対策のドアの設置場所は、後ほども記述しますが、完全分離型2世帯として見なされるように、考慮が必要です。
お互いの会話が、聞かれるかもしれない部屋同士での場所も、うまくありません。
壁に耳あり、障子にメアリー
税金編
税金は少し難しいので、飛ばしてお読みいただいても結構です。
(1)一戸建て完全分離の二世帯住宅の税金対策
完全分離2世帯住宅は、建物が大きくなりがちなので納める税金が大きくなります。
その為、不動産取得税や固定資産税の軽減処置を受けれる間取りが望ましいと思われます。
建築基準法で一戸建てであっても、税金の取り扱いで二戸分の控除される場合があります。
親世帯、子世帯それぞれ軽減を受けられる間取りになると、大きなメリットになります。
(2)両世帯がそれぞれ軽減が受けられた場合の不動産取得税のメリット
1,不動産取得税は240㎡までが、軽減処置が受けられる
不動産取得税(新築した時にかかる税金)は、固定資産税評価額*3%です。
住宅の床面積が50㎡~240㎡(73坪位)だと1200万円の軽減処置が受けられます。(令和2年3月現在)
2,不動産取得税で、一戸の建物で2世帯住宅と認められれば、最大72万円の控除
面積要件など認められれば、不動産取得税=「固定資産税評価額−控除額(1,200万円)」×3%、になります。
間取りなどで、2戸の住戸とみなされる間取りだと、1200万円*2世帯分(=2400万円)、
つまり1200万円*2戸*3%=72万円と倍の税額控除になります。
3,間取り対策で、240㎡以下の2世帯で、差額で36万円分のメリット
間取り対策をしない完全分離型2世帯住宅は1戸だけなので、対策しないと36万円の税額控除(1戸分の1200万円*1戸*3%)しか受けられません。(総面積が240㎡以内の場合)
対策をすることによって、最大72万円分まで控除されます。
差額として36万円(72万円ー36万円)もの大きなメリットが受けられる場合があることになります。
4,240㎡以上の大きな完全分離型二世帯住宅で、間取り対策をすると72万円の大きな控除のメリットが
総面積が240㎡を超える大きい分離型二世帯住宅でも、それぞれの住戸が240㎡以下であれば、間取り対策をすると、この控除が受けられるので、最大72万円もの節税できることになります。
72万円税金がかかるところが、0円になるメリットは大きいと思います。
北海道「住宅の取得に係る不動産取得税の軽減措置(住宅を新築した場合)」のホームページ参照
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/zim/keigen/keigen205.htm
(3)固定資産税にも大きなメリットが
固定資産税においても、軽減期間は間取り対策を行っていると、メリットが出てきます。
固定資産税の軽減の面積要件は50㎡~280㎡(85坪位)と、不動産取得税(240㎡)より少し広めです。
条件を満たせば、1戸あたり120㎡まで部分の固定資産税が、3年間(条件によって5年間)は1/2に減額される軽減措置になります。
これも、不動産取得税と同様に、間取り対策を行えば、それぞれの世帯で軽減を受けられれば、大きな税金対策になります。
札幌市の新築住宅に対する減額措置「家屋の固定資産税・都市計画税」のホームページ
https://www.city.sapporo.jp/citytax/syurui/kotei_toshi/kaoku.html
固定資産税は、所有している間、市町村に納税する
(4)税金の軽減を受けるには、お互い独立した生活が出来ることが大切
建築基準法上の一戸建て住宅でも、完全分離型のような、それぞれの世帯で、独立した生活(炊事、トイレ)が認められる間取りは、2戸分の税金の軽減が受けられる場合があります。
これは、建築基準法と税金の2世帯(2戸)の解釈が違うためです。
(市町村によって地方条例などあり、すべての方に当てはまらない場合がありますが、札幌の場合は違っています。)
行き来が出来るドアの位置によって、独立性があるか無いかは、解釈が違う場合があるので、注意が必要です。
2世帯住宅の判定マニュアル
間取りは以前のブログも参照ください(このブログの下の方にもあります)
札幌市の間取りの規定
1,札幌の場合は、ドアにも規定があります。
札幌市の固定資産税課の方のお話では、軽減を受けるには、行き来できる建具も規定があります。
*こちらは明文化されてないので、ホームページでは差し控えさせていただきます。
当設計事務所にお問い合わせいただければと存じます。
札幌市の各区の家屋の固定資産税課に問い合わせても良いかもしれません。
