北海道では受け入れられた設計は、昔、本州では違和感があると言われました。
でも、現在は、人気のあるデザインの一つになっています。
「北海道の設計は進んでいるのか。和洋風な家と札幌豊平館、①」の続編です。
https://lifehome-sekkei.com/index.php/2019/11/20/japanese-modern-1/
和洋折衷(わようせっちゅう)な住宅
最初の洋風の建物は、日本人に合わなかった
明治に、北海道の開拓使のために、洋風の官舎が建築されたそうですが、欧米の建物であったため、玄関がなく、入り口付近で、靴を脱ぎ履きして生活してたそうです。
そのあと、やはり使いづらいということで、日本人に合わせた和洋折衷の建物になってきました。
北海道では、和風と洋風の折衷は受け入れられた
和洋折衷でも、この頃は、洋間と和室は区画分けされていたそうです。
ただ、北海道は、混在した間取りも多かったそうです。
和室の中に洋室の建具(ドア)も多くみられ、内地(本州)の人から見ると、受け入れづらいものだったそうです。
写真は、札幌清華亭。
*前にブログで書いた名古屋の住宅もそうでした。
参考ブログ
「日本初の住宅メーカーの玄関は内開きであった~名古屋と京都の建物を見てきました。投稿日: 2019年8月8日」
https://lifehome-sekkei.com/index.php/2019/08/08/architecture/
和室は、襖で仕切るのが普通だったが、木の狂いによる欠点も
和室は、洋室のような木材の扉ではなく、襖紙や壁紙などの仕上げの襖が一般的でした。
襖の場合は、大工さんが、敷居など建具枠を作り、建具屋さんがその寸法に合わせて、建具(ドア)を制作します。
その為、大工さんの経験の差や、材料による乾燥収縮、襖紙の伸縮の違い(片面(和室側)が襖紙で、もう片面(リビング側)が壁クロスで違う材料を張ると、伸び縮みの差ででる)があって、反る(歪み)が生じやすいものでした。
(北海道では反るを「しのる」という(変換したら出てこなかった(笑))
意外と、雪の重みで扉の開閉に支障があった、このころの建物には、洋室の扉は、理にかなっていたかもしれませんね。
和室から洋室へ、そして和風モダンへ
昭和から現在までの和室から和風への移り変わり
昭和から平成前半まで、住宅では、リビングと和室は続き間の間取りが多かった
以前の注文住宅は、リビング(居間)の横に、床の間や仏間のある和室があるのが、一般的な間取りでした。
仏様を居間のそばにしたり、お客さん泊めたり、人を多く招いた際、続き間にして広く使っていたからです。
現在は、ホテルに泊まったり、人が集まる際は、別なところで食べたり、仏間も小さくコンパクトになってきました。
和室がバリアフリー化されてきたところに転換期が
昔の和室は、畳の分(6cm)くらい高く段差があるのが、一般的でした。
「敷居が高い」という言葉があるように、家の中で床の間のある和室を格式高くする風習があり、廊下と境界を作る意味でも、一段高くしていました。
ところが、住宅での事故などにより、バリアフリーにすることが、昭和の終わりころから勧められ、段差をなくしてゆきました。
*その頃、ほどんどの人が、住宅金融公庫からお金を借りており、融資要件がバリアフリー住宅が条件にされて、和室を作る際、段差を無くすことに拍車がかかりました。
(和室に段差を付けないことを、嫌がる方も多かったです。)
その頃から、格式が無くなってきた為か、皆が集まるリビング(居間)を充実させる要望が増えてきたように感じられました。
リビング中心の間取りになると、和室が洋室化
リビング中心の間取りになると、本格的な床の間や書院作りのある和室が減ってきました。
これは扉(襖)の高さも、1間(H1.8m)で造っていたものが、洋室扉の2m高さに揃えるようになり、「和」の中に「洋」が入ってきたため、ちぐはぐになって作りづらく面があったからかもしれません。
洋室のドアが2mになったため、和室の襖の高さも2mに揃え始めると、統一感のある洋室のドアを和室にも採用され始めました。
明治時代の北海道の和室の洋風化の違和感は、なくなってきたからかもしれません。
洋室ドアは、狂いが少ない
また、洋室ドアは、襖と違い、建材メーカーが工場で加工してくるため、狂いが少ないメリットがあります。
このため、採用するケースも増えました。
注文住宅においてのプランも、大きな幅の開口や、ドアの高さも高くすることが出来るようになり、設計の幅も広がりました。
*工場で製作された建具(ドア)は、狂いが少ないので、特注の大型背の高いドアも問題が少ない。
画像引用は建材建具メーカー「大建工業」*ダイケン畳としても、建築関係では有名です。
https://www.daiken.jp/product/detail/door/17110160.html
和室のデメリット、コストがかかること。
リビングを広げて、和室なしの間取りが増えた
襖のレール(敷居)などは、大工さんに作ってもらいます。
また、和室の窓には、障子を入れるのが一般的で、建具の数が増えます。
床も畳で、フロアー材より高くなり、床の間や仏間などを入れた間取りは、さらに費用がかさみます。
そんなこともあり、一戸建てでも和室のない間取りが増えてきました。
和室を無くして、そのかわりリビングを広くするプランが人気でした。
*昔は建て替えの際、床柱を再利用する要望の方が、多くいらっしゃいました。
和室が無くなると、くつろげる空間が欲しくなり、洋室が和風化され始めた。
ここは、私見になるかもしれませんが、和室が無い注文住宅の間取りになると、住まいに「和風」が求められるように感じました。
和室がない間取りで、くつろげる畳コーナーや小上がりなどをプランに要望される方が多くなりました。
内装も和風モダン化されはじめました。
カーテンではなく木製ブラインドや和紙のようなプリーツカーテンの採用も多くなりました。
画像は、ブラインドメーカー「ニチベイ」
https://www.nichi-bei.co.jp/
和室は洋風にモダン化
和室を作る際は、逆に洋風化されてきました。
和室の座敷飾りは、本格的な床の間は無くして、幅の広い床材(縁甲板)やカウンターなどで代用することも増えてきています。
また、窓の障子も、和風のブラインドやプリーツカーテンを使用するのも、最近は人気もあります。
以前、アルミのドアでリビングと和室の間を仕切ったこともありました。
明治時代にこんな建具(ドア)を使ったら、怒られてましたね。(笑)
北海道の昔の和室のあり方が、全国的になったのかもしれませんね。
最後に
ブログお読みいただきありがとうございました。
皆様の住まいが、より良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
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