行く先々で見た建物を紹介しています。
今回は、「国際子ども図書館」の紹介です。
明治時代の建物を、建築家の安藤忠雄さんが新旧融合させた大人も楽しめる図書館になっています。
目次
1,国際子ども図書館の建物とは
2,近代建築と現代建築の建物と融合
3,安藤忠雄さん設計のアーチ棟
4,番外編、国立競技場も観てきました。
5,まとめ
1,国際子ども図書館の建物とは
・東洋一の図書館であった建物を使用している
国際子ども図書館の建物は、明治39年(1906年)に開館した帝国図書館を使用しています。
当時、規模も大きく東洋一の図書館建築と呼ばれていました。
当初は、中庭があるロの字型をした平面計画でしたが、開館時は4分の1だけ建築されて開館されました。
その後、昭和4年には全体の3分の1まで増築しました。
・平成に全面改修し、また新たな建物を増築
図書館建築は、戦争で計画は中止になり、建物は国立国会図書館支部「上野図書館」として利用されることになりました。
2000(平成12)年から国際子ども図書館として使用され始めました。
その後、建築家安藤忠雄さんの設計で2002(平成14)年に全面改修、2015年にはアーチ型の建物が新設されました。
2,近代建築と現代建築の建物と融合
・子ども図書館は美術館のような外観
道路に面しているのは、明治時代に建てられたレンガつくり(鉄骨補強レンガ造)の建物です。
ちなみに明治昭和に建てられた部分は「レンガ棟」、平成に建てられた部分は「アーチ棟」と呼ばれています。
レンガ棟は、当時人気のあったルネッサンス様式を取り入れた洋風建築になっています。
図書館の入り口部分は、ガラスでアクセントがついているデザインに改築されています。
図書館というよりは美術館のようなたたずまいですね。
・中庭側はガラスの廊下に改築
中庭側は。光あふれるガラス張りの廊下になっており、その反対側は当時のレンガの外壁を利用しています。
新旧融合されたこの建物の象徴的な空間です。
3階は屋根もガラス張りになっていますので、かなり明るく開放的です。
この廊下が、この建物の新旧のデザインの違いが一番わかる空間かもしれません。
・レンガ棟は当時の外壁のタイルの様子が見られる
レンガ棟の中庭側の廊下は、明治時代に建てららえた外壁を利用しているので、木製サッシやタイルが間近で見られます。
廊下部分のレンガの積み方はイギリス積(長い面の列と短い面の列が交互に積む方法)で、白色のレンガが使われています。
ちなみに反対側の外壁は、フランス積み(長い面と短い面を交互に並べる方法)で、材料もベージュ色のゴマかけレンガを使用されています。
・大きな吹き抜けの大階段
レンガ棟に、1階から3階まで吹き抜けのある大階段があります。
階段の手すりは、建築当初からのものを使用しています。
1階は石と煉瓦の手すり子
2階からは鉄の階段に鋳鉄製の手すりになっています。
階段裏はフローリングが張られています。
鋳鉄製の前にガラスの手すりがあるのは、現在の建築基準法の規定の高さにあわなかったからのようです。
ちなみに法的な高さは110cm以上です。
階段ホールには、ケヤキ材で作られた大きな両開きの扉があります。
建築時のものを修復して使用しているそうです。
こちらの階段ホールはダイナミックで、図書館の見どころだと思います。
・大ホールのある昭和に増設された建物
昭和に増設された部分は、鉄骨鉄筋コンクリート造りです。
当時は閲覧室として使用されていましたが、現在はイベントなどでも使用できる多目的なホールになっています。
こちらのホールから外のバルコニーへ出られます。
外壁はレンガに似せたタイルだそうです。
外壁のモニュメントは、間近でみると迫力があります。
そのほかの細かい装飾も見て取れます。
戦争であまり予算がなかった中での増築でしたが、装飾を見ると造られた方々の思いも感じられます。
図書カード入れ、懐かしいですね。
3,安藤忠雄さん設計のアーチ棟
・ガラスで新設された図書館
2015年に安藤忠雄氏の設計で、中庭をアーチの形で囲む建物が新設されました。
明治の当初のロの字に中庭を建物を囲む計画が、アーチ型の建物で囲む形で補完されたように思えます。
屋上は緑化と太陽光パネルなどで環境に配慮されているようです。
ガラスの建物でシャープな外観ですが、曲線を描いているので少し柔らかい印象です。
アーチ棟の内部です。
手すり子なども含めかなり現代的です。
・見学に行く道にも建築家の建物があります。
国際子ども図書館は東京の上野駅から徒歩10分くらいのところにあります。
国際子ども図書館ホームページhttps://www.kodomo.go.jp/
入場は無料です。
上野駅からだと上野公園の中の通ってきます。
道すがらレンガ棟の設計に携わった久留正道氏の「旧東京音楽学校奏楽堂」をはじめコルビジェ氏の「国立西洋美術館」や前川圀男氏「東京文化会館」などの建築も見られます。
上野といえば
4,番外編、国立競技場も観てきました。
2021年の東京オリンピックの会場になった国立競技場も、同日に見てきました。
違う目的で地下鉄を降りたら(地上に出たら?)ばったり出会ったという感じでした。
こちらは隈研吾さんが設計されました。
国産の木材を使ったのが特長とのことです。
中では競技をしていて、自由に入れました。
座席を色違いにしています。
木漏れ日のイメージだそうです。
5,まとめ
今回の建物は2023年の春に関東に行ったときに見てきました。
見学先を探して見に行ったのですが、検索すると明治から昭和にかけて建てられたものに人気があるようでした。
古いものを見ると落ち着くという人が、多いからかもしれません。
また古いものは、歴史を感じ、なにか語りかけてくるようにも思えます。
いろいろなことを想像させてくれるところが、古い建物のよい面なのかもしれませんね。
私も設計に携わるものとして、長く愛される建物を今後も作ってゆきたいと思います。
ひとまず「有名な建物を見学しました」シリーズは最終回です。
また有名な建物を見てきましたら、ご紹介したいと思います。
過去の書いた関連ブログがありますので、よろしかったらどうぞ。
*今回のブログの関連ブログ
・同じ上野公園にあるコルビジェ設計の国立近代美術館のブログ
・上野の東京文化会館を設計した建築家の自邸
・札幌にあるコルビジェのお弟子さんが設計された建物
・今回の「有名な建物を見学してきました」シリーズのパート1
・前の東京おりんピンクの競技場を設計された建築家のブログ
・間取り設計で失敗しない階段の位置の決め方
・パート2の東洋一の住宅の様子
・東洋一の宮殿建築「迎賓館赤坂離宮」は、やりすぎだった?
今回のブログが、みなさまの住まいの参考になりましたなら幸いです。
最後までお読みいただき感謝いたします。
あなたの住まいがより良くなり、楽しく幸せに暮らせる家が建てられますように。
・ブログを書いている設計士の紹介
田中昭臣(たなかあきおみ)1級建築士、宅地建物取引士
建築設計事務所「ライフホーム設計」代表
*注文住宅の主としたハウスメーカーで設計を経験し独立。
(建築実績100棟以上、現在も月に2,3棟の間取り設計に関わる)
貴方の想いをカタチに、一緒に作る住マイルな住まいを目指しております。
詳しいプロフィールはコチラ
・北海道札幌の設計事務所「ライフホーム設計」のこと
・新築の間取りの設計
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対話を大切し、住みやすい間取りのオシャレなデザイン住宅を作ります。
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