ほかの市町村でも、間取り的に要件を満たしていて、何かの条件をクリアすれば、軽減処置は受けられるはずです。
でも、ヒントを兼ねて、ちなみに
2,ストレスにならない為、ドアに鍵があるとよい
プライバシーが良い、完全分離型なのに、ドアがあると、頻繁に姑さんや、孫が来られるとお互いに、ストレスになってしまうかもしれません。
ドアに鍵があると、行き来がしずらくなります。
仲の良い程度に、時間や曜日で開錠ルールを決めても良いかもしれません。
税金対策だけであれば、完全施錠でも良いかもしれません。
親の介護など、必要な時が来たらとかでも良いかもしれません。
また将来、人に貸すことを考えると、建具も開きドアの方が、遮音性が良いです。
2世帯住宅の成功のカギは、まさしく鍵かも。
ポイントとまとめ
1,設計士や役所の人も知らないことも多い
完全分離型の二世帯の間取り図の参考プランが、ハウスメーカーや工務店のインターネットなどで見ることが出来ますが、税金の控除を考えないで設計している例が多く見受けられます。
ちょっとの違いで、税金が大きく違うのでその辺をチェックしながら、参考プランを見つけるのも良いでしょう。
また、建物を評価する固定資産税課の方も、軽減処置し忘れるケースもあるかと思いますので、建築前の図面相談と建築後の調査に来た際に、確認しておくのがベストでしょう。
2,対策のまとめ
完全分離型の2世帯住宅は大きくなりがちなので、不動産取得税など税金も多くかかってします。
逆にそれぞれの世帯で控除が受けられる間取りは、2倍の控除額が得られるメリットが生まれます。
また、間取りでアパートやマンションの共同住宅として、役所に見なされてしまうと住宅ローンが受けられなくなる可能性があります。
税金のメリットと、住宅ローンも受けられる間取りとは
1,それぞれ独立した生活ができる
2,世帯間で、どこか1か所でも行き来が出来るドアがある。(ドア規定あり)
という事になります。
SUUMOの二世帯住宅のランキングでも完全分離型は、人気のある間取りです。
建築費用や税金の面でもメリットが受けられると、経済的にも助かるかと思います。
希望の間取りを作る際、税金のことも頭に入れながら計画されてみてはいかがでしょうか。
ちょっと難しいかもしれないので次の章に間取りを掲載いたします。
参考にしていただければと存じます。
付録、完全分離型2世帯住宅の実例
1,完全分離型2世帯住宅 約50坪(玄関別、2LDK+3LDK)
玄関も別でそれぞれの世帯で独立した生活が出来る間取りになっています。
また、それぞれの世帯の玄関ホールがドアでつなげています。
お互い行き来がしたくないなら、普段は鍵を変えるルールにしておくのが良いかもしれません。
2,参考までに工事価格は
札幌の工務店さんに見積もりしてもらいました。
建築価格2350万円(2585万円税込み)だそうです。
セントラル暖房、換気システム、照明器具など込み
但し、杭工事、水道引き込みなど現地(地盤)調査の結果によって費用が変わります。
詳しくは、メールなどでお問い合わせを。(価格は令和2年3月現在のものです。)
終わりに
最後までブログお読みいただきありがとうございました。
今回は、ちょっと難しかったかもしれません。
ご質問などございましたなら、お気軽にお問い合わせをいただければと存じます。
お問い合わせ先は、ライフホーム設計のホームページをご覧ください。
ちなみに、新規のプラン設計やお持ちの間取りにアドバイスをするサービスも当設計事務所では行っています。CMでした(笑)
皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
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2階にリビングがある間取りのポイントは
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今回は、2世帯住宅の税金のことを勉強し始めたきっかけのメルマガの内容でした。
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ライフホーム設計のブログを書いてる設計士のプロフィール
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
間取りの悩みをスピード解決する「住マイル設計士」
*注文住宅の主としたハウスメーカーで営業設計を経験し独立。
「一級建築士としての建築知識」と「税金や融資、登記や不動産の知識」も併せ持つ設計士です。
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。