前回の続きの「注文住宅のデザインで初心者でも失敗後悔しない」ためのブログです。

今回は、悩まれる方も多い、家の色の選び方「色決め」です。

でも、配色には失敗しない一定の法則があります。

 

カラーサンプル帳と家の模型

 

目次

1,ちょっとだけ前回のおさらい

2,街に調和させる

3,色決めで失敗しないには

4,失敗しない配色の法則

5,張り分けでおしゃれに見せる法則

6,最後に

 

派手な外観の家

 

 

1,ちょっとだけ前回のおさらい

 

人も建物も第一印象が大切で、最初に目につく部分が感じが悪いとポイントが下がってしまいます。

最初に目につくところは主に3つありあります。

1,窓の位置、形(デザイン)

2,建物の配色です。

3,建物の形(屋根)

今回は「2,建物の配色」についてです。

前回の「1,窓の位置、形(デザイン)」をお読みになりたい方は、こちらをクリック

失敗しないデザインにもほどがある~1,注文住宅の窓の位置、形

 

 

 

2,街に調和させる

 

周辺の色合いに調和すること

 

外壁の色合いは、周囲の環境に合わせることが大切です。

特に落ち着いた色合いの住宅地であれば、街中であれば問題ない色でも、変に浮いうことがあります。

 

伊勢神宮そばのスタバ

伊勢神宮そばのスターバックス

古い町並みの地域では、景観法などで色が規制されていることがあります。

 




 

 

3,色決めで失敗しないには

 

・色決めの成功のカギは、実際の建物を見る

 

建築関係のデザインの仕事でもない限り、家の色を注意してみることはないかもしれません。

失敗後悔しない色決めのコツは、数多くの建物を見ることです。

最初は雑誌やネットに出ている写真を見るのも良いかもしれません。

雑誌を読む人

 

 

・実物の一戸建てを見て回るのがベスト

 

ネットや雑誌に出ているものでイメージがつかめたら、実際に建築された家を見て回ることをお勧めします。

なぜなら、カタログや雑誌などの家は、住宅展示場のモデルハウスのような大きくて見栄えのする建物が多いからです。

一般的に建築される30坪40坪、3LDKや4LDKの総2階の注文住宅は、あまりホームページの施工例にも掲載されていません。

そのため、家を建てられる際は、実際に出来上がった建物を見て回ってイメージをつかみなおす必要があります。

また軽量鉄骨やツーバイフォー工法やデザインに特長のあるハウスメーカーの場合も、あまり一般的な大きさの建物はカタログ実例集に掲載されていません。

営業や設計の担当者に、同規模のユーザー宅を何軒かピックアップしてもらい、ドライブがてら外観を見に行くのが良いかと思います。

ドライブする家族

 

・こぼれ話

 

以前、新築される方がユーザー宅を見に行ったところ、親切に案内されたそうです。

その1年後、ご主人同士が仕事のプロジェクトで偶然再会し、そこで意気投合されました。

その後、お互いの家でバーべーキューしたりと家族ぐるみのお付き合いになったそうです。(私も時々呼ばれました(笑))

ホームパーティ

実際は、車の中からさっと見ていただくことが多いです。

 

 

・見るポイントは日当たり具合

 

日向(ひなた)と日陰の家では、同じ色でも見え方が変わります。

見学する家が北側道路で、建築地が南向き道路だと日中に見学しても日陰の外壁の色を見ることになります。

日が当たった状態を確認する場合は、朝日や夕日が当たる早朝や夕方などに見に行くのが良いかもしれません。

見学する家が南側道路で、建築する家が北側の場合も同じですね。

 

ヨーロッパの街並み

実は雑誌やホームページに掲載されている北側道路の家の写真は、早朝や夕方に撮影されています。

(雑誌はすべて日当たりの良い家になっていますよね。)

 

 

サンプル見本を取らないと失敗する

 

