最近の注文住宅の間取りは、30坪前後の広さが人気があり増えてきています。
そこで今回は、30坪の広さで失敗しない階段やレイアウトの間取りの作り方のことを書いてゆきます。
狭小住宅の参考にもなるよう、参考の間取り図も、多く載せますので、どうぞお読みいただければと思います。
目次
30坪の住まいとは
1,30坪は「2LDK」から「5LDK」、「平屋」「2階建て」「3階建て」など幅広く対応。
2,30坪のメリット、デメリット
おしゃれな間取りのポイント
1,優先順位を決める
2,動線計画を重視する
3,オシャレな内外装のおすすめ
30坪の間取りの参考例
(1)2LDKの平屋のバリアフリー(高齢者対応)の30坪の間取り(東、南玄関)
(2)3LDKの平屋の30坪の間取り(南、西入り玄関)
(3)3LDKの部分2階の30坪の間取り(東入り玄関)
(4)5LDKの総2階の30坪の間取り(西入り玄関)
(5)2階リビングの2階建30坪の4LDKの間取り(東入り玄関)
(6)総3階の3LDKの間取り(北入り玄関)
30坪で建てる場合のハウスメーカーや工務店選びのポイント
まとめ
「長文なブログなので、太字だけお読みいただいてもけっこうです。」
30坪の住まいとは
1,30坪は「2LDK」から「5LDK」、「平屋」「2階建て」「3階建て」など幅広く対応。
・5LDKまでなら十分対応できる30坪(99.17m2)
一般的な住宅は3LDKか4LDKですが、最近では新型コロナの影響で、在宅ワークが出来る小部屋を含めた5LDKの間取りを希望されることが増えました。
30坪の住宅であれば十分に対応可能です。
・シニア世代は平屋30坪が人気
30坪は2階建が一般的な建て方ですが、平屋や3階建ても建築が可能です。
子育ての終わったシニア世帯は、2LDKくらいの住まいで平屋建てを希望される方も多くいらっしゃいます。
平屋のメリットとして階段がない為、上下階の移動が無く、体への負担が少ないことがあります。
2,30坪のメリット、デメリット
・コンパクトな家なので建築費が安くなる。
総2階の4ldkでも、延べ面積が30坪と40坪であれば、建物が小さいほうが建築コストは安くなります。
総体予算を抑えるのにメリットがあります。
・住んでからも維持費が安い。
住んでる間にかかり続ける税金の固定資産税は、建物が小さいので安くなります。
また木造住宅で建築後の3年間(注1)は固定資産税を半額に出来る軽減処置がありますが、その要件は延面積が120㎡(36坪位)以下(注2)なので、30坪は税制のメリットを受けられます。
*注1(鉄筋コンクリート構造などマンションの耐火建築物は3年でなくて5年までです。
*注2(住宅の居住の床面積が50㎡から280㎡は軽減処置の対象になりますが、半額に出来るのは120㎡までの部分)
また建物が小さいので、冷暖房費も安くなります。(冬の長い北海道はありがたいですね。)
経年劣化によるサイディング張替えや屋根の塗り替えなどの維持メンテナンス費用も、面積が小さい分安くすみます。
コンパクトな家は掃除も楽。
・デメリットは設計が少し難しい。
30坪の限られたスペースの中に、欲しい要望や部屋数を多く取りたい場合、まとまらないケースがあります。
特に初めて家のプランを考えられる方だと、慣れていない為、少し難しく感じられる方も多いかもしれません。
作られた間取り図を見ると、やたら長い廊下だったり、変形した部屋や家の形が多く見られます。
設計に慣れていない方だと、間取り作りがデメリットかもしれません。
おしゃれな間取りのポイント
1,優先順位を決める
・家族の希望を最初に聞く
30坪の間取りは、ある程度の希望は取り込めますが、要望を全部を取り入れると少し無理が出てきます。
最初に家族で何を大事にしたいか話し合うことが大切で、優先順位を決めて間取りを作ると、失敗後悔しません。
・過去の例、
6人家族の家で優先されたのは部屋数よりリビング
1階の平面プラン
2階の平面プラン
6人家族(お子様4人)の方の家は、土地の坪数の関係で、住宅の坪数を30坪以内にする必要がありました。
