出だしからトイレの話で申し訳ありませんが、ヨーロッパに行った際に小便器の位置が高くてつま先立ちした記憶があります。
私は身長が174cmなので日本人としては小さいほうではないのですが、そのことを妻に話すと「足が短いからでは」と言われ笑われました。(子供用の小便器を利用したほうが楽だった(笑))
欧米と日本では体格も生活スタイルも違うので、家の間取りも違ってくるところがあります。
目次
1,基本寸法が広い「ゆとりの住まい」
①、日本は尺寸法。欧米はインチ寸法
②、欧米はインチでゆとりのある空間
③、メーターモジュールやインチモジュールのメリットデメリット
2,LDKが二刀流の間取り
①、平日は家族でゆっくり会話を楽しむリビングダイニング
②、休日はゲストを招いてLDKでホームパーティ
③、LDKは広さも違う
④、日本では家族中心のLDK
最後に
1,基本寸法が広い「ゆとりの住まい」
①、日本は尺寸法。欧米はインチ寸法
・日本では910mmが基本寸法
日本では建物や部屋の広さを表すのに、何坪(つぼ)や何畳(じょう)と言います。
タタミの2畳の広さが1坪です。(30坪は60畳)
・一般的には尺モジュールと言われる
タタミ短辺の長さがメートル法で910mm(909mm)です。
尺貫法で3尺の910mmを基本寸法にしているため「尺(しゃく)モジュール(基本単位)」と言われています。
1坪とは、壺(ツボ)を何個置けるかではない。(笑)
・欧米では1200mm(1220mm)が基本単位
欧州では基本寸法が4フィートの1200mmになります。
(アメリカ合衆国はインチ表示の為、4フィートで1220mmが基準寸法と微妙に寸法が違っています。)
日本の尺モジュールより30cm長くなっています。
部屋の広さも同じ6コマでも、日本では6畳、欧米だと10.5畳の大きさになります。
日本では欧米の基準の単位寸法をインチモジュールと呼んでいます。
1インチは1フィートの12分の1
1フィートとは足の大きさ
ちなみに
1 inch(インチ)= 2.54 cm(センチメートル)
1 foot/feet(フット/フィート)= 30.48 cm(センチメートル)
1フィート=12インチ
1 mile (マイル) = 1,609 m = 1.609 km、
1 yard(ヤード)= 91.44 cm = 0.9144 m
1yard(ヤード)や1mail(マイル)などメーターに慣れていると紛らわしくてマイルますね。
米国では世界統一基準のメートル法を使用しないので、クルマのメーターもマイル表示
②、欧米はインチでゆとりのある空間
・基本寸法が違うので、廊下などのゆとりがある。
日本の家はかつて欧米から「ウサギ小屋」と呼ばれました。
これは、基本的な寸法が違う面もあったかと思います。
廊下などは、欧米の1200mmのほうが、荷物を持った時やすれ違う時、車いすでの移動も十分ゆとりがあって通れます。
・トイレも広くてゆとりがある。
日本のトイレの幅はあまり広くないので、手洗い器などを設置する場合、壁に埋め込んだりかなり薄型になっています。
海外のトイレは洗面台のような手洗い器を付けてもゆとりがあります。
③、メーターモジュールやインチモジュールのメリットデメリット
・メーターモジュールは日本と欧米の中間位の寸法
日本でも1m(1000mm)を基本寸法にするメーターモジュールのハウスメーカーもあります。
欧米の1200mmインチモジュールと比べれば狭いですが、尺モジュールよりは9cm分が広くなります。
屋外の9cmは対して広く感じませんが、屋内の廊下の9cmは広く感じられます。
2尺(60cm)モジュールだと狭すぎる
・狭小住宅と和室は尺モジュールの方が設計しやすい。
狭小地などに建つ狭小住宅の場合は、尺モジュールのような狭いほうが、寸法を部分的に変えられるので細かく設計できるメリットがあります。
また、インチやメータのデメリットは廊下やトイレなど広くなる分、リビングなどの部屋が狭くなりやすいところです。
このほか尺で作られているタタミや造作材を利用する和室は、尺モジュールのほうが設計や大工さんも慣れているので作りやすいと思います。
DAIKEN 和風造作材 https://www.daiken.jp/skirting/lineup/20100337.html
・欧米のインチやメーターモジュールで建築の場合の注意点
1000mmのメーターモジュールや1200(1220)mmの欧米のモジュールの方が、部屋が広くてゆとりが生まれます。
ただ日本では910mmの尺モジュールが一般的で、それに合わせた建材で流通しているので、違うモジュールの場合、価格(単価)が割高だったり、端材(余分な切れ端)が出るなど建築費が高くなる恐れがあります。
希望のハウスメーカーや工務店などに尺モジュール以外が出来るかなどの確認も必要です。
続いて、LDKの違いについてです。
2,LDKが二刀流の間取り
欧米では、平日は家族で一緒に過ごし、休日はゲストを招いてホームパーティとLDKを二刀流(2通り)の使い方をされているようです。
①、平日は家族でゆっくり会話を楽しむリビングダイニング
・食事は家族が一緒にする生活
欧米では夕食は家族そろってするのが一般的です。
お父さんも日本のように残業せず、定時で仕事をやめて帰宅して一緒に食べます。
欧米の映画では、お父さんが先にお祈りをしてから食事が始まるシーンは映画ドラマでも見ますね。
・楽しみながら食べられるようにダイニングは工夫
欧米では、食事の時間は大切とされ、家族で会話を楽しみながら行う習慣です。