家の色のイメージが出来たら、住宅メーカーや工務店に外壁の実物のサンプル(見本帳という)を取ってもらい確認します。

雑誌の色と全然違うことがあります。

私たち設計士やインテリアコーディネーターでも「えっ」と思うことはかなりあります。

色のサンプル帳

 

 

・サンプルの色は、出来上がりと違うケースがある。

 

サンプルは小さいので、実際の出来上がると違って見える傾向があります。

そのためよくある失敗としては、思った色と出来上がりの色が違いすぎることがあります。

明るいサンプルはより明るく、暗いサンプルはより暗く見える傾向があります。

解決方法としては、ワンランク明るさを落としたり、明るくすることです。

もし気に入った色の家が実際に建築されていれば、見に行って確認しておくのが良いかと思います。

外観写真と外壁のサンプル

ニチハ株式会社 https://www.nichiha.co.jp/lp/fugepremium?utm_source=yss&utm_medium=cpc&utm_campaign=rlsa&yclid=YSS.1001051696.EAIaIQobChMI1_Cd5tOOhQMVa9oWBR0b2wrlEAAYAiAAEgL5hPD_BwE

 

 

・必見、外壁のサンプル帳は、家の中で見ない

 

外壁のサンプルは、屋外に出して見るべきです。

家の中の照明の色で見るのと、屋外で見る色はかなり違います。

特に電球色の照明では、全く違う色になります。

屋外で見る際は、日当たりの良い場所と日陰で色を確認しましょう。

太陽

 

 

・参考実例、サンプル帳での室内、屋外日向、日影の比較

 

画像だとちょっとわかりずらいのですが、同じサンプルを使って室内、屋外ひなた、屋外日影の違いを見てみましょう。

 

・室内で撮影したサンプル帳

室内のカラーサンプルの色

照明は蛍光灯の昼白色

 

 

・屋外、日なたで撮影したサンプル帳

屋外日向で撮影したサンプル帳

 

 

・屋外、日影で撮影したサンプル帳

屋外日陰で撮影したサンプル帳

実物で比較すると違いが結構はっきりしますので、ぜひ試してみてください。

 




 

 

4,失敗しない配色の法則

 

・一軒家の場合は、派手にすると数年で飽きがくる

 

外壁が塗装であれば、真っ赤や紫でも黄色でも塗ることは可能です。

ただ原色に近いと、街中ならまだしも住宅地では街並みに合わないかもしれません。

また派手な色合いは、最初のインパクトがあるものの飽きが早く来る傾向があります。

実際、かなり派手な色で塗られた方もいらっしゃいましたが、1年もたたないで「失敗した」とおっしゃられていました。

少なくとも10年くらいは飽きない色が良いかと思います。

札幌市の景観色70色カラーチャート

札幌市の景観色70色カラーチャートなら問題ないかもしれません。

札幌の景観色https://sapporocolor.jp/

 

 

・建材メーカーのサイディングは気に入った色でOK

 

建材メーカーのタイルやサイディングは、比較的無難な色が多いのでお好みで選んでもあまり失敗しません。

ちょっと柔らかい暖色系の色(茶系)が定番ですが、最近は、モダンなモノトーン系も人気があります。

サイディングにはシャープな金属系の素材や柔らかい印象の石目調の模様もあるので、色に合わせて選ぶのも良いかもしれません。

サイディングの基本色

YKKap  https://www.ykkap.co.jp/

 

サイディングの住宅

 

 

・窓枠やシャッターのことも頭に入れて

 

窓枠の色やシャッターの色も大切です。

窓枠と外壁が同じ色であれば、柔らかい印象になります。

薄い色と濃い色の真逆の色相だと、窓枠やシャッターが強調されて、ちょっとしたアクセントになります。

 

 

・窓枠の色の違いによる実例

 

窓枠が白色の3階建ての住宅

上の図は窓枠などが白色の外観です。

ケイミュー https://www.kmew.co.jp/

 