お子様の部屋をすべて個室にすると5LDK(寝室(1部屋)+子供部屋(4部屋)になってしまいます。
家族が集まるリビングを広めにされたいとの希望を最優先され、お子様部屋は3部屋の4LDKにされました。
子供部屋を少なくしたのは、上と下の子供の年の差が10才近くあったので、将来、末の子が個室を欲しがる年齢になるまでに、上の子の誰かが家を出て行くというように割り切って考えられました。
2,動線計画を重視する
・廊下を少なくする
30坪で長い廊下の間取りは、リビングや寝室などが狭くなったり、部屋数が取れなることがあります。
なるべく廊下部分を少なくするのがコンパクトな間取りの理想です。
長い廊下は、ボウリング好きな家には良いかもしれないが。
・リビング中心の間取りで動線を短くする
マンションのようなリビングを中心にしたレイアウトの間取りは部屋数が取りやすくなります。
洗面所などもキッチンそばに廊下を作らず行けると、家事動線が短くなります。
トイレはリビングに面さないほうが良い。
・リビング階段も廊下がないので失敗しない。特に3階建て
リビング階段も廊下の少なくなる間取りになります。
登り口などの廊下スペースがリビングの一部になるので広くなります。
特に3階建ての場合は、10坪×3層なので廊下が多いとその分狭くなるので、リビング階段は有効です。
リビング階段は、家族と顔を合わせる機会が多いのでコミュニケーションでの面ではメリットがあります。
・2階の階段の位置に注意
2階も階段から部屋まで距離があると、廊下面積が広くなるので部屋が狭くなる可能性があります。
2階の中心付近に上がりきるのが効果的です。
2階に中心付近に階段を書いてから、間取りを考えるのも一つの手法です。
・収納も大切
家に物があふれるとおしゃれな空間になりません。
30坪の限られた空間なので、あらかじめ収納のことを考えておいた方が良いです。
小さいお子様のいる家庭のリビングは、小さくても良いので造り付けの収納があると不意の来客などの時に、遊んでいたおもちゃなどが隠せます。
また現在の住まいで溢れているものがあれば、それに対処した収納を設計に取り入れてゆくとスッキリとした住まいになります。
・家族共有のファミリークロゼットも考えてみる
玄関のシューズクロークや土間収納、洗面所のサニタリーランドリー収納は物が片付きやすく人気があります。
最近人気のファミリークロゼットも家族の同意が得られれば検討するのも良いです。
(自分の服は自分の部屋にある方がよい人も多い)
3,オシャレな内外装のおすすめ
・明るい部屋にすると広く見える。
30坪だと一つの部屋がそんなに広くとれません。
内装などを濃くし過ぎると、圧迫感があり狭く感じることがあります。
広く見せたい場合は明るめがおすすめです。
リビングの窓も大きめにすると、取り込んだ光で明るく広く感じられます。
パナソニック https://sumai.panasonic.jp/interior/floor/
内装は好みもあるので一概には言えませんが、明るい内装の方が広く見えます。
ただしあまり明るすぎると、目が疲れるので注意が必要です。
・天井を高めにするとおしゃれで開放的に
リビングなどを少し高い天井にすると、広がりが出てきて開放的な空間になります。
吹抜けまでの予算が無くても、部分的に高くする折り上げ天井も、アクセントになりおしゃれな空間に出来ます。
間接照明との組み合わせもよいです。
オーデリック https://www.odelic.co.jp/
・間接照明やハイドアも広がりが
天井を上げた場合などは、室内ドアをハイドア(背の高いドア)にするのも目線が上に上がって、広がりが生まれます。
・外観はごてごてしないほうがオシャレに
外観的にはそんなに大きくない30坪は、ごてごていろいろアクセントをつけるとうまく調和が取れないケースが多いです。
アクセントをワンポイント(多くてもツーポイント)付ける程度のシンプルな感じの方がまとまりやすくなります。
アクセントが多すぎると見ずらい外観に
30坪の間取りの参考例
間取りをいろいろシュミレーションしてみました。
(1)2LDKの平屋のバリアフリー(高齢者対応)の30坪の間取り(東、南玄関)