その為、食事時間も長くとっており(平均40分くらい)、音楽や部屋の装飾、食器類など楽しめられるような工夫をしています。
アメリカではテーブルの真ん中に食べ物を盛った大きな皿やボールを各自取る夕食のスタイルが一般的です。
映画「未知との遭遇」では山の形にとりつかれた主人公が、大皿のマッシュポテト(ポテトサラダ)を、自分の皿に大きく盛り上げるシーンが印象的でした。
・欧米のキッチンは、簡単な食事で出来るテーブルがある
朝食や昼食など簡単な食事は、キッチン内の中にある小さなテーブル行うことが多いようです。
朝食用の食卓と、夕食の食卓と食べる場所が2つあるのが日本と違う点かと思います。
アパートメントなど小さい面積の場合は、一緒のケースもあります。
②、休日はゲストを招いてLDKでホームパーティ
・欧米では休日はお客を招いて、一緒に食事をする習慣
欧米では、休日に親しい仲間(もしくは親しくなりたい人)や家族を招いて、一緒に食事をしたり、ホームパーティを行う習慣があります。
映画などでも、大人数で食事するシーンを見ます。(アメリカ映画では立食、欧州では着座ですかね)
イタリア映画は料理に目が行ってしまいますね。
・欧米の人気の間取りは、ゲストをうまくもてなせるか
欧米では、注文住宅や中古住宅を購入する際、家の間取りでゲストが来たとき、うまくおもてなしが出来るかを気にします。
キッチン、ダイニング、リビングへとゲストをうまく誘導できるかがポイントになります。
ドイツではバーベキューが出来る庭への動線も気にされるようです。
欧米では、LDKは平日と休日の2通り使えるようにする間取りが良いようです。
③、LDKは広さも違う
・欧米のキッチンは、日本よりかなり広い
欧米の台所は、日本よりかなり広く、大型オーブンも2つあるなど珍しくありません。
大人数を招くことを想定しているかと思います。
オープンキッチンのイメージ強い欧米の台所ですが、壁付けのキッチンも多く、L字型やコの字型のキッチンなど様々です。
・LDKは20,30年前はそれぞれ独立した間取り
かつて欧米の間取りはリビングとダイニング、キッチンはそれぞれが独立した間取りが一般的でした。
ホームパーティの際、料理を作っている様子や臭いが行かないように、キッチンとダイニングは分離していたことのほか、平日に家族でゆっくり食事をする目的もありました。
家族で落ち着いて食事と会話と楽しんだ後、リビングで過ごすのが慣習だったようです。
・最近は壁や仕切りがない間取りが人気
最近は「オープンフロアプラン」といって、ゲストを招いた際にダイニングからリビングへスムーズに移動できるよう、LDKが壁や仕切りの無い間取りに人気があり、住まいも変わってきています。
玄関開けたら、リビングダイニングキッチンが丸見えというプランもあるようです。
欧米の映画やドラマのダイニングを見て、古い間取りかどうか気にして観てみるのも面白いかもしれません。
・ちなみに暖かい断熱の家になったことも要因(札幌も)
欧米の住宅は日本より断熱性能が優れ、冬暖かな住まいです。
その為、オープンな間取りに変わってきたのかもしれません。
ちなみに私の住む北海道札幌市の家も断熱性能が高いので、開放的な間取りの設計が人気があります。
パナソニック照明https://sumai.panasonic.jp/lighting/
閑話休題
④、日本では家族中心のLDK
・日本ではコンパクトなオープンキッチンが人気
日本ではリビングダイニングキッチンが一体化した間取りが一般的です。
特にキッチンとダイニングの距離は近く、配膳や後片付けの家事動線が短い動線の間取りが多いです。
またキッチンは家族と対話しながら調理したり作業ができる対面式やオープン型が人気です。
広さは、4.5畳や5畳くらいが一般的で、食器棚や家電製品がコンパクトにまとまっています。
家族が使いやすい動線の間取りが人気です。
・最近は日本でも小上がりなどLDKに工夫が
平日は、残業のお父さんや習い事のお子さんで帰宅時間がまちまちなので、家族そろって食事することが少ないと思います。
そのため休日に皆がそろって楽しく食事が出来るよう小上がりスペースや、庭でバーベキューが出来るウッドデッキの間取りも注文住宅では人気があります。
ホームパーティがない日本では逆に、独立したダイニングを作って、テレビの音のない家族の会話を楽しむ間取りも良いかもしれませんね。
小上がりスペースを作って、休日は家族と食事と会話を楽しむ。欧米並みに2つのダイニング
最後に
・欧米化する日本の間取り。違いを見るのも面白い
住まいもだんだん違う形ではありますが欧米化してきています。
たとえば高齢化社会に向けて、車いす対応できる廊下やドア幅を広く希望する傾向があります。
また、休日に家族で食事を楽しめる工夫のほか、平日に簡単な食事が出来るダイニングカウンターの間取りが増えてきていることに現れています。
逆に日本の間取りを取り入れた欧米の家も見ます。
和室のある海外の家など見るとちょっと違うなとも思いますが、嬉しくも感じます。(尺モジュールじゃないから?(笑))
注文住宅を建てる際に、なにかヒントになることがあるかもしれないので、映画やドラマを通して見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
ここから設計事務所のCMです。
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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