窓枠や金物が黒色の3階建ての外観

上の図は窓枠や手すりなどが黒色の外観です。

同じ外観の建物ですが、上のほうが柔らかい印象ですが、下の図は窓枠などが強調されて、しまった印象になるかと思います。

白黒パンダ

 

 

・よくある失敗は窓とシャッターの色違い

 

サッシメーカーとシャッターメーカーが違う会社なので、同じ茶系やグレー系でも色が揃わないこともあります。

一般的に使用されている軽量シャッターにブラック色が標準色がないため、組み込み車庫の間取りは、オールブラック(建物全体を黒色)にできない場合があります。

 

樹脂サッシの標準色 YKKap  https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw330

樹脂サッシの標準色

 

 

下図が一般的な軽量シャッターの標準色 三和シャッター https://www.sanwa-ss.co.jp/products/000827.html

軽量シャッターの標準色

 

 

・黒色のシャッターは、グレードの高いものに設定がある

 

グレードの高いシャッターには黒色があります。

予算があれば、外観が統一することが可能です。

素材がアルミの静音シャッターという値段が高いものには、ブラック色があります。

 

 

・外観をオールブラック(黒色)で組み込み車庫の間取りは注意

 

予算が厳しい場合は、オールブラック色をあきらめざるをえないこともあります。

着工打合せは。間取りの後に色決めの場合が多いので、予算が捻出できずあきらめる方もおられます。

あらかじめ予算に入れておいてもらうよう、工務店さんに伝えておいたほうが無難です。

ブラック色は最近人気なので、後悔しないよう注意が必要です。

 

オールブラックの外観の注文住宅

ケイミュー https://www.kmew.co.jp/

 

 

・オーバースライダーのシャッターも注意

 

オーバースライダー(メーカーによってはオーバースライディングドア)式のシャッターは巻き上げ式と比べ故障が少ないのが特長です。

またスラットと言われる部材の1枚の幅が広くてカッコよいので、車好きやガレージライフを楽しまれる間取りの方には人気があります。

オーバースライダー

オーバースライダーシャッター(オーバースライディングドア)

文化シャッター https://bunka-s-pro.jp/product/flatpit/

 

ただ静音式のオーバースライダー式シャッターの中には、標準色がステンカラーの1色しかないものもあります。

静音のオーバースライダーの色

 

この場合もオプション色に黒色があるのですが、差額が数十万円アップと値段がアップになります。

この場合もあらかじめハウスメーカーに伝えておかないと、予算で失敗します。

 

 

オーバースライダーのオプション色

オーバースライダーのある家

ケイミュー https://www.kmew.co.jp/

 

 

・ガレージやカーポートの色も大切

 

注文住宅では、組み立て式のガレージやカーポートにするケースもあります。

敷地全体で見ると、ガレージやカーポートは建物の手前に置くケースので目立ちます。

建物の色とマッチングしていないと統一感がなく、全体的によく見えません。

外壁を選ぶ前に、カーポートやガレージ(シャッターも含めて)は、どのような色があるか確認しておいたほうが無難です。

カーポート

LIXIL カーポート https://www.lixil.co.jp/lineup/carspace/garage/

ガレージやカーポートもいろいろなメーカーやシリーズがあります。

 




 

 

5,張り分けでおしゃれに見せる法則

 

・張り分けは2つの法則を守れば失敗しない

 

一つの色でシンプルにまとめるデザインは、飽きも少なく人気があります。

またツートンカラーも、家に個性が出て人気があります。

でも色の組み合わせによって、センス良く見えないので注意が必要です。

ただツートンは法則がありますので、これを守れば失敗後悔が少なくなります。

 

 

・一つ目は、住宅の外壁は色相の近くする

 

色合いの近いものを並べた、色相環というものがあります。

一番離れた(向かい合った)色同士の組み合わせを、補色と言います。

補色はお互い引き立てますが、住宅の外壁は派手になりすぎる傾向があります。

それよりはなるべく近い色合いの組み合わせのほうが、センス良く見えます。

 