・すべて引き戸の平屋の間取り
年配のご夫婦を想定した30坪の2LDKの間取り図です。
将来のことを考え、車いすでも生活しやすいように、室内のドアはすべてバリアフリーの引き戸になっています。
スロープや玄関のベンチなど高齢者対応の住宅です。
年配のご夫婦では寝室を別にするケースも多いので、区分けできるようになっています。
買い置きできる食品庫(パントリー)など収納も充実しています。
(2)3LDKの平屋の30坪の間取り(南、西入り玄関)
・平屋のコミュニケーションの取れる間取り
平屋3LDKの南入り玄関の30坪の間取り図です。
シューズクローク(ウォークスルー型(通過式))パントリー、ランドリー収納など収納が充実しています。
子供部屋へはリビングを通過してゆく動線なので、顔を合わす機会が増える間取りになっています。
ダイニングに人気のスタディーカウンターがあります。
子供部屋は将来、リビングの続き間として利用できるよう引き込み戸になっています。
(3)3LDKの部分2階の30坪の間取り(東入り玄関)
・部分2階建てのぐるっと回れる間取り
部分2階建の小上がりを含めて3LDKの間取りです。
休日にしか家族がそろわない家庭では、小上がりを設けてゆっくり団欒(だんらん)できる間取りをご希望されることもあります。
家族専用のウォークスルー(通り抜け)式のシューズクローク(土間収納)があり、収納量も大きめです。
住宅展示場で多いぐるっと回れる回廊式(回遊式)動線の間取りになっています。
2階は廊下部分が少なくてすむ中央付近に上がれる階段の位置で考えています。
階段の登り口の位置を、玄関ホール側からLDKの方に持ってくればリビング階段にも変更できます。
(4)5LDKの総2階の30坪の間取り(西入り玄関)
・多目的ルームのある5LDKの間取り
総2階の31坪の5LDKの間取りです。
1階に、子供の遊び部屋や在宅リモートワークなど多目的に利用できる部屋を設けています。
リビング階段を建物の中央付近に設けていますので、2階に4部屋が取れました。
パントリーやタオル棚、シューズクロークなど小さいですが設けています。
2階トイレも設置しました。
リビングの横に扉で隠せる小部屋があると、不意の来客でもで散らかってる様子が見られません。
(5)2階リビングの2階建30坪の4LDKの間取り(東入り玄関)
・2階リビングの陽当たりの良い間取り
2階にリビングのある総2階の31坪の間取りです。
日当りの良い2階リビングは、敷地条件によってはメリットの多い間取りです。
1階に洋室3部屋があり、2階に洗面スペースを設けています。
玄関にウォークスルー(通過型)のシューズクロークを設け、新型コロナ対策に帰宅後すぐ手洗いできる洗面化粧台を1階に設けています。
2階にはリビング横に、在宅ワークスペースなど多目的に利用できる洋室の続き間を設けています。
子供が小さいうちは遊びスペース(不意の来客でも扉で隠せるドアがある)、学習カウンターに利用し、その後は書斎や家事コーナーなどに利用できます。
(6)総3階の3LDKの間取り(北入り玄関)
・3階建の2階リビングの間取り
3階建31坪の2階リビングの間取り図です。
1階に洗面所と寝室、2階LDK、3階に子供部屋と多目的ホールのある3LDKです。
2階と3階を上下そっくり入れ替えることも可能です。
各階の面積は10坪と小さいですが、玄関にシューズクロゼット、ランドリー収納、ウォークインクロゼットなど物入は充実しています。
2階のキッチン横にパントリー(食品庫)とカウンターのある家事コーナーを設けました。
敷地の形や方位によって間取りは変わると思いますが、ひとつのご参考としてお役に立ちましたならありがたいです。
ご要望に合わせた間取りもライフホーム設計では作ってます。
(お試しコースなら格安で、ホームページ参照)CMでした(笑)。
ブログは下段へさらに続きます。
30坪で建てる場合のハウスメーカーや工務店選びのポイント
30坪の注文住宅は、坪単価が高めなので資金計画の際には注意が必要です。
・建築費のポイント①