マンセル表色系の色相環

マンセル表色系の色相環

色相の近いツートンの外観の家

ニチハ https://www.nichiha.co.jp/

 

 

・2つ目は、濃淡(トーン)は差が大きくする

 

色のトーン(濃淡や明暗)によって、建物の印象が違います。

トーンは明るいほうが華やかで優しい感じがし、暗いほうが高級感や上品さがあるといわれています。

張り分ける際は、トーンの差が大きいほうがメリハリがついて失敗しません。

 

 

外壁の張り分けの法則

YKKap https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/products/articles/feature/015/

 

 

ツートンの外壁の注文住宅

ケイミュー https://www.kmew.co.jp/

牛

 

 

・張り分ける部分で個性を出す

 

外壁の張り分ける部分によって、デザインの個性が出ます。

 

・張り分け方はいろいろある。

 

オーソドックスなのは上下(1階と2階の間)の張り分けです。

また建物の凹凸したところで張り分けると、立体感が増してセンスが良く見えます。

また、窓の縦のラインや玄関ポーチを張り分ける方法は、建物全体のアクセントになってかっこよく見えます。

ただ何もないところで張り分けるとよく見えないだけでなく、施工もうまくいかない場合もあります。

 

外壁の張り分け方、1

外壁の張り分け方、2

外壁の張り分け方、3

旭トステム外装 https://www.asahitostem.co.jp/

 

濃紺に差がある外観

YKKap https://www.ykkap.co.jp/consumer/search/products/exterior/wall

 

このほか、バルコニー部分の奥まった部分や建物のコーナーなどで張り分ける方法もあります。

 




 

 

・外観パースで張り分けの確認を

 

ハウスメーカーや工務店でプランを依頼した場合、外観のパースを作成してくれます。

色の組み合わせたパースを数種類作ってもらい、比較検討するのが良いかと思います。

 

 

・自分で外壁の配色のシミュレーションも

 

札幌のパナソニックショールームでは外壁材(サイディング)メーカー「ケイミューkmew」を展示しています。

 

そこでは外観パースに組み合わせた図面を作ってもらえるほかに、ご自身のパソコンで張り分けのシミュレーションができるサービスも行っています。

(詳しくは札幌パナソニックショールームへ https://sumai.panasonic.jp/sr/sapporo/

 

 

外観パースシミュレーション作成の説明書

 




 

 

6,最後に

 

注文住宅の外壁の配色は、最近では20年以上持つサイディングもあり、新築してから少なくとも10年は変わらないのかと思います。

気に入った外観だと家に帰ってくるのも楽しいかもしれません。

失敗しない為にも、いろいろ建物を見ることが大切になります。

配色の組み合わせの法則を使って、街に調和した美しい外観にしていただければと思います。

 

関連ブログもどうぞ

 

・パート1から読み返す

失敗しないデザインにもほどがある~1,注文住宅の窓の位置、形

 

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東洋一の大邸宅、旧前田家本邸。有名な建築を見学しました、2.東京編(前編)

 

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・大手ハウスメーカーだからと言ってデザインが良いわけではない

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・北海道ではカーポートは道路に近づけておくので配色に注意

失敗しない注文住宅の雪かきが少ない駐車スペースの札幌の間取り

 

・デザイン重視にしすぎないことも大切

大地震から学ぶ,強い注文住宅の間取り

 

次回は、建物の形や失敗した例などを書いてゆきたいと思います。

実は設計は、大まかな間取りが決まった後が大切なのです。

(次回まで少々お待ちください)

最後までお読みいただき感謝いたします。

あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。

 

前川邸のリビングにいるブログを書いている設計者

 

 

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田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士

建築設計事務所ライフホーム設計」代表

*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。

(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)

貴方の想いをカタチに一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。

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今回のような色決めなど着工打ち合わせに設計事務所が、お施主様と施工会社(ハウスメーカー工務店)との間に入るとよりよくなりますよ。

 

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