ハウスメーカーに価格を聞く場合は「30坪だといくらか」と尋ねる
ハウスメーカーや工務店は、35坪から40坪位を標準の坪単価にしているところが多く「お宅の坪単価の相場は」と聞くと、延べ坪が40坪前後の坪単価で答えられてしまいます。
坪単価は、坪数が小さいほど建築費の固定費(玄関ドア、キッチンなど面積が変わっても変動しない費用)の占める割合が大きくなるのですこし高くなります。
(建物は小さいので建築費そのものは安くなります。)
そのため、比較検討するのに、おおまかな建築費を聞く場合は「坪単価いくら」ではなく、「30坪位で総2階だと、付帯設備(電気、給排水工事など)も含めてトータルでいくら位か」と具体的に聞いたほうが資金計画が狂いません。
住宅展示場のモデルハウスの坪単価と、販売している住宅の坪単価は違うので注意が必要。
・建築費のポイント②
総2階より平屋建ての方が高くなる
ちなみに、総2階より平屋建ての方が建築費用は高くなります。
基礎の長さや屋根の面積が、2階建てと比べ、長く大きくなる為です。
坪単価で総2階と比べ、平屋建ては10万円から30万円位は高くしているハウスメーカーや工務店が多いです。
・間取りが、うまくいかない場合
工務店やハウスメーカーに間取りの依頼をした場合、希望の間取りが出てこなかったり、いびつな廊下や部屋が多かったりする場合があります。
多くの営業マンを抱えるハウスメーカーなどは設計の人数が足りない為、営業マンがプランを作ることも多く、希望の間取りが出てこないケースが見受けられます。
中には、自社の企画プランの間取りを強引に進めてくるケースもあります。
これはレイアウトがうまくいかずにコンパクトに間取りが上手く作れない30坪のデメリットかもしれません。
・住宅会社の設計士に間取りを直接頼む
対策として、建築予定の住宅会社の設計士の人に来てもらって作ってもらうのが良いかと思います。
対応してくれない場合は、知り合いに建築士さんがいれば相談したり、住宅を主に行っている設計事務所に間取りを相談するのも良いかもしれません。
また、当設計事務所でも行っていますが、信頼できる設計士さんに間取りだけ作ってもらったり、間取りの診断(セカンドオピニオンサービス)を利用するのも良いかもしれません。
実はコンパクトな間取りは、設計士にとってもお施主様の要望を一緒に考えて、実現させてゆく楽しみのある仕事でもあります。(私だけではないと思います。)
まとめ
30坪の大きさの注文住宅は、さらに狭い狭小住宅と比べ、まだ間取りにゆとりがあります。
ただ、「そんなに広くないから」と動線計画を無視したり、収納を取らなかったりする間取りも見ますが、生活すると使いづらい家なります。
まず家族で家づくりで何を優先させたいか話し合って、階段の位置や動線計画など注意し、ご自分で間取りを作ったり、設計士さんにご相談されて進めてゆくのが成功の秘訣かもしれません。
最後までお読みいただき感謝いたします。
このブログが少しでも参考になりましたなら幸いです。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせますように。
*ライフホーム設計の違うブログも、ぜひお読みいただければと思います。
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ここから設計事務所のCMです。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の設計業務に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
あなたの「思い」を「かたち」に「一緒に作る」注文住宅。
対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
北海道の札幌市近郊のの一戸建て、新築、建て替えの平屋建て、二世帯住宅など注文住宅の間取りのお悩みは、「ライフホーム設計」で個別相談を!(初回相談は無料)
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